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『妄想美術館』

 大好きなお2人の対談ということで、即購入しました。
 私はあまりフィクションを読まないのですが、マハさんの本だけは好きでよく読んでいます。初めて読んだのは『デトロイト美術館の奇跡』で、ほっこりと気持ちがほぐされ、次に手にとったのが『暗幕のゲルニカ』、今度はずどーんと気持ちが落とされ、衝撃を受けました。

 マハさんの本(美術史に基づく類)を読んでいると、どこまでがノンフィクションで、どこからがフィクションかの区別がつかないことが多々、というかほぼそうなのですが、つまり、妄想力が凄まじい。
 この本に、マハさん・マリさんそれぞれ、どうしてあの作品を書く・描くに至ったか、という裏話も少しだけ載っているのですが、美術作品を”見る力”と史実を”見つける力”に非常に長けているゆえの妄想力なのかな、と思いました。


 途中に、美術館とはどういう場所か、という話があります。

 この人の絵はすごいエネルギーを持っているから、その気持ちに同調させるとか、この人はすごく静かな気配を持った人だから、その気配のなかに自分を沈めるとか、対峙するアートによって、自分も少し波長を合わせていくのが、美術館の楽しみ方のひとつかもしれません。(マハさん)
 子どもたちに関心がある、なしにかかわらず、教育のためにいいとか、悪いとかも無視して、ふだん日常的に馴染みのない場所に行くことで、旅行以外の形で子どもたちが価値観の違いを感じとれるのが美術館の良さでもあります。(マリさん)

 私も、美術館が好きです。
 ただ、歴は浅くて、大学生になる直前に家族で《グエルチーノ展》に行ったのが、私の初・美術館だったと思います。何が何だかさっぱり分からなくて、でも、何か自分の好きなものを探して歩き回った記憶があります。

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 分からないなりにも好きなものを探して、しっかりポストカードを買っています。左上の天使が楽器を弾いているのが気に入ったはず。

 それから、大学生になり、都内に出る機会が増えたこともあり、”好きなもの探し”のために美術館に行くことが多くなりました。意図的に美術知識を増やそうとしていないので、相変わらずあまりよく分かってはいないのですが、美術館に、何かに会いに行く感覚で出かけます。
 お2人と、少し近い感覚を持つことができているようで、なんだか嬉しいです。


 海外の美術館のお話もたくさん載っていて、死ぬまでには行きたいなぁと思わずにはいられませんでした。
 とりあえず、今年は、というか今年も、しっかりと各展覧会を巡りたいと思います。あとは国立西洋美術館がリニューアルオープンするのも、楽しみです。

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