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求人票が劇的に変わる! 採用マーケの手順公開

こんにちは。ハリズリーの渡辺(@tips0926)と申します。お世話になっているキャスターさんからお誘いいただき「採用 Advent Calendar 2021」の19日目を担当します。

「採用」がテーマということなので『求人票が劇的に変わる! 採用マーケの手順公開』ということでお届けします。

はじめに : 誰に何を伝えたいのか

誰に伝えたいのか
採用ターゲットへのアプローチ方法を探している人事の方

伝えたいこと
採用は成功の因果関係を紐解くことは難しく「なんとなく」でも出来てしまうもの。変数が多く再現性の担保が難しい。だからこそ「こうすれば採用できる」の型を持っておくこと(=これが私の場合はマーケティング手法を取り入れることだった)は大切ですよね、ということ。

具体的に話すこと
狙ったターゲットにアプローチするために実践したことや、その前提となる考え方、そして今後の展望についてをお伝えするので、なにか参考になれば幸いです。

1. マーケティング手法を取り入れた理由


“てごたえ” のない採用活動

・応募は増えたけれども書類選考が通らない
・面接をするとカルチャーに合わなそうと感じる
・オンボーディングがうまくいかない
などのお悩みをお持ちではないですか?僕はありました。

求人票を作って転職エージェントや転職サイトに募集を出すと、それなりに応募はくる(エージェントさんも転職サイトもすごい。)けれど、求人票がイマイチだとピンボケしてターゲットじゃない層からの応募が増えてしまうことも、ありました。

じゃあ、どういう状態になれば “てごたえ” を感じられるのかというと、「ドンピシャ、この人だー!」という方からの応募があったり、面接をしてみて「そうそう、こんな人!」みたいなことだったりするので、つまり、“てごたえ”がない = "マッチング" が出来ていないということになります。

"マッチング" はなぜ難しいのか

では、なぜ "マッチング" は難しいのでしょうか。
私なりの考えはこちらです。

(1)「存在しないターゲット」を追いかけている
  - そもそも実在しない人を探している
  - 解像度が低くターゲットが見えてない
   (実際に現われたら違うかもってなる…)

(2)欲しい人材を ”集団” で捉えている
  - "個人" として見てあげることで、伝えるべき情報も見えてくる

・欲しい人材(のうち自社の特徴に魅力を感じてくれる人)
↓↑ ここの重なりを見つけて、欲しい人材に認知してもらうことが大事
・自社の特徴(のうち欲しい人材に喜ばれるもの)

※よくある失敗例
自社の特徴 = 価値だと盲信して一方的な発信になることがよくあります。たとえばフルリモート勤務。職種未経験者など就業に不安のある方には不安を助長する要素かもしれないですね。その場合には「フルリモート勤務の自由度」よりも「離れていても安心できるフォロー体制」を伝える方が良かったりします。自社の特徴は受け取る側が "うれしい" と感じて初めて価値になると考えています。

上記をふまえ "マッチング" 実現のために、以下の2つを大切にしています。
- 「欲しい人材」 と 「自社の特徴」を単体で考えない
- 重なるところに "価値"が生まれるので必ずセットで考える

「価値」のイメージ図

このような経緯で本格的にマーケティングの考え方を取り入れて採用活動をしてみているので、同じようなことに悩んでいる方の参考になれば幸いです。

※今回マーケティングの手法を取り入れるにあたって、webマーケティング会社(株)プレア の、アベユキノ(@AbeYukino_PLEA)さんにご協力をいただきました。

2. 「how」は最後、成功の鍵は思考の順番


思考は「目的」→「who」→「what」→「how」の順番。

採用で言うと以下のようなイメージです。
・「目的」:どんな状態になっていれば成功なのか
・「who」:ターゲットは誰なのか
・「what」:ターゲットに何を訴求するのか
・「how」:ターゲットに届ける手段

よくあるのは、とりあえず社員インタビュー記事を増やそう、流行りの媒体に記事を載せようといった「how」の話。これが先にくるのはNG。課題が見えていないとクリティカルな対策が打てず空振りする可能性が高くなるので「目的」→「who」→「what」→「how」の順番で考えることが大事。

