【IoT座談会】MODEメンバーが考えるIoT革命とは?
2022年11月某日、「IoT座談会」と称しMODEのメンバーに集まってもらい、普段IoTについて考えていることについて、自由に話してもらい大いに盛り上がりました。
エンタープライズ向けIoTはこう変わる!
ー IoTの展望について、みなさんのご意見を教えてください。
嶋田:データを集めてクラウドに上げるって考え自体は、10年以上前からありましたよね。これが今、すごく現実的になってきて、IoTでデータを集めるのをサービスとして提供できるようになってきた。この先、データ活用は絶対なくならないでしょうね。
ビジネスの世界だけではなくて、一般消費者にもわかりやすく伝わって、身近な世界になるところまで広がればいいなと思う。
渡邊:よく「可視化してどうすんの?」って言われるんですが、可視化した先で、どうフィードバックして回していくのか、そのノウハウが、Web以外の業界に広まっていくと考えてます。
今はまだ、いろんなデータを見て実行して検証を回すことに全然慣れていない。さらに、それをしっかりと提案できるシステム側のプレイヤーもいない。だからIoTの技術を持っているMODEが、IoT化だけでなく、そのノウハウと一緒に提案していかないとならないフェーズだし、向こう3〜4年はひたすらサポートしていかないと定着しないと思ってます。
佐藤:僕は、ずっと製造業をやってきた立ち位置から発言すると、データを収集するってのは、製造業では10年以上前からやってるんですよね。だから、PLCでデータを取得するのが、一般社会に浸透しつつあるのが今のIoTだと思うんです。
この先どうかというと、いま注目されているのは、AIを使ってデータを分析して、価値を見出すところ。分かりやすいのはコスト削減やし、IoTも、データを集めるだけじゃなくて、それができないと終わっちゃう。今はまだモニタリングするだけというレベルのものが多い気が…。
石井:これまで夢物語だったIoTが、実はそんなに大それたことじゃなくて、自分たちもちゃんと考えないと、その経営効果が得られないって実感されてきたところだと思います。さらに、そういういわゆるDX人材が増えてきて、社内できちんと回り始めるのが、2〜3年後くらいだと思うんですよ。
その後は、大企業を中心に、物を売っていくところから、ソリューションへと移ってきてるので、そこで働いてる人たち自体の質が変わっていくと思うんです。
そうすると、今までIoTって、ソフトのことは考えなくていいと思っていた日本企業が多かったのが、大きなスパンで変えていかなくちゃいけないし、変わらない企業が残らない時代が来ると思うんです。その先は、人材含めてすごく変わっていくフェーズが来るんじゃないかなと。そこが変わらないと、たぶん日本の企業終わっちゃうな、と思っています。
ベンダーが増えれば利用者が増える
渡邊:リエさん(=石井)に質問で、黒か白かで、業界がバーンって変わるんじゃなくて、やってる企業はとっくにやってるし、やってない企業はまだやってないと思うんです。IoTが広まる過程で、このレベルの企業がやるようになるっていうのが、にじみ出てくるんだろうなと思って。
何が言いたいかっていうと、すごい変わっていくって言ってたのは、実際に定着するのはどの層かなと。どこが増えると思いますか?
