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個人情報の値段はいくら?

クリスマス特別号。仕掛け絵本。本物そっくりビニール製し○じろうパペット。し○じろうと歌うDVD。バースデーケーキ型おもちゃの実物見本……

いよいよ確信した。

私はベ○ッセに個人情報を売ってしまったのだ。

・・・

いつ、どのようにしてわが家の個人情報がベ○ッセに渡ったのか、私は知っている。身に覚えがある。

「中期のひよこクラブ」に見開きで特集されていた懸賞。このブリヂストンサイクル(2名様)に応募したのは他でもない自分だ。

そう。子どもの生年月日を入力した。

その後どうなったか──言うまでもない。こどもチャ○ンジの勧誘DMが次から次へと届くようになった。

肝心の電動自転車は届かない。

・・・

文章で書くと大したことではなさそうだが、ベ○ッセのDMはえげつない頻度で届いている。「経費大丈夫なのかしら?」と心配してしまうほどだ。

最初は

「うわー!この漫画なつかしいね〜!」

と夫と笑い合っていたのだが、だんだん

「ねぇ、またし○じろう来てるんだけど」

とビビるようになった。

ベ○ッセの教材の品質が悪いとは思わない。というか、そこそこ良いのだと思う。怖いのは、自分がいつしかこの広告にノックダウンされるかもしれないと感じるからだ。バンバンにかけられている経費こそが「多くの赤ちゃん(の親)がノックダウンされている」という事実を物語っている。

何を隠そう、夫も私も進研○ミ経験者だ。あの漫画にやられたたちである。



さて、ベネッセが企画したこの懸賞にかかった経費はいくらだろうか。ざっと計算してみよう。

・サイクリング賞/ブリヂストンサイクル(電動アシスト自転車)約15万円×2名=30万円
・トラベル賞/星野リゾートギフト券10万円×10名=100万円
・ショッピング賞/アカチャンホンポ商品券10万円×10名=100万円
・A賞〜K賞/おもちゃ、おむつ、粉ミルク、日用品など企業協賛品と思われる低価格の商品×合計105名=無料(多分)
・広告作成費、諸経費=50万円(適当です)

以上の合計で300万円程度の宣伝費をかけてこの懸賞を打ったと推測する。

一方で、この「中期のひよこクラブ」の発行部数はどうか。

上のサイトによると、2017年8月のひよこクラブは発行部数約12万部。単純計算で年間144万部。しかしこの頃は月刊だったが現在は季刊誌になっており、かつ「初期」「中期」「後期」と時期を分けたスタイルにリニューアルされている。なので144万部÷3種÷4シーズン=12万部、少子化のため少なく見積もって10万部としておこう。
(計算適当なのでツッコミどころあったら教えてください)

懸賞などふだんはスルーする私でも応募したことを考えると、だいたい10人に1人は応募したのではないか。というわけで、1万人が応募したと推測。以上より、

300万円÷1万人=300円/人

私は300円で個人情報を売ってしまったことになる。

※1/24追記
冊子を見返すと、この抽選キャンペーンは、他の「ひよこクラブ」と「たまごクラブ」も合同のキャンペーンだったのではないかと思われます(じゃないと景品が高すぎる)。ですので、上記の計算結果は300円ではなく100円程度と推測されます。(あくまで推測です)。



マーケティングなんて全くの門外漢だけれども、ベネッセにとって喉から手が出るほど欲しい情報が「新しく生まれた子どもの生年月日」であることは想像に難くない。

どんなに頑張っておもちゃを作っても、超面白い漫画を描いても、直接ターゲットに届かなければ訴求力がグンと弱まる。

「電動自転車が欲しい」という軽い気持ちで、「2名様」という超難関にも関わらず、ホイホイ応募してしまった自分──。ここから17年近く、このDMという名の誘惑に耐えねばならないのだ。子どもが物心ついてきたら、自ら漫画を読んで「私もやりたい!」となるかもしれない。手にとるように想像できる。

だって自分もそうだったから。

・・・

個人情報、個人情報と言われても、「別に売って損する情報じゃないし」と軽んじて生きてきた。

確かにこの情報を渡すこと自体に損得は発生しない。DMを送りたいならどうぞ送ってください、だ。むしろ漫画を読めて楽しいし、子どもはしま○ろうを見て喜んでいる。

しかし、この300円の個人情報取引によって、近い将来の数万円に及ぶ出費の可能性がグンと高まった気がしてならない。捨てる気にさせないDM作りはもはやお家芸である。

ベネッセ、恐るべし。



というわけで、マーケティングというのもなかなか面白いジャンルだな、と感じた出来事でした。統計学もいずれ勉強したい。


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