セーラーマーキュリーは私のヒーローだった

小学生のとき、セーラームーンが大好きでした。

正確に言うと世代ではないのですが、幼稚園の時に再放送で見て、小学校中学年くらいの頃にTSUTAYAのレンタルビデオで見直していました。
お母さんに頼んで毎週一枚ずつ順番に借りて、たしか全シリーズを観たと思います。
そのとき、一番好きだったキャラクターがセーラーマーキュリー、水野亜美ちゃんだったのです。
それは亜美ちゃんが、勉強ができるヒーローだったからでした。

当時やっていたアニメでは主人公は大抵、算数は苦手で、ドジばかりしていて、だけどみんなの人気者でした。
おジャ魔女どれみのどれみちゃんも、カードキャプターさくらのさくらちゃんも、セーラームーンの主人公のうさぎちゃんだって、そうでした。
男の子のヒーローにもそういうキャラクターが多かったと思います。

小学生のあたしはそんなヒーローたちを見て、あたしではヒーローになれないのだと思っていました。
あたしは算数が得意で、いつもいい子であろうとしていて、目立たない女の子だったからです。
もちろん、先生もお母さんもあたしを褒めてくれました。友達にも算数ができてすごいねって言われていました。
それはすごく嬉しいことだったし、当時の私にとって誇りでした。

でも、ヒーローにはなれない。

いつもドジをして泣いている、だけどどうしてか愛さずにはいられない、そんな子しかヒーローにはなれないんだと思っていました。おかしな話だと思われるかもしれませんが、算数ができることにコンプレックスを抱いていたんです。

そんな私の前にセーラーマーキュリーが現れたんです。
亜美ちゃんはIQ300の天才少女で、いつも勉強をしている子でした。でも他のセーラー戦士と同様ものすごくかっこよく、ときにはその頭脳を武器にして戦っていたんです。
今見てみると、普段の亜美ちゃんは大きな眼鏡をかけていていかにもガリ勉!というかんじだし、服装も他の戦士のほうがおしゃれです。でもそのときの私にはものすごく垢抜けたかわいいヒーローに見えました。
(実はおジャ魔女どれみにも頭のいいはづきちゃんというキャラクターがいたのですが、当時の私にとって同年代で育ちのいい女の子風の彼女は憧れにならなかったのです)

算数ができてもヒーローになれるんだ!
こんなにおしゃれでかっこいいヒーローになれるんだ!
ものすごく嬉しかった。

さて、私は成長するにつれて大して勉強もできない、もちろんヒーローにもなれない普通の大学生になってしまいました。
でももしかしたら今でもこういうコンプレックスを抱いている子はいるんじゃないでしょうか。

アニメ以外でも、勉強ができなくてもいいとか学歴なんて関係ないとかそういうことばかり言う人たちがいます。
もちろん、それも正しいと思う。
勉強ができないことを理由に先生や親に褒められる機会が少ない子にとってはアニメの主人公も、そういう人たちの意見も大きな助けなのだと思います。
実際、勉強はちっとも全てではないですし。

だけど勉強ができる子だってヒーローになりたいし、魔法が使えるようになりたいんです。

だから、頭が良くてだけど垢抜けたセーラーマーキュリーみたいなヒーローも、いたらいいなと思います。

#エッセイ #コラム #思ったこと


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