今年は本を読んだという話


好きか嫌いかで言えばまあ好きくらいの読書だったが、今年はどっか遊びに行く機会に恵まれ行き帰りに積んでたKindle本などを読んでたら割とハマって自分としては結構な量を読むことになった。
で、そうなると感想を誰かと共有したくなるのだが、あいにく突然沸いたマイブーム故にそんな誰かはいない。のでここに書いて不特定多数にぶち撒けようと思う。

物語についてはゴリゴリのネタバレは避けるつもりだが、人によってはオチがなんとなく読めたり初見の感覚を失うかもしれないのでご注意。

マイ・ハウス

競売で家を買うことで人生で初めて自分で何かを成し遂げようとするパッとしない女「和代」と、何もかもを失って今競売に掛けられた家さえも失おうとしている女「昭子」のお話。
何故かこの本をホラージャンルとして買った覚えがある。幽霊とかは出ないけど、よせばいいのに変な希望に縋って進む、変な希望に縋って留まるという、見るものをハラハラさせる構成は確かにホラーかも。止めたり助けたりしてくれる人もいなかったり妙なプライドで突っぱねたりする様はさながらバッドエンドRTA。救いは無いんですか?

完全教祖マニュアル

教祖のなり方について「先人たちがやったこと」や、「その時代のニーズ」などに注目して共通点を探りマニュアル化している。だけど読み終える頃には不思議なパワで宗教を俯瞰して学べてしまうナイスな一冊。
身も蓋もないことを言うと宗教の解説本なのだが、徹頭徹尾マニュアル本としての体裁を崩さず、章の終わりにはチェックリストまで付いているのが面白い。お前も教祖にならないか?

わが家

テレビドラマの脚本の小説化らしい。レンタル何でもする屋のスタッフとして働く男「一歩」が、幼少期に家族を捨て出て行った父とある依頼をきっかけに再会する事になり……というお話
まあちょっと話のオチが自分の感性としては地雷で、息子の心の傷を抉りかましてまで守る秘密だったのか?これが家族愛か?となってしまった。

テトリス・エフェクト

超有名な落ちものパズルの誕生と版権に関するお話。同じ話を扱った映画がAppleTVで公開されているがドキュメンタリーではなくガッツリ改変されたストーリー仕立てなのが気に入らず史実を扱った本書を買った。
前述の通り史実の解説なのだが、たった一つのゲームを中心に多くの人と企業の思惑が渦巻く様はまるで「事実は小説よりも奇なり」を地で行く群像劇である。
すごく綺麗にまとまっているのに史実側があまりに混沌とし過ぎているせいで一発で理解するのは難しかった。ささいなトリビアや全3編のコラムなども面白く読み応えのある本。

AX アックス

伊坂幸太郎の「殺し屋シリーズ」3作目だが何も知らず3作めから手を付けた。とはいえ1冊完結だし知らずに買って楽しめたのでどこから読んでも大丈夫。
愛妻家で恐妻家、高校生の息子がいるベテラン業者「兜」は、息子が生まれてからずっと業界を抜け出したがっていたが、仲介人の「医師」からは初期投資を回収できていないと断られ続けており……というお話。

書いてて思ったけどミステリーものは話に触れづらいな???
裏では超一流の殺し屋、家では冴えない夫という妙な温度差だったり、お仕事よりも帰ってからの描写ほうが妙に緊張させられたり、そう思ってたら…と緩急の付け方に終始圧倒された。

グラスホッパー

「殺し屋シリーズ」1作目。
中学校教師だった鈴木は、妻をひき逃げした悪徳会社フロイラインの社長「寺原」の長男に復讐するため自ら入社。やってきた復讐の機会に寺原長男は目の前であっけなく交通事故死してしまうが、直後に怪しげな人物が去るのが見える。同じ頃、偶然それを見た殺し屋の「鯨」は過去のある仕事を思い出し、さらにはその「鯨」を殺す依頼を、若いナイフ使いの「蝉」が受けて……というお話。

伊坂幸太郎の本は他にもいくつか読んでるけど、だいたいグワーッ!!だまされた!!する。
3者の視点で描かれて場面も頻繁に切り替わるのに情景がすんなり浮かぶ見事な書き方で不思議なほどスイスイ読み進められる。
余談だけどこれを読んだ後に映画も見た。……山田涼介くんのストイックぶりが冴え渡っていたのは覚えてる。

