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住んでから,どうにかする。 【地方空き家サバイバル】

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ある30代男性は,ひとりで地方に移住することにした。 住む家は築50年くらいで,窓ガラスは割れ,カギもしまらない。 知り合いがいるわけでもなく,お金もなく,仕事もない。 さらには…
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#空き家

地方移住を決断するまで

5年間,働いた会社を辞めたのは,虚無感に耐えれなかったからだ。この仕事に何の意味があるのか,誰の何に役立っているのか,そんな疑問を感じながら働くことは虚しかった。 仕事を辞め実家に戻った。早朝にスーパーで品出しのパートをし,午後は読書という生活を送った。コロナ禍の影響もあり,こんな生活を2年半も続けていた。品出しの仕事は,達成感や誰かの役にたっている実感があり楽しかった。どうやら,私にとっての報酬は,お金ではなく,達成感や有能感といった感情なんだと気づいた。 では,達成感

レジ打ちと対人不安 【地方空き家サバイバル,19日目,2022/6/10(金)】

今日は,ホームセンターでレジ打ちのパート。島根に移住してから,最もたくさんの人と接した日だった。独り身なので,誰とも話さない日もある。近所の人は積極的にからみに来てくれるが,それでも,誰も来ない日もある。 レジ打ちの仕事は,人と接する機会を持てて良いのかも知れない。というのも,コロナ禍で家に引きこもっているとき,じゃっかん対人不安が強くなった経験があるからだ。そのときは,何をされるわけでもないのに,周りに人がいるのが嫌だった。気になり,『社交不安障害』という本を読んでみた。

にぎやかな畑仕事 【地方空き家サバイバル,18日目,2022/6/9(木)】

畑を耕してから,2週間たった。ポットにまいた種も,芽が出て十分育ってきた。天気も晴れ。今日は植え付け日和だ。畑での作業に精を出した。 畑で作業していると,たくさんの人に声をかけられた。畑を貸してくれた人,近所の人,近所の保育園や介護施設の職員,そして,散歩にでた園児たちの大群。ここ島根の文化なのだろう,通る人はみな,挨拶したり,話しかけてくる。 いい場所の畑を借りられた。 通る人たちも楽しめる畑になるといいなと思う。 そんな私の,家庭菜園生活18日目を記す。 やったこ

掃除という写経 【地方空き家サバイバル,7日目,2022/5/29(日)】

家の至るところを掃除して気づいた。この家,すごい面白い。50年くらい前の木造住宅で,けっこう広い。そして,不思議なつくりである。平地から土を盛って建てられている。そのため,2階建てなのだが,1階より下の平地と同じくらいの高さにもう一部屋ある。この部屋で祖母が店を出していたらしい。この面白い家を建てたのはキュウザエモンさんという,ご近所の大工さんだそうだ。すごい腕の良い大工だったそうだ。この家を見れば納得である。この家を作るのは,さぞ面白かっただろう。ただ掃除しているだけの私で

マヌケは発明の母 【地方空き家サバイバル,6日目,2022/5/28(土)】

私はけっこう,ヌケている。今日も,苗を作るために,ポットに土を入れ,種をまき,水をあげようとしたら,ジョウロがないことに気づいた。ホームセンターには毎日通っているのだし,どこかで気づけなかったものか。しょうがないので,食品トレーに箸で穴をあけ,そこに鍋で水を注いでみたら,なんとかジョウロ的に機能した。 「必要は発明の母」というが,私のヌケている性質は,様々な必要と発明を生んでくれるようだ。なんてね。まったく,世話がやける。 そんな私の,発明生活(?)6日目を記す。 やっ