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リノベーション:「家-家の話をしよう」(2007年)

私は1980年築の都心のマンションをリノベーションして住んでいる。

2008年にプロジェクトが完成したので、いわゆるヴィンテージマンションというカテゴリーがマーケットで認識され始めた頃に出会った物件だった。自分が予想していたより広い物件だったため、予算が追いつかず、今でも少しづづリノベーションを続けている。つい最近も手付かずだった部分のリノベーションを行った。一段落して片付けをしている際、暫く手にしていなかった、自分がリノベーションプロジェクトを実施するきっかけになった本を見て、紹介したいと思った。

「家 - 家の話をしよう」は無印良品から2007年に発売された本だが、無印の商品を紹介や宣伝をメインに作られている本ではない。当時(今もだろうか)新築マンションが主流の業界に対し、リノベーションに関心を持つ一般の人々やデザイナー、クリエイターなどに向けて、住まいの再生や改修についての情報を提供しながらその概念を啓蒙することを目的としていた。
今から考えると野心的な取り組みをしていたと思う。当時一般的でなかったリノベーションの概念やメリットについて普及させる役割を果たしたものと考える。

無印にとっては当然自らのビジネスの種まき的考えはあったと思うが、ストレートにその概念の魅力を伝えたことで、多くの人々がリノベーションに関心を持ち始めたと思う。

この本は具体的なリノベーションの事例やアイデアを提供することで、読者に具体的なイメージを与えた。ジャスパー・モリソンや深澤直人などの著名デザイナーやクリエイターたちが自身の作品や考え方を紹介し、リノベーションの可能性を示したことで、読者はアイデアや参考にするポイントを得ることができた。また、この本はリノベーションにおけるデザインや資材の選び方、予算の考え方などの実践的な情報も提供した。これにより、読者はリノベーションプロジェクトを進める際の具体的な手法や注意点を学ぶことができたと思う。

読者や、業界でリノベに関わっていた人にとっては、この本がリフォーム・リノベーションの手法についての知識やインスピレーションの源となっていたのではないか。かくいう私もぼんやりとしていた持ち家に関する考えを、この本を読みながらまとめていき、自分のプロジェクトとして実現していった経緯がある。

今、読み返してみると時間の経過を感じる部分と、現在たくさん出てきたリフォーム仲介会社などとの兼ね合いから、今のマーケットで通用しない部分もあるように感じる。しかしながら、「自分の力でプロジェクトを立ち上げていこう!」というスピリッツは清々しく、大袈裟に言えば自分の人生は自分で切り開け、と勇気づけられているような感覚を持つ。

自分が行ったリノベーションに関わる経験などは人との出会いなど含めて今思うとユニークな部分もあり、これから紹介していきたいと思う。時間を見ながらなので少しづつになってしまうと思うが。。。


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