マリアビートル

「殺し屋シリーズ」2作目。やはり独立はしているが1作目を知っていると楽しみが増えるかも。
デパートから突き落とされ意識不明となった息子の復讐のため、犯人の悪辣な中学生「王子」を追って東北新幹線に乗った元殺し屋「木村」。偶然にも、裏社会の大物「峰岸」のボンクラ息子を救出し終え、身代金の入ったトランクとともに送り届ける仕事中の「蜜柑」「檸檬」コンビも乗っている。そして、天道虫の異名を持つ恐ろしくツキのない男「七尾」もまたこの新幹線に。上司の「真莉愛」によれば、東京駅から上野駅までのたった5分で終わる「簡単な仕事」だったが……なお話。

えげつない運の無さを遺憾なく発揮して悟りさえ開く勢いの七尾がほんとうに不憫で面白い。そしてやっぱりグワーッ!!だまされた!!する。この作品は特に記憶を消してもっかい読みたいくらいお気に入り。
余談だけど映画(ブレット・トレイン)も見た。疾走アクションコメディに振り切った感のある大胆な構成で面白かった。

豚のレバーは加熱しろ 1

悪友に唆されて生レバーを食った主人公は異世界で豚になってしまうが、奇跡的に、心の声を聴くことができ小間使いとして使役されるイェスマと呼ばれる種族の少女「ジェス」に助けられる。主人公は豚の呪いを解くため、ジェスはある目的のため、一人と一匹が王都へと向かうお話。

主人公が豚という設定を進行的にも異世界解釈的にも活用してて面白い。ただ現在8巻あってまだ未完という事実が次に進む力を奪う。ラノベって読み進めるのいうほどライトじゃなくないか?ラノベ読み筋を鍛えていきたいところ。

コンビニ人間

家族も頭を抱えるほどに「普通じゃない」古倉恵子は、大学から始めたコンビニアルバイトで店員をしている時だけ「普通に」なれた。大学から始めたバイトも18年になり36歳、友人達が人生を次のステージへ進めていた頃、白羽という男がバイトにやってきて……というお話。

古倉が「普通」を目指すのは、家族や周囲の人間にそれを求められるからに過ぎず、普通の定義に近づこうとしてやることがことごとく普通じゃないという悲しさ。でもまあ普通って難しい。異常しか知らないので。

Screen play 映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと

アメリカの脚本家シド・フィールドが名作の共通点を抽出して体系化した三幕構成に関する本。
脚本書く気は別に無いけど知った上で映画を観たら一粒で二度美味しいのではと思って買った。
とはいえ読み物ではなく教本のたぐいなので通読一回じゃ完全に理解するのが精々で、感想らしい感想も出せない。
ただ付け焼き刃の浅知恵でも「あーここがミッドポイントね完全に理解した」と1人納得しながら映画を観たりするのはちょっと楽しい。間違ってもひけらかすなよ!
訳本だけど読みやすく、映画脚本に限らず物語の組み立てには大体応用が効くうえ、執筆する時の環境づくりとか心構えまで教えてくれるので「チョットデキル」ようになりたい人にはぜひおすすめ。

恋に至る病

150人を超える人間を自ら手を下さずにして殺した殺人鬼「景(けい)」を殺したと告白する宮峰は、彼女と初めて出会った小学生時代を回想する。
クラスのまとめ役で誰からも好かれた景が、何故殺人鬼と化してしまったのかを辿っていくお話。

これもこれでグワーッ!!だまされた!!になったのだがここまでくると俺が単に信じやすいバカなのかもしれない。最後に残るある要素について誰かと話したくなる。

777 トリプルセブン

「殺し屋シリーズ」4作目。
一度見たものは忘れない。天性の記憶能力を持つ紙野結花は、脳に刻んだ記憶故に身を狙われ、"逃し屋"ココに自分の痕跡を消してもらうためホテルの一室を訪れていた。恐ろしくツキのない男「七尾」もまたこのホテルに来ていた。上司の真莉愛によれば、ある一室に贈り物を届けるだけの「簡単な仕事」だったが……なお話。

「マリアビートル」に登場した七尾がツキの無さに磨きをかけて再登場。でもここから始めてもちゃんと楽しめるぞ!
まじであんま変な事言えん……グワーッ!!だまされた!!は今回もやった。

領怪侵犯

日本各地で起こる怪異現象。「領怪侵犯」と呼ばれるそれに対応するため、片岸と宮木のコンビが各地へ赴くという話。

1話完結の話を一冊にまとめたもの、と思って俺は読んでたよ。ええ、そう思ってたとも。
人物描写は最低限、台詞回しや語尾で無理にキャラ付けしてるわけでもない。なのにキャラクター像が自然浮かんでくるなんか不思議な魅力がある。
違和感を大事にしていけ…

以上。

もうちょっとだけあるけどなんか感想もまとまらんしさっさと書き上げたい欲出てきた……。飽き性ゆえ……。
おすすめあったら教えてくれ!!!!

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