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「NTR」という言葉の発祥は、たぶん2001年7月18日

この記事は無料です。


8月21日にTBS系で放送された『カノジョも彼女』の第8話に、次のシーンがありました。

「これが巷で噂の、寝取られ趣味ってやつー?!」

こういうのを見ると、「NTR」という言葉も一般化したものだと、しみじみ感じます。

そこで今日は、この「NTR」という言葉の発祥について書いてみます。

「寝取られ」

まず、「寝取られ」は普通の日本語です。

『日国』を見ると、17世紀の用例も載っていました。

エロゲーの広まり

そいで、1990年代に「エロゲー」という文化が広まったのですが……。
その中に、寝取られ的なシーンを含むゲームがありました。

過去の記事で紹介したところでは、

1998年の『モチーフ ~セピア色の素描~』が、普通にプレイしていたら不意打ちでヒロインが寝取られているゲームでした。
(システムがクソゲーすぎて微塵もオススメできないのですが、この寝取られだけは良かったです)

もちろん、『同級生』などの有名なゲームでも、寝取られ的なものはあります。

インターネットの広まり

それから、2000年ごろには、インターネットの普及率も高くなってきました。

すると、「ヒロインが犯されちゃうのが好き」といった性癖の人たちが、「そういうシチュがあるエロゲ」の情報を交換する場所が増えてきます。

PINKちゃんねる(2chのエロ版みたいなやつ)では、2000年6月にはそういうスレッドがありました。[URL]

これは、「寝取られ」というよりは「ヒロピン」寄りでしょうか。

「彼女または片思いの娘が犯られてしまうゲーム」という括りでスレッドが立ったのは、2000年12月でした。[URL]

(苺ちゃんねるでも、この少し前に同名のスレッドが立っています)

現在ではメジャーな「寝取られ趣味」ですが、2000年ごろは、こういう掲示板で、一部の愛好家が語り合っている感じでした。

たぶん「NTR」の発祥

そして、2001年6月2日に「寝部屋」という個人サイトが開設されました。[URL]

「ヒロインが主人公以外とHすることを許せない方は入室されないことをお勧めします。ただし、寝取られると鬱になるという人は素質ありです
という注意書きが流石です。

そして、このサイトにも「掲示板」がありました。[URL]

そこで「寝取られゲーのさらなる確立のために、略称を作れないか」みたいな話が出て……。

「寝部屋」管理人のktenさんが、「『NTR』の方が自然かなぁ」と発言しました。

たぶん、この2001年7月18日が、いまに続く「NTR」という言葉の発祥なのではないかと思います。

NTRが 自然と君が 言ったから 七月十八日は NTR記念日

「NTR」の原意?

なお、「寝部屋」管理人のktenさんは、自分のサイトで取り上げる「寝取られ」について、次のように述べていました。

「寝取る」でも「寝取らせる」でもなく「寝取られる」ことに萌える人は同志です。
便宜上「寝取られ」と表記していますが、辞書的な意味の「寝取られる」と意味は異なります。
基本は「ヒロインが主人公以外のキャラと絡むシーン」が存在することです。

なので、ktenさんが「NTR」の発祥だとしたら、最初に発言した人が頭の中で考えていたイメージとしては、「NTR = ヒロインが主人公以外のキャラと絡むシーンがある」みたいな感じだったようです。

※もちろん、「中二病」みたいに、言葉が広まるうちに最初の意図から離れるのは珍しくなく、それだけが「正しい意味」というわけではないと思います。

「NTR」の広まり

その後、この「NTR」という略称が、PINKちゃんねるの「彼女または片思いの娘が犯られてしまうゲーム」スレッドでも使われるようになりました。

初輸入は、2001年9月でしょうか。[URL]


このスレッドで「NTR」という言葉をよく見るようになったのは、2002年1月からです。[URL]


スレッド内でも、この時期にわりと急に使われるようになったので、「これ何?」みたいな会話もありました。

「(NTRは発音よりタイプ速度重視で)話し言葉をベースに持たないネット系の新語として正常進化の途上にあるのかしらん」といった分析がなされています。

そうして、2002年当時は「仲間内の言葉」だったのが、

いまでは当たり前に見られるようになっていて、感慨深いです。

「NTRのグローバル化」も一応進んでいる(?)のか、海外の掲示板でもけっこう使われています。

(なんか「Looking for NTR manga」「I am the NTR king」みたいな話をしています)

おしまい

最初、この文章は、『螺旋回廊2』に関する記事の前置きとして書き出したものでした。

『螺旋回廊2』が発売した2001年12月には、まだ「NTR」という言葉は広まってなくて……みたいな説明のつもりでした。

それで、なんとなくニコニコ大百科ピクシブ大百科の「NTR」の項にどう書かれているのか確認してみたのですが、「発祥」「語源」「寝部屋」「ktenさん」みたいな話は載っていないようでした。

「あれ?」と思って少し見た感じ、どうやら「寝部屋」掲示板のやり取りのことは、ネットであまり知られていないみたいです。

なので、いちおう、この話は単独の無料記事としてネットに放流しておこうかなと思いました。

もしも間違いや勘違いなどがあったら、本当に申し訳ございません。
(私は当時「彼女または片思いの娘が犯られてしまうゲーム」スレ周辺をけっこう見ていたので、基本そっち視点で、それ以外の場所で起きたことが見えてなくて偏っているかも知れません)

メモ

■本橋信宏さんの説

メディアファクトリー新書の『なぜ人妻はそそるのか?』という本に、「『NTR』の誕生」という項目があるのですが……。
そちらでは、リアルで自分の妻を寝取られたい夫たちが集まるネットコミュニティにおいて、寝取られ趣味の男たちが「NTR」という略称で呼ばれたのが始まり、みたいに書かれていました。
(「ネット上では、ゲームや漫画、アニメのキャラクターが恋人以外の男に奪われる過程をマゾヒスティックに描くサイトがあり、こうしたサイトNTRと呼ばれている」という説明でした)

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