石井:今まで構想があったけど、具体的にどうやったらいいか分からない層かな。
例えば最初のAWSって、ただあるだけで、技術者が使えなきゃいけなかった。それが、AWSを実装するベンダーがたくさん出てきて、パッと広がったじゃないですか。こういうベンダーが増えてくるんじゃないかと思うんですよ。いろいろやってくれる会社ができたから、じゃあ社内システム、変えちゃってもいいねって変わってきたと思うので、次の5年はそこに行くんじゃないかなって考えてるし、そうなって欲しいからMODEにいます(笑)
MODEみたいな会社が、たぶんこれから増えていくと思うんですね。これが浸透していくと、その層の人たちが具体的にやれるようになるので、社会実装されていくんじゃないかなって。
モニタリングの先は業界の標準化
上野:僕の勝手な想像ですよ。長期視点で見ると、一つの事業・企業の中で、拠点間を標準化するっていうフェーズが今。その次のフェーズでは業界を標準化する。
工場と工場をクラウドで繋いで共通化するのができてきたのが今です。この単位がもっと大きくなると、クラウドにいろんな会社が繋がってくる。そうすると、業界に繋がっていくんです。今後はたぶん、集合知をデータで標準化していくし、インダストリーの世界がどんどん標準化されていく。
例えば、今までデータを測定して、OEE(Overall Equipment Effectiveness)にExcelを合わせて集計してたのが、どんどんデータが吸い上げられて、標準化されていく。最終的には、標準化されているものを作った人たち(胴元)が勝つようになる。
それがプラットフォームになってきて、工場向けのGoogleみたいな、整理された情報をどんどん持ってくるプレイヤーが現れていくと、一気に様変わりするって思ってます。そういう意味で、標準化の世界が、IoTとの相性なんじゃないかな。
そのためには、モニタリングから入るしかないんです。今は、標準化できるための答えを誰も知らないから、繋ぐメリットは何もないんですよ。だから僕らが「モニタリングのためにやりましょう」と言って、とにかくクラウドにデータを上げ、気づいたら標準化されてるっていう世界が、僕が見てるIoTの世界。
上田:さっきヒュウマさん(=渡邊)が聞いてくれた、どれぐらい広がるんですかっていう質問って、このまま放っておいたら、日本の会社の1割ぐらいはできて、残りは退場みたいな感じじゃないかな。データ活用する会社とできない会社で、明らかに差がつくんですよ。TwitterやFacebookも、データ見てユーザーがわかってるから勝ち残ったけど、そうじゃなかったら、たぶんアウトだったんですよね。
上野:GoogleとかTwitter、Facebookは、お客さん側もデータを見えるようにしたのが、すごい大きいです。インプレッションや広告効果が見えるわけですよ。それまでのテレビの視聴率って見えないじゃないですか。
さらに、KPIってマーケティングが一番進んでるんですよ。SNSとかWebって、すでに食い尽くされて、これ以上トラフィックがないような世界。そう考えると、広告ビジネスの標準化を彼らはしたんです。それがインダストリーの中で起こるのが、IoT革命だと思う。
データ活用できる企業が勝者となる
上田:IoTでできてることって、POSに似てるんですよね。POSの覇者といえばセブンイレブン。
上野:セブンイレブンと弱小コンビニチェーンの差って、データを活用できたかどうかだっていう、有名な話あるじゃないですか。
上田:毎日同じ商品を買うと、陳列方法が変わるくらい、自動的に反応するシステムが、セブンイレブンはできてる。
上野:MODEとしては「収集したデータを使ってKPIを作る会社になるのか」それとも「収集するための場所を提供する会社なのか」で立ち位置変わってくるなと。
渡邊:KPIを作るって何ですか?
上野:例えば、こうやったら絶対に効率化できます。
上田:あと、業界の秘密のノウハウを持ってるとか。
石井:そこを欲しがられますよね。
上野:何のためにデータを集めるのかっていうとこがあるから。
石井:結局「データを貯めると、こういう結果が出るから導入します」ってなるわけで、考えるところはみんなやりたくない。
上田:さっきの話だと、POSってIoTなので、POSの会社ってあるわけですよね。でも、データ活用したノウハウを持ってるのはセブンイレブンなんですよね。
上野:POSの会社より、セブンイレブンの方が強いっていうことですよね。
上田:っていうことは、そこになるにはMODEが、何か最強の戦術メンバーとかにならなきゃいけないんですよ、たぶん。
渡邊:技術的には絶対できるようにしてあげるし、データ活用のところも、一般的なデータ分析の仕方を教えてあげることもできる。MODEが組織として大きくなってた暁に、業務インダストリー担当みたいな、その領域のデータ活用にめちゃくちゃ詳しい人いたら、色々できそう。
データサイエンティストはセクシーな職業じゃない?
嶋田:データをどう活用したら良いかから、うまく提案できるとすごい現実味がある。
上野:逆ができるんですよね。これができるようになるから、このデータ取りましょうよって。そんな器用なデータアナリスト、世の中にいないですよね。
佐藤:業務を知らんとできへん。そこをアウトソースしたら、あなたの会社の存在意義はなんやねん!って話。
渡邊:データアナリストって、その業界にすごく詳しくなきゃいけないし、オペレーションもKPIツリーも知らなきゃいけない。経営層にも現場の人にもプレゼンして営業しつつ、データを出すってやらなきゃいけないから、たぶん複数のインダストリーを掛け持つって難しいと思う。
上野:前は、データサイエンティストがセクシーな職業と言われてたけど、分析するだけだから、実はセクシーじゃなかった。結果的にデータアナリストとデータサイエンティストでは何もできませんでした。っていうのが結論としてすごく…セクシーな職業じゃないんですよ。ずっとデータの成形というか(笑)
上田:あんまり楽しくなさそうだ。
渡邊:分析できるような形に仕上げて、分析自体は割と一瞬みたいな。
上野: そもそも精緻化されてないんすよ。
渡邊:「これとこれを掛け合わせたらいいんじゃないの。やってみて」って指示できるのが一番セクシー。
MODEメンバーは現実世界が大好きらしい
佐藤:僕の中では、BtoCの世界にIoTがどれぐらい浸透するかは、ちょっとハテナですね。個人はお金がないし、僕だったら買わない。
上野:僕、めっちゃIoTしてます。スマートウォッチになって、さらに使うようになりました。
上田:ずっとサブスク代は払ってない?
