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祈りと染めと 2020.1.17

祖父が朝10時頃、息を引き取りました。
91歳でした。

昨日は祖母の91歳の誕生日。
ふたりそろって91歳になるのを待っていたのかな。

祖母もここ2週間ぐらい、肺炎で入院していました。
今日が退院で、家に荷物を置いたら祖父のお見舞いに行こうと言っていたところで、間に合いませんでした。

初孫の私が生まれたとき、まだ50代前半だった祖父は、おじいちゃんと呼ばれたくないと言ってパパと呼ばせ、なぜかパパとおばあちゃん。
孫たちはそのままみんなパパと呼んでいました。91歳の今でも。

今月後半に栃木に行くので、帰りに福岡に寄ってもう一度顔を見ようと思っていました。

月橘染めのショールを祖父にプレゼントしたくて、染めていました。
病院のベッドの枕に敷いてもらおうと。
少しでも穏やかな時間が過ごせたらと。

祖父と、癌を克服して前を向いて生きる二人の友達にプレゼントするために、祈るような気持ちで染めていました。

祈りは、祈る相手のためだけでなく、自分のためでもあるんだと知りました。

祖父の命の灯火がもう消えそうだと感じながら、不安でここ何日か眠りが浅く、神経が高ぶっていました。
まるで、お産の前に神経が高ぶって眠れなくなるみたいに。命があっちの世界とこっちの世界を渡る時は、すごいエネルギーがあって、無意識に感じているのかもしれません。

眠れない体はだるいけど、体を動かし、この2日、必死で染めていました。
祈りを込めて染めていると、気持ちが落ち着いてきました。祈りは、祈る人の気持ちを鎮めるもの。祈りという行為がなければ、人は気持ちを持っていく場所がありません。
相手が安らかになるためでもあり、自分が安らかになるためでもあるのだと、実感しました。

まだ染めている途中でした。
今朝、3回目の染めをしている最中に連絡がありました。
まだまだ淡い緑色・・・。

前に、祖父のお母さんが織ったものにはかなわないと書きましたが、やっぱり私が染めたものも届けたいと思い直していました。(織るのは間に合わなくて、染めるだけでもと)

手渡したかった・・・。

でもやっぱり、祖父に届けようと思います。
今4回目の染めをしています。
鍋から月橘の香りが、家中に漂っています。

福岡へ出発するまで、時間の許す限り染めようと思います。


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