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住んでから,どうにかする。 【地方空き家サバイバル】

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ある30代男性は,ひとりで地方に移住することにした。 住む家は築50年くらいで,窓ガラスは割れ,カギもしまらない。 知り合いがいるわけでもなく,お金もなく,仕事もない。 さらには…
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#虫

地方移住を決断するまで

5年間,働いた会社を辞めたのは,虚無感に耐えれなかったからだ。この仕事に何の意味があるのか,誰の何に役立っているのか,そんな疑問を感じながら働くことは虚しかった。 仕事を辞め実家に戻った。早朝にスーパーで品出しのパートをし,午後は読書という生活を送った。コロナ禍の影響もあり,こんな生活を2年半も続けていた。品出しの仕事は,達成感や誰かの役にたっている実感があり楽しかった。どうやら,私にとっての報酬は,お金ではなく,達成感や有能感といった感情なんだと気づいた。 では,達成感

活力を上げるもの,下げるもの 【地方空き家サバイバル,27日目,2022/6/18(土)】

私は自分の行動を記録している。いつ,どこで,なにをしたのか。そして,その行動後にどんな状態になったか。とくに重視しているのが,活力が上がるか,下がるか。例えば,私にとってランニングや読書は活力が上がること。一方で,買い物や事務手続きは活力が下がり消耗する。このように,行動後の活力を基準に,自分という謎の生き物の性質を把握しようとしている。 今日は,庭に埋められたゴミの発掘作業を行った。樹脂やガラスのような土に還らないモノを拾いあげるたびに,活力が奪われていくのを感じた。自然

虫はさっさと移住する 【地方空き家サバイバル,15日目,2022/6/6(月)】

問題はズボラな私を動かしてくれる。今日,私を動かしてくれたのはコバエだ。2日前にトイレで5匹くらい見かけた彼らだが,今日は20匹くらいになっていた。さすがにうっとおしい。我が家のトイレは汲み取り式である。まあ,ボットン便所ということ。糞尿は便器の下のタンクにたまり,数年に一度くみとってもらう。 トイレについて調べてみると,世の中にはコンポストトイレ(バイオトイレ)というものが存在していることがわかった。このトイレは水を使わない。微生物によって,糞尿を分解してもらうというもの

お気に入りの西の窓。ガラスはまだない。 【地方空き家サバイバル,12日目,2022/6/3(金)】

虫にとって,人家は牢獄のようだ。この1週間,家の隅々を掃除してそう感じた。私の家の周りには,豊かな自然が広がっている。そこから家へ迷い込んだ哀れな虫が,ガラスに阻まれ出られずに死んでいったようだ。窓の周りには虫の死骸がたくさん転がっていた。 現在,窓の修理中。バリバリに割れたガラスを窓枠から外した。しかし,窓枠にはめるガラスはまだない。しょうがないから,ガラスなしのままにしている。ビニールなどでふさごうかと思ったけどやめた。これなら,迷い込んだ虫たちも,無事に家から出られる