「理現忘れること勿れ」-東京理科大学 機械工学研究会 TUS Formula Racingインタビュー
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「理現忘れること勿れ」-東京理科大学 機械工学研究会 TUS Formula Racingインタビュー

今回は東京理科大学機械工学研究会の皆さんにお話を伺いました。


概要:

東京理科大学 機械工学研究会 TUS Formula Racing
ホンダなど数多くのパートナーの支援を受け毎年車体を製作し、全日本学生フォーミュラ大会に出場。


インタビューをお受けいただいた方:
玉田航さん
東京理科大学 機械工学科3年、17期プロジェクトリーダー、吸気・排気班担当

村越健吾さん
東京理科大学 機械工学科1年、フレーム班・コックピット担当

田中祐里奈さん
東京理科大学 機械工学科1年、冷却班担当


インタビュアー・編集:
尾本将太(Shakr inc.)

大会写真



本文:


東京理科大学 機械工学研究会 TUS Formula Racingは毎年車両を製作し、全日本学生フォーミュラ大会に参戦している。全日本学生フォーミュラ大会は学生だけで1から車両を製作し走らせて、その走行タイムを競う動的審査と、製作の過程を評価する静的審査の2つで競う大会だ。毎年全国80校以上の大学や専門学校が参戦していて、海外の大学からの参戦もある。今年はコロナの影響で実地での開催は見送られ、オンライン上での静的審査のみが行われる。

今年行われる静的審査では製作の過程やコストなど書類の審査に加え、どのようなところを突き詰めて開発したかというプレゼンテーションを行い審査される。

全日本学生フォーミュラ大会のレギュレーションで、毎年車体を変える必要があるため、一年に一台車体の製作を行っており、カートサーキットなどでテスト走行を行っている。

同じホンダのエンジンを使用して車両を製作しているHondaパワーユニットユーザー校の関東の大学と話し合って筑波サーキットや富士スピードウェイの駐車場などで行うこともあるそうだ。

コロナの状況でなければ、ワゴン車などへの乗り合いでテストランへ行くなどの皆の交流もあり、お互いを知ったり仲良くなったりするそうだ。



◯様々な担当とそれを組み合わせてできる一つの車体

ー現在の部員構成は?

玉田さん)
現在部員は2、3年生合わせて12人で、4年生や院生を合わせて約20名。
1年生が入りましたのでもっと増えて、約25名前後で野田キャンパスというところにあるガレージで活動しています。
活動頻度は毎週月曜日に定例部会を行い、それ以外の日は担当箇所の設計とか製作を行ったりしています。


ー具体的にはどのように活動しているんですか?

玉田さん)
パワートレイン班とシャシー班のふたつに分かれていまして、パワートレイン班だったら吸排気班、電装班、冷却、オイル潤滑、ドライブトレイン、そして燃料タンク。

シャシー班はフレーム、サスペンション、ペダル・ブレーキ、ステアリング・シフターとエアロ・カウル班という風に、かなり細分化して活動しています。

例えばなんですが、電装班ですと、はんだごてとか圧着端子とかを使ってエンジンの配線を製作したりとか、そういうことをやっている班です。

フレーム班はガレージにある溶接機を使って鉄パイプを溶接して、車体になるフレームを作成します。

吸排気班、自分が担当なんですが、吸気パーツとか排気パーツ、マフラーとかエキゾーストマニホールドとか呼ばれるものを設計したりして、エンジンのセッティングというものを行っています。

実際にエンジンをかけて、セッティングと呼ばれるエンジンの調子を見る作業とか、そういうことをやっています。

ただ作るだけじゃなくて、弊チームの活動は様々なスポンサー様に支えられていて、その為に報告プレゼンとかを行ったりする機会があります。

写真に写っている通りスポンサーであるHKS様を訪問したりだとか、あとエンジンを提供してもらっている本田技研工業本社で活動報告を行ったりとか、そういった事をコロナ下以前ではやっていました。
コロナになってからはほとんどオンラインで活動しています。

現時点で約90社以上の企業にご支援いただいています。


ーご支援いただいている企業はどのような企業なのですか?またそれらの企業との関わりについて

玉田さん)
まあだいたい半分くらいは自動車系が多いんですが、例えばエアロとか、カウル関係とかだと自動車じゃないところとかも結構関わってきたりとかするんですね。

弊チーム卒業して完成車メーカーに行く人が結構やっぱり多いですね。研究や開発の職に就く人が。
リクルーターの方なんかも弊チーム出身の人が結構いたりします。
あと大会があるので、他大の人との交流とかも増えたりして、知り合いが結構増えたりということもあります。


ー機械工学研究会の中での担当、組織運営的な部分での役割は?