上野:払ってないです。
上田:でしょ。たぶんそこじゃないかな。
上野:でもiPhoneで統合されてるので、この中で僕は満足しているデータを持ってる感じがしますけど。
上田:百万人単位でユーザーがいたFitbitのスケールでも、ビジネスにならなかったんですよね。たぶん、iPhoneはハードウェアのプレミアム価格の中で、サブスクリプション相当の回収ができているわけだ。
上野:買い換えるから。
上田:そうそう。Fitbitはそれがなかったんで。結構な規模のビジネスだったんだけど、これじゃ商売にならなかったんじゃないかな。
テクノロジーが、一般の人たちにどれだけ広まるかはハードウェアが絡んでて、この5〜10年で新しくなった感じがあるのは、リアル世界の方。
経済規模では、人類のアクティビティの8割がリアルで、2割がオンラインで起こっていて、インターネットはもうやり尽くした感がある。FacebookとかGoogleの売上がスローダウンしてるのを見ると、そろそろやることなくなってきたかなって。もう面白いことがないんですよ。
スマートウォッチって、ウルトラ警備隊が使ってたようなものが、実現した感じなんですよね。同じように、あと20年ぐらいで、子供の頃思ってたような未来の世界になっていると思います。ロボットが普通に働いてるみたいな。
上野:インターネットでやることって、ほぼないんですよね。これ以上先、メタバースとか行かないし。ってなると逆に、現実世界の、例えばホログラムとかが次に来ると思うんですよ。
石井:私、メールで追いかけられるのが、大嫌いなんですよ。最近は百貨店に行って、普通に買い物するのが好きです。
上野:現金って匿名性が高いじゃん。最近、現金を使う人って多くなってきてるらしいね。
石井:IoTって、そっちじゃないすか。自分の好きなものの傾向から、勝手にリコメンドされるんじゃなくて、ちゃんと聞いてもらってから買いたい。「そういう生活をしてるんだったら、こういう靴はいかがですか」とか。
上野: でもそれってさ、データ貯めないと。
石井:データじゃなくて、人と話しながら、納得して買い物したいんですよ。自分で見て触って、うん確かにそうだね、と。
上野:本屋がすごい好きだったんですよね。網羅性があって、ぱっと見た瞬間に視覚に入ってくるから。
服とかも、インスピレーションを与えられて初めて好きになって調べ始めるっていうキャッチなのに、いきなりリコメンドされても別に興味ないし。AIDMA(アイドマ)のアイ(注目と関心)がなくなってる。
石井:そうそう、それがすごい嫌いだから、メタバースとかも信じられない。
上田:人々ってSNSのプライバシーさえ心配するのに、メタバースに行ったら、全部データ化されるけど、いいんですか?って思う。
渡邊:普段の生活を、だいぶオンラインでやるようになってきたじゃないですか。さらにメタバースになるって、人間に肉体がある以上、その世界で生きるのは結構厳しいですよ。
上野:18時間ネットゲーマーやった時、本当にメタバースになってて。メタバースの中で「結婚」もしたし。でもそういうことをやってわかったことは、時間が無駄であると。だってあれって、消した瞬間になくなるんすよ。でも、人間の繋がりってなくならないじゃない。そこが全然違う。
上田:僕にはメタバースってマトリックスの映画にしか見えないだよね。そこで生活しているように思うけど、実は現実世界ではカイコみたいなところにいるとか。
渡邊:二度とそこから出ないんだったら、別にありかなと思うんですけれども、出たり入ったりする以上、たぶんリアルの肉体を何とかしなきゃいけないし。
石井:マトリックスじゃないすか(笑)
上田:メタバースが来なそうだと思ったのはメタバースに入って、机に向かって仕事してるのを見た時。ここまで来て仕事するの?って思った(笑)
ー メタバースの妄想が止まりませんが、この辺りでお開きにさせていただきます。本日はお忙しい中、ありがとうございました!