見出し画像

子育てと仕事は両立できる?

子育てと仕事の両立についてずっと考えている。私が実体験からわかったことを、あくまで個人の価値観にはなってしまうけれど、少し書いてみようと思う。

・・・

最初に結論を書くと
まず、
1.子育てと仕事の完全な両立は難しい(ほぼ不可能)
そして、
2.この問題を解決するために必要なのは、お金ではなく時間である。
今後は、
3.社会の意識を変えることが必要だと思う。

※まだ私の子どもは1歳半なので、もう少し成長したら話は違うかもしれません。とりあえず今感じていることを書いてみます。



1.子育てと仕事は両立できる?

私は出産前に「子育てと仕事は両立できるのだろうか?」と心配していた。周囲にそのような女性がおらずイメージがしづらかった。

実際にやってみた結果、上に書いたように「産前と同レベルでの仕事(質・量)を想定するならば、両立はほぼ不可能だ」と私は感じている。

理由は二つある。

まず、子育てしながら仕事をしていると、残業がしづらい。理由は単純で、保育園に迎えに行く時間が決まっているからだ。

「残業」という響きにはネガティブなイメージがつきまとう。しかし残業は仕事をする上での調整代になり、ある意味では不可欠な時間だ(と子どもを産んでから知った)。

トラブルが起きた時。
大事なプレゼンの直前。
同僚が病気になった時。
もう少しだけ検討を深めたい時……。
1時間でも2時間でも自由に時間を延ばせる状況と、延ばせない状況では、長い目で見た時の達成度が大きく異なってくる。私自身、残業分の時間が足りない結果、成果物のクオリティが下がってしまう……というもどかしさを抱いている。

子どもができたからといって、突然仕事の効率が上がるわけではない。物理的な時間の不足を“気合い”で補うことは難しい。

両立が難しいもう一つの理由は、子どもは頻繁に体調を崩すものだということ。小さい子は免疫が不足しているので、頻繁に病気をもらう。子どもが一定以上の熱を出すと保育園には預けられず、親が仕事を休むことになる。タイミングが予測できないし、何日続くかもわからない。

ただでさえ時間が足りない上に、突然の休みを強いられると、余計に思い通りにことが進まなくなってしまう。

この二つの理由から、私は「保育園に預けたとしても、出産前と同レベルでフルタイムの仕事をこなすことは不可能だ」と感じている。

そして、仮に両立ができているように見える人がいたら、そのしわ寄せが必ずどこかにきているはずだ。

具体的には、
・祖父母に面倒を見てもらえる
・会社が寛容である
・同僚がその分多く仕事をしている
・親自身が寝る間を惜しんで仕事をしている(→体調を崩す)
・そもそも仕事が実はうまくいっていない
あるいは
・子どもが我慢を強いられている
という可能性もあると思う。


2.お金ではなく時間

仮にこの問題を「お金で解決しよう」とした場合の選択肢は、
・時短家電や時短サービス
・ベビーシッター
・病児保育
といったところだろうか。

時短家電や時短サービスは最近とても充実してきている。わが家も産後にたくさん時短家電を買ったし、冷凍の幼児食なども取り入れ、助けられている。しかしこれらは「親が心にゆとりをもつために、家事を楽にこなす」ための商品だ。家事以外の子育ては任せられない。

ベビーシッターや病児保育のように「お金を払って他人に動いてもらう」サービスも場合によっては有効だと思う。けれど、子どもが体調を大きく崩した時などは他人に丸投げする気分にどうしてもなれないし、制度上不可能だったりする(高熱や感染症の場合は利用できない)。

それに、子どもの精神的な成長を考えても、親と過ごす時間があまりに短いのはよくないと思う。専門外なので正確にはわからないけれど……。

ベビーシッターへの抵抗感は、日本の文化に根付いていないせいもあるのかもしれない。シッターが当たり前の国では、子どもを丸投げする罪悪感が少ないかもしれない。

つまり、お金での解決には、親としての感情も含めて限度があると思う。

・・・

結果として、親──特に母親が、次第に悩みはじめる。「仕事が思うように進まず、かといって子どもに全力で関わることもできず、職場にも子どもにも申し訳ない。仕事の割合を減らそうか、いっそのこと辞めようか」と。

なぜ母親なのだろう?

収入が比較的少ない場合も多いだろうし、文化的な背景も大きいだろう。ひょっとしたら母性本能かもしれない。それに子どもはどうしても母親を信頼する。生物として違うから男女で差があってもおかしくはないが、原因は複合的なように思える。


3.社会の意識を変える

──というようなことを考えた結果、もし私が社会を大きく変えられる立場にあるとしたら、一番変えたいのは人の意識だ。

具体的にはまず、「子育てと仕事をどう両立させるか」と親が悩むのをやめたほうがよいと思う。本質的に不可能な問題に対して各家庭が悩んでいる現状は、全体として損失がかなり大きい。一人一人がこの道を通って「やっぱりワーママはきつい」「メンタルもたない」なんて愚痴り合うのは建設的でない。そんな状況だから若い人が「子どもを育てるのって大変そう」と感じてしまうのではないだろうか。

子どもがいない時と同レベルで仕事をしながら子育てするのは、無理」。それが一般常識になったほうがよいのではないか、と私は思う。

でも、子育てしながら仕事を続けたい。そう考える人が多いなら、どうすればよいか。

例えば、「時短でなくフルタイムでも、子育て期間は労働時間が減少する」ことを一般常識とするべく動く。その上で、しわ寄せを会社が請け負う。そして会社への支援を国から行う(=実質は、国民が負担する)。

子育てしながら仕事をする上で、会社に対して「申し訳ない」「仕事が進まない」「こんな状態でよいのだろうか」「立場が維持できないかも」と感じながら仕事をするのは精神的につらい。周囲の理解が得られていないのではないか、という不安も大きい。周囲(会社)の負担が軽減される仕組みができれば、常識が変わり、全体的なやりにくさも改善される気がする。もちろん金銭的にも生活を維持できるようにはしておきたい。

両立のロールモデル(インフルエンサー)を作るのは悪手だ。先述のように、しわ寄せがどこかにきているはずで、それを隠しているだけだからだ。ロールモデルのような働きを目指した結果、挫折する親は多いと思う。むしろ、「数年間は仕事がやりにくくて当たり前」という感覚を全員で共有した上で、子育て期を抜けるまで継続できる環境を整えるほうが前向きだ。



以上、実際に経験して感じた・考えたことをありのままに書いてみた。当たり前の話を並べただけともいえるけれど、出産前は私自身うまくイメージができずにいたことだ。

児童手当や奨学金や減税のように、金銭を支給してくれる支援もとてもありがたい。でも、子どもと過ごすための時間はお金で買えない。

時間が不足することのしわ寄せを、個人個人が悩んでも解決は難しい。しかも悩んだ結果として、仕事を辞めたりセーブする女性が多い現状では、若い世代が子どもを産むことに積極的になれないのも当然だ。

だから「子育てと仕事の両立は難しい」という事実を一般常識に引き上げ、親の精神的な労苦を減らすこと。同時に、子育て期の時間不足によるしわ寄せを、政策で解決すること。それが可能になれば、好循環が生まれるのではないか──と考えた。

実際に育ててみると、子どもはとてもかわいいし、子育ては貴重な時間だと知った。子どもを産めて本当に良かった。でもやっぱり仕事は自分にとって人生を支える軸だし、辞めたくない。

双方の楽しさをバランスよく享受できる社会が理想だし、そのための手段はまだあると思っている。日本だけでなく外国の状況も学んでみたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?