「好き」の話

今日はaikoの話をします。
歌手のaikoです。「ボーイフレンド」や「花火」で有名な、あの。
(本当は他にもいい歌がたくさんあるのでそちらをもっとあげたいんですけど、長くなるので便宜上取り上げられることの多いものを選曲しました。あしからず)
aikoは私の一番好きなアーティストです。
aikoを好きになってから、8年が経ちました。
それで最近、たぶんだけど、私に「好き」という気持ちを作ってくれたのはaikoなんじゃないかなと思うんです。
だから今日はその話をしようと思います。

中学生の頃、私には「好きなアーティスト」というものがありませんでした。小学生の時と同様、聴く音楽はドラマの主題歌や流行りのアイドルの歌ばかりでした。
でも、中学生になると周りに「好きなアーティスト」がいる友達が現れはじめました。
それに、憧れた。
浜崎あゆみとか安室奈美恵とか、友達の好きなアーティストには少し世代が上の歌手が多かったのも、かっこよく見える原因だったのかもしれません。
私は、自分の好きな歌手、というものを探して、知らなかった音楽に手を出すようになりました。その時聴いた曲は、今でも好きなものが多いですが、邦ロックが多かったです。ELLEGARDENやBaseBallBearに出会ったのもこの時期でした。

いっぽうで、ちょうどその頃、私には好きな人がいました。
頼りになるかんじではないけれど、すごく優しい人でした。目立つイケメンではないけどかっこいいかかっこよくないかでいうならかっこいい。私の好きな人、そういう人が多いんですよね。
あ、話がそれた。えっと、そう、とりあえず、いい人でした。
その好きな人がaikoのファンだったんです。
それがaikoとの出会いでした。
しかしこのときの私はaikoに全く興味がありませんでした。aikoを聴いたのはあくまで話題作りのためだったからです。
おそらく、当時の私のaikoに対する知識は普通の人よりも少なかったと思います。さっき挙げた「ボーイフレンド」と「花火」のサビ部分すら、聴いたことあるかも〜くらいで、他の曲はおろか、aiko本人の顔もおぼろげでした。
それに、aikoってなんか、かわいい子が聴くやつだよね?というイメージがありました。
(実際、これまで出会ったaikoファンはほんとにかわいい子が多いんですけど。後輩の子なんて目がこぼれ落ちるんじゃないかってくらい大きいです。すごい。)
ふわふわしてて、元気で、恋する乙女、みたいな女の子たちが好きになるものだと思っていたし、自分はそんな女の子たちには当てはまらない、似合わないと思っていました。
だからaikoは私の中で好きなアーティストの候補ですらなかったんです。

しかし、その考えをaikoはひっくり返しました。
借りてきたaikoのCDを寝る前に聴こうと思って、イヤホンをつけて布団に入りました。「桜の木の下」というアルバムのちょうど2曲目、あの「花火」を聴いたのが、私がaikoを大好きになった瞬間でした。
今でもよく覚えています。本当に「びびっ」ときて、あわてて飛び起きて、何度も聞き直した。
一目惚れ、みたいなかんじだったと思います。2度目にその曲を聴くときには、自分には似合わないなんてイメージは忘れて、もうaikoが大好きになっていました。
それから、他の曲もaiko自身のことも好きになって(というよりも、花火を好きになった瞬間にそれらも好きになることは決まっていたような気がします)、aikoは期せずして私の「一番好きなアーティスト」になりました。

それから8年が経って、私はすっかりaikoジャンキー(aikoのファンのことをそう呼びます)になりました。友達から「aikoのどこが好きなの?」と聞かれることもたびたびあります。
でも、うまく答えられません。もちろん、歌詞だとかメロディだとか、要素として挙げて説明することもできますが、なにせ一目惚れ(一聴き惚れ?)なので、理由があって好きなわけではなくて、aikoがaikoであって、歌を歌ってくれるから、それだけで好きなんです。
ただ、aikoに惹かれるのは彼女の曲が私にとって唯一無二だからなのではないかとは思います。
こんな曲、こんな音は他に聴いたことがないし、こんな歌詞をかける人は他にいない。聴くたびに思うんです。
音楽には詳しくないので、コード進行も楽器も編曲も演奏する方のこともよくわからないのですが、普通のギターでさえ、aikoの曲の中にあると初めて聴く音にきこえるんです。
もちろんどの歌手の方の曲も他の人には作れない唯一のものに違いないと思います。でも私にとっては、やっぱりaikoだけがとにかく他と全く違うアーティストなんです。

そしてこの、aikoを「好きだなぁ」と思う気持ちが、私の中の「好き」という気持ちの基本になっているように思います。
それまで特筆して好きなアーティスト、そしてほかの分野でも何かすごく好きなものを持たなかった私は、aikoを好きになってはじめて「好き」という感情をきちんと認識したんです。
そして、aikoを聴くと「愛してるって思う事こんな感覚なのかな」(aiko「サイダー」)と思って、「好きだと確かめる」(aiko「半袖」)んです。

aikoは今年7月17日にデビュー19周年を迎えました。いま、20年目の年です。
この素敵な年にaikoのファンでいられることに感謝して、私に「好き」を実感させてくれるaikoを、これからももっと大好きでありたいなと思います。

おわり。

#エッセイ #コラム #aiko #大好き

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