なぜ「how」が最後なのかといえば、例えば以下の表にある通り「認知」から「興味」へ、「比較検討」から「応募」へと、ターゲットが離脱しないように次のステップへ進んでもらうようにするための施策が「how」になるから。そしてその「how」は、採用したい人材を理解し、何が「価値」になるのかを知らないと決して生まれないので、「目的」→「who」→「what」→「how」の順番です。

ファネル(採用ver)

では、考える手順を簡単に説明します。

(1)目的の整理

ここでは、何ができれば達成なのかを考えます。
事例として、店舗統括責任者を採用する場合でみてみます。

×:店舗統括責任者を採用する
○:エリアマネージャーへの指導体制をつくる
○:O2Oマーケティング推進のノウハウを外部から調達する

店舗統括責任者を「採用すること」自体は手段であって、それによってエリアマネージャーへの指導が行き渡ることや、O2Oマーケティングの推進が促進されることが目的になります。
なので、必ずしも採用のみが手段ということではなく、社内でのアサイン変更などによって目的が叶うのであれば、それもありということになります。

(2)「Who」の選定

次に、ターゲットを明確にしていく方法です。

a)欲しい人材の解像度を上げる
 - 目的に照らし合わせて実在の人物から探してみる
  (SNS、インタビュー記事、社内の同職種の社員などが有効)
 - その人が入社して、目的が達成できるかをリアルに想定
 - イケそうであればその理由を言語化して、must/want要件に設定

b)a の人物を軸にペルソナ設定
 - ペルソナはつくりやすいようフォーマットを用意(以下表を参照)
 - 年齢、性別、居住地、家族構成などデモグラフィック要素から考える
 - イメージを膨らませるため見た目の写真も(※肖像系、著作権に注意)

ペルソナ フォーマット

c)「行動スイッチ(インサイト)を」探す
・ターゲットが転職を通して解決したくなるコト(目的)を言語化
 - 本当は気づいてるけど目を逸らしているコト
 - 今まで気づかなかったけど言われてみれば解決したくなるコト

d)候補者ジャーニーマップの作成
 - 一連の行動を詳細に可視化(以下表を参照)
 - 次のステップに進むために必要な情報や、妨げになるものを探す

候補者ジャーニーマップ フォーマット

(3)「what」の選定

 - what = 価値
 - 価値 = 自社の特徴のうち、採用したい人材が魅力に感じてくれること
 - 「who」で考えたペルソナ、インサイト、カスタマージャーニーマップを参考に何が価値になるかを考え抜く

(再掲)
・欲しい人材(のうち自社の特徴に魅力を感じてくれる人)

↓↑ ここの重なりを見つけて、欲しい人材に認知してもらうことが大事
・自社の特徴(のうち欲しい人材に喜ばれるもの)

(4)「how」の選定

- 候補者ジャーニーマップの右側(ゴール)から施策を決定していく

★point
「採用マーケ」というと記事を作ろう、広告を出そう、広報しようとなることがあるけれど、その多くが「認知」を獲得する施策なので採用成功からは遠い施策になる。例えば内定辞退が続いていたり、最終面接が通らないなどがあるのであれば、その原因を分析するなどゴールに近いところから対策するのが結果的に早くなる。

(5)施策実行

- ここで大切なのはKPIの設定
- 単純に「数が多ければOK」「率が高ければOK」ということではなく、それぞれの施策が「何のために」するのか =「どうなっていればOK」なのかから逆算して設定することが肝要

3. ふまえ、求人票を作ってみました

これまでの手順の通りに整理して採用担当募集の求人票を作ってみたので一部を公開したいと思います。

point.1
 採用がゴールではなく、入社後の活躍までを見届けたいというターゲットに対する訴求。

▼ゼロから立ち上げたオンボーディングプログラム
まず、直近1年程度で多くの入社があったことでオンボーディングが緊急の課題となっていました。加えてそれまで決まったオンボーディングの仕組みはなく先輩がメンターとなって我流で教えていたこと、同時にリモートワークがスタートして対面で会うこともままならない中で問題は山積みでした。

