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6の巻『恋愛ビギナー』

私が小学校5年の頃。

私の周りでは、"恋バナ"が盛んに行われていた。
私は話しを聞く専門。

〇〇ちゃんが〇〇くんを好きだの、
〇〇くんに告白されたなど
好きな人が学校にいると
学校に来る楽しみが増えると盛り上がっていた。
そんなお花畑にいる子たちの話しを
私は羨ましく思いながら聞いていた。

そんな、ある日の事。
私は同じクラスの男の子から呼び出しをくらった。
たくやくん(仮名)だ。

私はたくやくんに言われるがままに
放課後、体育館裏に行った。
そこでたくやくから一言

"好きです"

"は?"
完全にフリーズ。
初めての事で返答に困った。

たくやくんは、よく先生に怒られていた。

教科書、ノート、机は落書きだらけで
机の中はぐっちゃぐちゃ。
ランドセルからいつのかわからない給食の
コッペパンを出してきたり、
友達からちょっかいかけられた時には
自分のおしっこをペットボトルにいれて
自作のおしっこ爆弾を相手にお見舞いしちゃう子だ。

なかなかのクレイジーだった。

そんなたくやくんが私を好きっだったなんて
知るはずも無い。でも正直、気持ちは嬉しかった。
私もお花畑の仲間入りをしたかったから。
それに、普通に話す分には面白い子だったし、
太鼓の達人も物凄く得意だった。私はたくやくん程
太鼓の達人が上手い人に未だ会ったことがない。

恋愛ビギナーだった私からすれば
まだ恋愛の奥深さなんて知るはずもないし、
まだまだ子供。一緒にいて面白いってのが1番だった。

数分なやんで"OK"を出した。
でも別に付き合って欲しいと言われた訳じゃなしい
何に対しての"OK"だよって感じなんだけど、、

これで私もお花畑の一員になれる。
たくやくんの事を好きになれれば、
学校に行く楽しみも増えるだろう。
その日から"たくやくんを好きになる"努力をした。

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