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「飼う」から「いることを楽しむ」へ

夏が近づくと、100均ショップには虫かごが並ぶ。

カブトムシ、セミ、トンボ…昆虫採集は夏の大きな楽しみの1つ。そんな子どもは多いだろう。

私は虫が苦手だけれど、3人の子供達には虫に興味を持ってもらいたい。毎年のように、100均ショップで虫かごを買い、旅行先や公園での虫捕りについていった。

子供達は虫を見つけると、捕まえて虫かごに入れる。そしていったん虫かごに入れると、なんとなくそのまま飼うことになる。

何度も虫を死なせてきた。その度に、モヤモヤする気持ちを「これも勉強になったから」と飲み込んできた。


そんなわがやに変化が訪れたのは、去年の秋。

きっかけは、庭で見つけた1匹のカマキリだった。

「カマキリだ!」さっそく子供達はカマキリを捕まえて虫かごに入れた。ネットで餌を調べると「生きた昆虫」と書いてる。毎日、カマキリが食べるような昆虫をとってくるのは大変だ。さらに調べると、どうしても昆虫がない場合は、ヨーグルトも食べると書いてあった。

「ヨーグルトならいつでもあげられる!」

子供達がさっそく竹串の先端にヨーグルトをつけ、カマキリの顔の前にそっと出してみると、なんともおいしそうにペロペロ舐めたではないか!

「カマキリってヨーグルト食べるんだ~!」と、家族みんなで驚き。その後、毎日ヨーグルトをあげるようになった。

しかし、しばらくして息子が言った。「栄養が偏るから、ヨーグルトだけじゃダメってネットに書いてあった」

仕方ない。ヨーグルトなんて自然界に存在しないものだから、当然といえば当然だ。

悩んだ末に庭に放した。

その数日後、再び庭でカマキリを見つけた。以前、放したあのカマキリ。足が1本なかったのですぐに分かった。

再会したカマキリ

試しにヨーグルトをあげるとペロペロなめた。もう虫かごに入れることはしなかった。「またね」と言って別れた。

するとさらに数日後、また同じカマキリを庭で見かけた。ヨーグルトをあげた。美味しそうに食べた。

そんなことが何度かあり、そのうち朝には息が白くなるほど寒くなると、いつの間にかカマキリはいなくなった。もう会えないだろう。

飼うでもなく、二度と会えなくなるわけでもない。言うなれば、庭で放し飼い?

いや、「飼う」はやっぱり違う気がする。ただお互いがそれぞれ居心地いい空間にいて、たまに出会うだけ。ただそこに「いることを楽しむ」。そんな虫との関係もありだなと思った。

#未来のためにできること

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