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「SIVIOがなくなることがラオスの幸せ」- 学生国際協力団体SIVIOインタビュー


概要:

学生国際協力団体SIVIO
ラオスへの教育支援の為、募金活動やチャリティーイベントを通じてラオスに学校を建設する支援を行なっている。

インタビューをお受けいただいた方:
末田椋資(すえだりょうすけ)さん
学生国際協力団体SIVIO関東支部代表

インタビュアー・執筆:茶谷力丸(Shakr Inc.)
編集:尾本将太(Shakr Inc.)



本文:

ボランティア活動の存在は誰しもが知っているが、その活動内でどのような苦悩があるのかはあまりイメージが湧かないのではないだろうか。今回は学生国際協力団体SIVIOにインタビューを行った。

団体の概要を教えてください

ラオス教育支援、学生国際協力団体SIVIOは2007年の7月1日に創設され、今年で14年目を迎える学生団体です。  

SIVIOの特徴は、関東と東海、関西の3支部からなる全国規模の学生団体というところです。
活動内容はチャリティーイベント、例えば運動会とかカフェプロジェクトなどを開催したり、街頭募金で皆様から頂いたお金を全額ラオスの学校建設や学校運営の支援にあてることを行っています。

またSIVIOのもう一つの特徴として、支援をする上で現地の自立を促進するために校舎の建設費の一部を労働によって肩代わりしていただくようにしています。
例えば、校舎建築に200万円かかると言われているところは、150万円をSIVIOが負担して、残り50万円を現地の方に負担していただくという形です。

なぜなら自分で買った物は人から貰った物を比べると、やっぱり自分で買った物の方が大事にしていくはずだと考えているからです。
そういう心理面も考慮して、やっぱり自立の為にということで、全額あげるんじゃなくて、現地の方も一緒に汗を流して、ラオスの自立の為に一緒に頑張っていこうというところでやっていただいています。

その上で大使館やラオスの専門家の先生にこの金額は妥当かどうかとか、ラオス教育支援関連の団体の方にチェックをお願いして、いただいたお金を正当にしっかりと使われているかどうかという確認を行っています。


当団体には理念が2つ、ビジョンが一つあります。
1つはラオスへの教育支援を行って学校建設だったり、その支援した学校の継続支援を行い、子供たちの自立に繋げるような活動を行うこと。
もう1つが学生間でチャリティームーブメントを起こすという事で、チャリティーの輪を広げる事によって、それがラオス教育支援じゃないにせよ、色々なボランティアに興味を持ってもらうきっかけを自分たちの団体がはじめとなって作れたら良いなという理念です。
そして、私たちは自分たちの代で「ラオスの子どもたちが主体となって未来を創り上げる社会」というビジョンを立てました。
なぜ立てたかというと、ラオスの教育支援のビジョンを立てることで、今までよりも効果的で、継続的な支援を行うことができると考えたからです。校舎を建てて終わりではなく、支援の後を考えることがラオスの自立に繋がると考えています。


活動内容はチャリティーイベント、例えば運動会とかカフェプロジェクトなどを開催したり、街頭募金で皆様から頂いたお金を全額ラオスの学校建設やソフト面の支援にあてることを行っています。
例えばラオス料理を作って、それを販売して収益をラオスに全額送るという活動をしたり、ラオスのコーヒー豆をフェアトレードで輸入して、それを実際に販売するという活動を行いました。あとは小学校だったり児童館でラオスについて、ボランティアについて、そしてSIVIOがどういう活動をやっているのかという講義を行わせていただいています。

加えて週に1回のミーティングと、年に2回、3支部でのミーティングを行っています。
また年に2回の現地調査があるんですが自分たちの代は行けなくて、1回だけオンラインで現地調査を行いました。

オンラインの活動としてはラオス学プロジェクトというものを行いました。
これはラオスについての理解を深めて支援の効果を高めるために、元ラオス大使の橋本逸男先生を始めとする6人の先生方に日本大学で講義を行っていただきました。
この講義は、正式に学生企画講義ということで認可されて、実際に日本大学の正式な科目として受理されて、単位も認められました。
SIVIOでは講義内容をもとにディスカッションを行ったりして、より良い支援のアプローチの実現に尽力するという活動を行いました。
これはSIVIOだけじゃなくて、ラオス教育支援関連団体の方、JICAさんだったり、他の学生団体15団体くらい招待させて頂きて、オープンチャットの方で共有させていただく形でした。

募金活動の実績については、一昨年は街頭募金を中心にやって38万円お気持ちをいただきました。私たちの代は17万円程になります。

支援実績としてはSIVIOの14年間の活動で、合計9校の小学校、1校の中学校、3校の幼稚園校舎を建設しました。
最近ではソフト面の支援ということで、例えば校舎だけじゃなくて子供たちが読む本だったり、図書館の本棚だったり、そういう物の支援も行いました。
支援過程を説明すると、SIVIOが募金活動やチャリティーイベントでいただいたお金を、ラオスの教育省に送るという支援構成を辿っています。


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ラオスの教育レベルはどのくらいなんですか?

経済的には2年後に後発発展途上国を脱却するという位置に来ています。
ただ発展しているのですけれど、教育に全然力を入れていないんです。例えば小学校の卒業率で言うと7割くらいなんで、中高の進学率もあまり良くないんです。



どんな仕事をしていますか?

