「愛のために乾杯だ。真実の愛のために」|あるいはコンテンポラリーダンスのように
■レイモンド・カーヴァー『愛について語るときに我々の語ること』
「さあ、みんなで乾杯しようぜ」と彼は言った。「乾杯の音頭を取らせてくれ。愛のために乾杯だ。真実の愛のために」(P.249)
ポール・オースターに続いてレイモンド・カーヴァーを選んだのにはわけがある。
以前読んだ、村上春樹と柴田元幸の対談『翻訳夜話』の中で(以下の記事)、二人がオースターとカーヴァーの短編を「翻訳し合う」という面白い試みをしていた。村上氏はカーヴァー、柴田氏はオースターにそれぞれ傾倒していると