玉田さん)
組織形態としましては、一応一番上に顧問という形で大学の教授がいて、その下に僕のようなプロジェクトリーダーと呼ばれる立場の人がいて、それと同時に部長がいます。

僕自体はプロジェクトの進行を担当していて、部長という立場は対外的な、学校とかそういうところとの連絡とか、顧問の先生との話し合いとか、そういう部分を取りまとめたりします。

あともう2人いてですね、シャシーとパワートレインの2班があって、それぞれの担当、パワートレインリーダーとシャシーリーダーという人たちがそれぞれいます。
主に4人でプロジェクト担当を決めたりとか進めたりということを話し合っています。

製作風景


◯コロナの状況下でも試行錯誤しながら続けていく活動

ー普段のミーティングなどの活動はどのように行っているんですか?

玉田さん)
週に1回月曜日に定例部会というものがありまして、その週の活動日だったりとか、活動内容を全体で把握して、みたいな事を行ったりしています。


ーこういう状況下で機械工学研究会に新たに入ってきてどうですか?

田中さん)
定例部会は対面で会えなくてもZoomで毎週やってて、それで先輩が話しているのを聞いて「あ、この人があの人なんだ」って認識していました。
なかなか顔と名前を一致させるのも難しく、未だにわからないときも(笑)


村越さん)
フレーム班なので作業しているんですけど、一人ひとり時間を決めて分担してやっているので、結構効率良く、効率良いというか楽しくやってますね。(笑)


ーコロナの前と後でどういうところが一番変わりましたか?

玉田さん)
そうですね、大学から活動時間の制限がなされてですね、今まで通り思うように作業が進められないというのもあります。

やっぱり我々の部活、まとまってこの日この時間にみんなで何かやるという事じゃなくて。
活動班が分かれていてこの日のこの時間にこれをやるみたいなタスクを管理してやっていく感じなので、全員が集まって作業するということはもともと少なかったんです。

それでもコロナ以前は結構な人数集まって作業するみたいなことがあったんですけど、コロナになってからは大人数集まって作業しちゃいけないということなので、ばらばらでやっているんです。
そうなってくると問題なのが1年生の横のつながりといいますか、それをちょっと僕は心配しています。

1年生同士で顔分かってるかなとか、先輩の名前と顔が一致してるのかなということが結構心配でですね。
名前と顔を一致させるといっても集めて飲み会やったりする訳にもいかないですし、どこかに行ったりもできないので困っている状況ですね。


ーそのあたりは1年生としてはどうですか?

村越さん)
同学年でのつながりは全然ないです。各担当内でのつながりが本当メインですね。

田中さん)
分かる人は分かるんですけど、担当班が違うとかで会わない人は本当に会わなくて、全員は分かりきってない感じですね。


ー他の大学やHondaパワーユニットユーザー校同士でのつながりなどはあるんですか?

玉田さん)
そうですね、設計とかで困ったことっていうのが結構生じてくるんですよ。
ここの設計、強度どんなもんなのかとか、材料どうやって作ったんだとか、後は単純に電装品の部品とか。

これで上手くいかないとなった時に、同じエンジンを使っている学校に助けを求めるといいますか、連絡して助けてもらうこともあるし、うちが助けるということも結構ある感じです。
そういうつながりはかなり大事にしようと思っていますね。

大学同士のつながりとしては本田技研が毎月1回チーム会みたいなものを開催していて、Hondaパワーユニットユーザー校の学校は基本招待されます。
そういうZoomでの雑談会とかそういうのがありますし、僕が1年生の頃は学生フォーミュラ全体の新入生歓迎会を青山にあるホンダの本社のウエルカムプラザという所で行っていました。
そこにホンダの、当時だとアイルトン・セナとかそういう時代の、本当のF1活動に参加していた人とかが話しに来たりとかして。


◯それぞれのきっかけ、興味から入った機械工学研究会

ーこういうサークルだと男性比率ってすごく高いと思うんですけど、その中で女性として活動していてどうですか?