課題を整理してみると、
(1)目標のコンセンサス不足:何を目指してどんな手段で取り組むのか
(2)研修体制:必要な情報や手段の提供
(3)人間関係構築:困った時に気軽に相談できる環境整備
大きく上記の3つが見えてきたので、オンボーディングプランシートを作成してテスト運用をはじめました。

ポイントは、
(1)3ヶ月後の状態目標を明確にすること
(2)そのためのアクション(本人に取り組んでもらう課題や研修)設定
(3)所属事業部の全マネージャーと人事で事前にmtgを開いて認識合わせをしておくこと
(4)本人と共有すること

これによって入社者から聞こえてくる声にも安心感が垣間見えるようになったり、事業部からも順調に立ち上がってくれているという話が増えてきました。

今後はPDCAを回し立ち上がりまでのスピードを早めていくことや、問題に先回りして対応していくこと、また社員数が増えていることを考えると横の連携を強化する意味合いで新しいインナーコミュニケーションの施策やリアルイベントの企画なども視野に入ってきます。

このように、課題を見つけて解決策を考え実行していくこと、そしてPDCAを回しながらより良いものにしていくこと、 そしてその取り組みから見えてくる課題に対してさらにチャレンジいくことが求められますし、そういった仕事には短期的というよりも腰を据えてじっくりと取り組んでいっていただけたらと思っています。

point.2
ミッションやビジョン、バリューといった会社の軸になるものを大切にしている会社で働きたい、という思いに対する訴求

人事の仕事が人事部門内で完結することはほとんどありません。事業部門のメンバーが「自分らしく」働くことができて、お客様に商品をお届けして、その結果お客様に、私たちのミッションである「ときめき」を感じていただくことができてはじめて、私たちの仕事は完成します。

しかし、これらは綺麗事に聞こえてしまうかもしれませんし実際そういう部分があるのかもしれません。ですので決して綺麗事で終わらないようにいくつかの取り組みを行っているのでご紹介させていただきます。

▼バリューの体現を、そのまま評価につなげる「人事制度」
当社の評価制度は「業績(パフォーマンス)」「行動(コンピテンシー)」「バリュー(行動指針)」の3つの軸で成り立っていますが、この「バリュー(行動指針)」の体現を個人評価に組み込んだ制度にしているところが私たちのこだわりです。

業績が大切なのはいうまでもありませんが、業績がよければなんでもよいというわけでもありません。仕事に臨むスタンス、人に対しての姿勢や態度、そうした一つ一つの行動こそがブランドづくりにおいては大切で、その先にいるお客様の「ときめき」につながるものだと信じているので、このバリューを大切にしています。

 また、3ヶ月に一度の表彰制度でも、バリューの体現をベースにMVPを決定しています。

さいごに : 事業に資するための取り組みを

 
 これまで、いろいろな会社で、様々な局面において「人」がいないから「事業」が進まないという場面を目にしてきました。採用担当として情けない思いをしたことも数知れません。ただ、日本の人口動態、職種別の就業人口や有効求人倍率、そうした視点からみれば全ての会社の採用が満たされることは残念ながらありません。なので、いかに人という貴重なリソースを確保するかは至上命題であり最優先課題といっても良いかもしれません。

 そのために「どうすれば採用ができるか」という、壮大な問いに対して私たちはこの先もすっと向き合っていく必要があるのだと思います。もちろん採用が事業に資するための人事的活動の一つでしかないことは確かですが、この先もその重要性は間違いなく増していくので、さらに進化できるように、そしてその際にはまたどこかで共有させていただけたらと思います。
今回の内容が一人でも多くの方の参考になれば幸いです!

※引き続き人事を募集中ですので、ご興味ある方はこっそりDMください 笑

明日は、Kodai Fukuda さんです!
どうぞお楽しみに。

それでは!


 



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