「ラオスの子供たちが主体となって未来を創り上げる社会」というビジョンを実際に実現するためにはどうすれば良いかを話し合っています。例えば、ラオスのお金の使い方だったり、ラオスの政治、だったりラオスの文化や経済について話し合うことによって学んだ知識から、現地に行った時に、何が問題か把握できるようにしています。
また話した内容を実際の行動に移せるように、実践できるようなテーマを考えてメンバーに送り出して、意見を聞いたりします。
あとはラオス国立大学の学生と8月に交流を行い、現地の学生の声を聞くこともしています。


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この団体に入ったきっかけを教えてください

「僕たちは世界を変えることができない」というカンボジアに学校を建てる内容の映画があって、発展途上国のところに校舎を建てるってすごいなと思ったところからです。当時自分は野球部に所属していて、補欠とかベンチ外の選手だったんです。
そんな自分でも大学で優劣の差が無いフラットなところで、社会に貢献できることは何かなと考えた時に教育支援じゃないかなと思い入ることにしました。

最初はそういう感じで、正直ラオスという国自体をそこで初めて知ったという感じだったんです。だけど1年生の12月にラオス大使館に行く機会があり、そこで元ラオス大使の橋本先生とお会いした時に、教育支援に対する気持ちが変わりました。というのも橋本先生から校舎を建てても2、3年後には廃れているというお話を聞いたからです。

そこから意識が変わって、結構自己満足だったり、教育支援ってとても清いものだという意識で活動していたんですけど、支援する上ではそういう自己満足とか高揚感も大事だけど、ラオスの人々の人生を変える役割であることを実感し、責任を持って支援に取り組まないとといけないなと思いました。



メンバーの募集方法を教えてください

メンバーの募集はInstagramとTwitterが軸です。あとはメンバーからの紹介が多いです。
基本的にはInstagramとかTwitterで広報動画だったりSIVIOの魅力を発信して、それを見たメンバーが入ってくるという形になっています。



コロナ禍で大変だったこと、良かったことを教えてください

辛かったことは対面でなかなか会えなかったので、メンバーのモチベーションの低下があったことです。ただ意外とオンラインになったことによって、雑談会とかを開くことで距離が縮まりやすくなった気がします。

結果的に自分としてはコロナ下になってオンラインになったことを悪くは捉えていないです。現地調査に行けないというのは大きかったですが、団体のルールだったり不文律とかを壊していくことに時間を使えたと思います。
団体の構成からそもそも教育支援って何というところまで、基礎に立ち返って団体を見つめ直す時間が私達の代はできたのかなと思っています。


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コミュニティの魅力を教えてください

SIVIOのメンバーは思いやりのある子が多い印象です。
例えば見学のメンバーが来た時に、内輪で盛り上がってしまうことにならないように、新しい子も入れて一緒に話していこうという雰囲気があります。
あとはメンバーは支援について話し合う機会が多いので真面目であるところです。



これからやっていきたいことを教えてください

実は自分の任期があと1か月も無いんですね。ただ次期代のことでいうと、他団体とのつながりをこれからどんどん増やしていこうというところがあると思います。

それでより多くの人にボランティアを知ってもらったり、学生だけでも大きな企画だったりというのができるというのを、イベントに来て下さる皆さんだったり、TwitterとかInstagramを見て下さった皆さんに伝えられたら良いなというのはあると思います。
最終的には教育支援じゃなくて交流団体になるところまでいけたらお互いにとっても良いんじゃないかと思っています。



どんな学生に来てほしいですか?

やっぱり主体的に動ける学生が来てほしいというのはあるんですけど、誰でも歓迎です。
主体性がある子がいて色々動いてくれると、代表も幹部も忙しいことが多いので、そういうところを助けてくれる新入生だったり、新しいアイデアとか積極的に意見を出してくれると、SIVIOの為でもあるし、ラオスの為にもあるというところが大きいですけどやる気のある子は大歓迎です。



最後に学生にメッセージをお願いします

教育支援って一筋縄でいかない問題だというか、やっぱり現地の人の将来を左右することなので、色々と悩むことがあると思うんですけど、教育支援に対しての絶対に正しい答えというのは出ないと思うんです。
その中でも活動を通じて自分たちが本当に熟考して、専門家の先生の意見とかも取り入れながら考え出した最適解の支援をし続けて欲しいなと思います。
それを継続的に行っていって、「ラオスの子供たちが主体となって未来を創り上げる社会」の実現に取り組んでいって、いつかSIVIOが支援活動を終える日が来れば良いんじゃないかなと思っています。




編集後記:

末田さんのお話を聞いて、ラオスのためにただお金を募金で集めて支援すれば教育問題が解決するほど簡単なものではないのだなと実感させられた。最終的には教育支援団体である必要がなくなりラオスとの交流団体になってもらいたいという彼の思いにも大変共感した。コロナ禍で募金やチャリティー活動で苦労しているだろうがこれからも頑張っていただきたい。


◯リンク

ホームページ: https://www.sivio.org/
twitter: kanto_sivio 
instagram:  kanto_sivio 
facebook: https://ja-jp.facebook.com/kantosivio/


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