田中さん)
私1年生で、上の人に女性がひとりもいなくて、1年生に3人女子がいるってだけなんですけど。
女子の仲間がいて良かったなって思います。


玉田さん)
今1年生で女子が今年3人入ってくれたんですけど、それ以前は1~3個上くらいの人たちは本当に男しかいなかったんですよ。
女子入ったの4、5年ぶり、もっとかな。それくらいだって言われてました。

ここは3人とも全員機械工学科で、機械工学科という学科自体が男子の比率がめちゃくちゃ高くて、学科100人から140人くらいいるんですけど、女子がいても10人、20人とかそんなもので、それ以外全員男子みたいな。
男子が100人以上いる、そういう学科なので正直仕方ないのかなというところもあるんですけど。


ー機械工学研究会に入ったきっかけはなんですか?

玉田さん)
僕が入った理由は、高校中学くらいから車とかバイクが結構好きで、そういうものの開発というか作っている部活があるということで、新歓の時に行って興味を持って、先輩たちがすごく良い人たちだったので、ここのサークルに入ろうと決めました。


村越さん)
私はですね、親の仕事で結構溶接とか塗装、加工系の仕事を見てきていたんですね。でも実際に自分ではやったことはなくて、それで自分でも経験してみたいと思って入ることを決心しました。


田中さん)
私はもともとなんで機械工学科に入学したかというところからお話しします。
高校で物理を習って、その物理が日頃使っている機会にどう応用されているかみたいなのを聞くのがすごい楽しくて、自分で設計とかしてみたいなと思って機械工学科に入ったんです。

大学で勉強しているだけだとつまんないなと思って、なにかやろうかなと思っていたらこのサークルを見つけて、自分で考えて設計とかしてみたいなと思って入りました。

セッティング風景


◯コミュニケーションと人とのつながり

ー運営していく上で大変だったことは?

玉田さん)
物づくり系のサークルなので結構特殊といいますか、他の運動系のサークルとは違ってやっぱりひとつひとつの物事をちゃんと把握してこういう風に進めて、という確認をしてやらなきゃいけないんで、かなり面倒くさいというか、手間がかかるのが大変ですね。

リーダーとして約1年間なんですけど、ある程度の組織の一番上の立場といいますか、責任のある立場を経験したのはすごく良い経験だったなと自分では思っています。


ーコミュニケーションの部分でも難しいことは多いんですか?

玉田さん)
コミュニケーション的な部分では、学生症候群といいますか、期限を守らなかったりとか結構多いんで(笑)
対策といいますか、今までだったらLINEだけで話し合いをしたりとかそういうところだったんですけど、新しいコミュニケーション用のソフトとか、SNSを活用したりとか全体のタスクの見える化をしています。

コミュニケーションを取り合ってお互いにどんなことをしているのか確認し合うというふうな体制を整えることを意識しました。

ツールとして現在使っているものは広報担当はFacebookとTwitterとホームページを運営していて、話し合いではLINEとSlackを使用していますね。


ー新歓活動やメンバー募集についてはどういうふうに人を集めているんですか?

玉田さん)
コロナの影響がなかった頃は学校で一律に新歓活動をやっている時期がありまして、ポスターとか、体育館のステージみたいなところで活動紹介したりとか、あとは展示みたいなことをしていましたね。

コロナのあとで大人数集めて活動しちゃいけないということになってからはオンラインの、Zoomとかで説明会を開いたりとか、TwitterとかFacebook、SNSの運用でなんとか人を集める活動をするという形に移りましたね。

Zoomなどの説明会は大学が団体ごとに時間や部屋の割当をして、それに合わせてという感じですね。


ー1年生のお二人は実際どういう形で機械工学研究会と接点をもったのですか?

村越さん)
私は大学のホームページのサークル一覧で、ものづくり系サークルがまとまって載っていたので、それを片っ端からTwitterとかで見ました。それで、楽しそうだなと思ったので機械工学研究会を選びました。

田中さん)
私はZoomの説明会でまず知って、それからTwitterを見て、Twitterのダイレクトメッセージで見学させてくださいと送って、見学に行ったという感じです。


ーそうなると大学の用意したZoomの説明会ってメンバー集めではとても重要なんですね

玉田さん)
そうですね。ただやっぱりふたりとも言ってくれたように、TwitterとかこういうSNS関係がコロナ以降重要になりました。
特に去年の4月~5月はコロナの緊急事態先ん元で何もできない時期だったんですけど、試行錯誤の段階でどうやっていいかわらなかった。

知らない人たちとコミュニケーションをどうやって取るみたいなところを考えていて、正直うまく行かなかったんですよね。
今の2年生もその時は3人見学に来て、結局入ってくれたのが2人とか、そういうところでうまく行かなかったというか。

