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住んでから,どうにかする。 【地方空き家サバイバル】

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ある30代男性は,ひとりで地方に移住することにした。 住む家は築50年くらいで,窓ガラスは割れ,カギもしまらない。 知り合いがいるわけでもなく,お金もなく,仕事もない。 さらには…
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#掃除

地方移住を決断するまで

5年間,働いた会社を辞めたのは,虚無感に耐えれなかったからだ。この仕事に何の意味があるのか,誰の何に役立っているのか,そんな疑問を感じながら働くことは虚しかった。 仕事を辞め実家に戻った。早朝にスーパーで品出しのパートをし,午後は読書という生活を送った。コロナ禍の影響もあり,こんな生活を2年半も続けていた。品出しの仕事は,達成感や誰かの役にたっている実感があり楽しかった。どうやら,私にとっての報酬は,お金ではなく,達成感や有能感といった感情なんだと気づいた。 では,達成感

ゴミの輪廻 【地方空き家サバイバル,17日目,2022/6/8(水)】

この家には,地下室がある。しかし,地下室の入り口は,封鎖されていた。家具がたくさん積み重ねられていたのだ。地下室の中に何が入っているのか。当然,気になっていたのだが,家具をどけるスペースが確保できなかった。日々の地道な掃除とゴミの分別により,スペースは確保できた。ケガをしないように家具をどかして,入ってみた。 地下室は6畳くらいの広さで,高さが1.5mといったところ。キッチンの下の空間だが,キッチンの初期状態よりきれいな気がする。気になる中身だが,ちょっと良さげな家具と,大

虫はさっさと移住する 【地方空き家サバイバル,15日目,2022/6/6(月)】

問題はズボラな私を動かしてくれる。今日,私を動かしてくれたのはコバエだ。2日前にトイレで5匹くらい見かけた彼らだが,今日は20匹くらいになっていた。さすがにうっとおしい。我が家のトイレは汲み取り式である。まあ,ボットン便所ということ。糞尿は便器の下のタンクにたまり,数年に一度くみとってもらう。 トイレについて調べてみると,世の中にはコンポストトイレ(バイオトイレ)というものが存在していることがわかった。このトイレは水を使わない。微生物によって,糞尿を分解してもらうというもの

汚い排気口の先には 【地方空き家サバイバル,13日目,2022/6/4(土)】

今日は久しぶりに,スーパーとホームセンター以外のところへ行った。車がないので,バスで。バス停がわからず一本乗りそこなったが,到着したのは図書館。欲しいのは,古民家での生活術に関する本だ。 この1,2週間で今の家を気に入ってしまった。これから自分でリフォームしていくのだが,下手なことをして,この家の良さをつぶしたくない。この家は,築50年の無垢材でつくられた木造建築である。腕の良い大工に作られたと聞いているため,昔の知恵が盛り込まれていると期待している。 昔の人の知恵を拝借

ツルツルからザラザラへ 【地方空き家サバイバル,4日目,2022/5/26(木)】

ヒトは環境の影響を強く受けるという。例えば,旅行や登山などで,いつもと違う環境にいくと,いつもと違う思考や行動が出てくる。だから,私は旅行や登山が好きだ。しかし,今回の移住はちょっと不安だった。環境ががらりと変わり,これまでの自分がいなくなるんじゃないか。そんな,不安だ。 不安は杞憂だった。いまのところ,これまでの自分はいなくなっていない。と思う。地方といっても日本。スーパーに行けば,見慣れた食材が並んでいる。家がボロく汚くなっただけだった。 ただ,意識は変わった。なんか