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私、ちっともかわいそうじゃなかった。

私の父の仕事は乗馬のインストラクターでした。過去形なのは父が死んだからではありません。今年の2月で仕事を引退したからです。父は元気です。安心して下さい、生きてますよ。

父は高校時代から馬術部で、大学卒業後一般企業に就職したものの、やはり乗馬関係の仕事がしたくて乗馬クラブで働き始めたそうです(両親談)。
父は今、76歳です。彼の高校時代って60年くらい前の話です。入る高校を決めた理由が「馬場があったから」だそうです。
馬術って、今でもマイナーな競技だと思います。今回のオリンピックでもTVでの中継はないようです(ネット配信では見られます)。
関わりのない人から見たら、ごく限られた人の趣味でしょ?くらいな印象だと思います。ましてや野球やサッカーなどと違って、生はもちろんTVですら競技を見る機会がほとんどないのが実状。

本来は「東京オリンピックまで働いて」と言われていたそうです。でも、それはオリンピックが2020年に行われる予定だった頃の話。やはり体力的にきつくなって2021年の2月を以って退職となりました。ですが今回、父が働いていた乗馬クラブ所属の選手が晴れてオリンピック出場となりました。

乗馬のインストラクターという職業はサーヴィス業なので休みは週1回、それも平日月曜日か火曜日。土日祝日お盆等書き入れ時は必ず仕事、休みたくても休みは取れません。物心ついた時からずっとそんな感じでした。しかし、父はお酒を飲まない(飲めない)ので仕事の日は仕事が終わるとまっすぐ家に帰ってきていました。
それを周囲の人に言うと、「お父さん土日休みじゃないの?一緒にどこにも行けないね。お盆も休みじゃないんだ。かわいそう。」みたいなことを言われていました。私はむしろ「???」でした。普段早く帰ってくるし、酔っ払って絡まれることもないし、土日に父が家でゴロゴロしていることもないし・・・(笑)。何より私にはそれが当たり前だったし、本人としては何の不満も不自由もなかったので「かわいそう」と言われることの方が不思議でした。

それよりも、毎日生き生きと仕事に出かけて行き、朝早くから夜遅くまで働く父を誇らしく思っていました。
生き物(馬)が主役なので体力的には大変な仕事です。よく「疲れた、疲れた」とは言っていましたが仕事の愚痴などを家で言うこともありませんでした。


私の中で昔から変わらないのは『好きなことを一生懸命やっている人が好き』と言うことです。これは父の姿を見て育ったからだと思います。人は好きなことをしている時が一番生き生きしている、と言うことを身を以て教えてくれた父のおかげだと思っています。

だから私は、好きなことを一生懸命やっている人を応援し続けたいのです。

馬術日本代表選手団の皆さん、応援しています。

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