今年になってからどういうふうにやればいいのかみたいなのを学んで、今年は10~15人位と結構な人数が入ったんです。



◯魅力あふれるサークル、活動とその中にいる人々

ー機械工学研究会の魅力や特徴について

玉田さん)
魅力というと、我々機械工学科みたいな特殊な学科に入っている人たちは自分で設計して、自分で作った機械が動くところを見てみたいといいますか、自分の好きなものを作って格好いいものを作ってみたいという考えがあるので、それをパソコンの中で作って、実物を作れるのは魅力的なところなんじゃないかなと思っています。

村越さん)
私はやっぱり溶接とか加工の技術が学べるのが本当に素晴らしいと思っています。
溶接とかはあんまり学校でも勉強させてくれないらしいので、すごく良い機会だと思っています。

あとはSolidWorksとかの設計系のツールをかなり使うので、それも使ってできるのも素晴らしいなと思っています。


玉田さん)
そうですね、いま村越君が言ったように、うちの部は結構大学内でも特殊な設備といいますか、加工とかそういうのをやっていたりとかするので、ここでしか学べないこともあるというのもかなり魅力的なところだと思います。


田中さん)
私は実際に物づくりができるというのが魅力で入って、1年生だと学校ではまだ機械っぽいことをやらせてはもらえなくて、だからサークルでちょっとできて楽しいなという感じです。


ー機械工学研究会の人の魅力について

玉田さん)
機械工学研究会という名前の通り、機械工学科の人たちがほとんどを占めるんですね。
ですが学校生活上だとあまり上下のつながりって無くて、機械工学研究会は先輩とかがかなり良い人で、どの授業が難しいとか、過去問があったりとかそういうことも教えていただいたりするので、そういう所はかなり面白くて良いところなのかなと思っています。

村越さん)
フレーム班の先輩で3年生に先輩がいるんですけど、前日に1日加工して作業したりとかしたら今日は休めって、すごい体調心配してくれるので(笑)
休む時は休んで、教わる事はすごく有益なこととか教えてくれるので、本当に先輩方は素晴らしいです。

田中さん)
先輩方すごい優しくて、LINEとかで分からないことを聞いたら丁寧に返してくださったりとか、やり方も丁寧に教えてくださいます。
見学の時に優しそうな感じで、ここならやっていけるなと思って、そんな感じです。


ーこれから先、機械工学研究会でやっていきたいこと、卒業後の進路などはいかがですか?

玉田さん)
いま来年に向けての車両を製作していて、現在学生フォーミュラ大会での順位は全国で大体14位くらいなんです。
目標としているシングルナンバー、10位以内に入るために車両の開発でもっと良くできる部分を探したりとか、もっと良くするためにチームの運営をもっと良いチームに、そしてもっと良い車を作っていけたらいいなという風に思っています。

卒業後考えているのは大学院進学で、職業にしたいなと考えているのはやっぱり自動車か二輪車とか、そういうことを仕事にしたいなと、大まかなんですけど考えています。


村越さん)
私は元々車自体にあまり知識も無くて、全然まだ車関連の企業に行きたいとは今はまだ思っていないんですけど、物づくりのスペシャリストになりたいって思ってます。


田中さん)
車が好きで、飛行機が好きで、というので機械工学科に入った訳じゃなくて、まだ何が好きなのかも探り中なので、これから大学4年間で何するか決めて、大学院進んで、それから何かしらの設計をする技術者になりたいなと思っています。


ー最後にこれから入ってくる方々や記事を読んでいただいた方にメッセージをお願いします

玉田さん)
技術的な部分は我々はほぼみんな無いに等しいので、強いて言うなら真面目で情熱がある人に来てほしいですね。
好きなものをとことんやるようなタイプの人は物づくりといいますか、設計とか研究に向いているのかなという風に思いますね。

我々コロナ下という中で、2年連続で大会が無くなってしまったんですが、それでもなお学生フォーミュラ大会というものに参加して上位入賞という目標を達成するために、車を良くしたりチームを良くしたりということを頑張っているので、応援して頂ければと思います。



◯リンク

ホームページ:http://tusformularacing.main.jp/
YouTube:TUSFR機工研
Twitter:@tusfr
Facebook:@tusfr
ホンダHP-Hondaパワーユニットユーザー校紹介:https://www.honda.co.jp/philanthropy/support/f-sae_engine.html#university15

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