本を読むのでおうちに帰ります___1_

読書記録を始めて気がついた3つのこと

「だいすきな本に関わる仕事がしたいなあ」と思ったことが、前に働いていた仕事をやめたきっかけでした。

物語を書いてみるという気持ちとはまた少し種類が違うように思ったので、それに近いかもしれないし、もしかしたらつながるかもしれないことと思ってはじめてみたのが、言葉に関わることと文章に関わること。

経験も知識も関係性も全くのゼロの状態からのスタートだったけれど、本当に本当にありがたいことに少しずつだけどお仕事としてやらせてもらえることが増えてきました。

たのしい。難しい。たのしい。難しい。でも。

そんな風にぐるぐると歩いたり、迷ったり、止まったり、戻ったりしていた半年、まだ始めてたったの半年だけど、すごく充実していた期間でした。

もうすぐ半年経つのかあとふと思ったときに、そうだ、もっとわたしは本に関することがしたかったんだと思い出しました。

なので、7月から「読書エッセイ」を始めてみました。

書評、だなんておこがましい。

ただの感想文でしかないけど、本を読んだことで、何かわたしの思ってることもいっしょに書けたら嬉しいかも。そんな風に思って。

タイトルは学生時代、言いたかったけどなかなか堂々と言えなかった言葉にしてみました。「本を読むので、おうちに帰ります。」

7月、本当は毎日続けたかったのだけど、わたしが夏にすこぶる弱いことをすっかり忘れていたので、書けた本数としては20本。

あまり好みではない出会いもあったのでそれについては書かなかったけれど、少なくとも20冊の本との出会いがありました。

20冊、記事にしてみようと思いながら読んで、気が付いたことをせっかくだからちょっと残しておこうと思います。

◆「すき」に対しての嚙みくだき力の足りなさ

まずいちばん思ったのは、本として出版されているということはそれだけでひとつの完成品なのに、それに対して言葉を追加しようだなんて、なんて難しいんだろうということ。

「この文章のここがすき」「この言葉がぐっときた」と言いたいときに「じゃあなぜ?」を伝えるには、その文章に対しての自分の言葉の全てがぼんやりとしすぎているなと気が付きました。

それは単純に語彙力の問題であったり、自分の感情を文章にするためのろ過が一度読んだだけでは足りなかったり、自分でも「すき」が曖昧すぎてどこがいいなと思ったのかわからない、などがありました。

せっかく書いているのに、もしかしたら読んでくれる方がいて、もしかしたら新しい出会いになるかもしれないのに、わたしのつまんない表現のせいで出会いを潰してしまいたくない…とつくづく思いました。

広辞苑が脳内に自動インストールしてくれる時代に生まれたい。

◆「読む」と「書く」では全然違う

「当たり前でしょう!」と怒られてしまいそうだけど、これは作家さんと読者の立ち位置のことではなくて。

記事として書こうと思って読むのと、ただ読んでいくのでは読み方がかなり違うものになるんだなということなんです。

普段の読書スタイルとしては、さーーーっと流しながら読んでいくことが多いです。立ち止まって飛び込むチャンスを逃したくないから。ひたすらに世界に入り込むことに集中するので、読み返すことはほとんどありません。

だけど「書きたいな」と思って読んでいたこの1ヶ月、気になった言葉や文章があれば忘れないようにメモしたり、紙を挟んで置くようになりました。

そして、記事を書くからもう一度前後の文章を読む。

少し引用もするから、人によって違う文章の癖や、ひらがなにあえてしているポイントなどにも細かく気がつくようになりました。

ひとつの言葉にどれだけ神経を注いで作られているのかを、初めてきちんと考えたようにも思います。

作家さんによって読みやすいなあとか好きだなあと思うことはこれまでももちろんあったけど、細かいところまでは気が付いていなかったので、読書ペースは落ちてしまったけどこれは嬉しい気付きでした。

◆影響のされやすさは文章でも同じだった

ドラマや映画を見たら「聖地巡り」がしたくなったり、物語に出てきた食べ物はもれなく食べたくなったりと、影響のされやすさについては自覚があったけれど、文章でもそれは言えることみたいでした。

自分にとっていちばん書きやすいのはどういう文体なのかなあというのはまだまだ模索中なのだけど、かっちり目のものを読めば「だ、である」で漢字多めにしてみたり、児童書を読めば「ですます」のひらがな多めにしてみたりと読んだものがそのまま記事の文体にも引っ張られることが多い。

あえて、いろいろと試してみたりもしたのでどれも楽しかったけれど、読んでみて「すきだなあ」「こういうものが書きたいな」と思うのはやっぱり児童書のやわらかさだったりしました。

草原を裸足で歩いてるみたいな心地よい文章が書けるようになりたいです。

でもごりごり文体も楽しいので、あれこれ書き分けられるようになりたい。



たった1ヶ月続けただけでこれだけ気が付くことができたから、やってみて本当によかったなと偉そうにしみじみ。

もっと続けることができたらもっともっと気がつくことができるのかなあ。

でも、やっぱり「毎日続けました!」と言いたいから、夏が終わったらリベンジしたいなーと密かに誓ってます。

毎日更新!ってこっそり掲げてたのにけっこう悔しい。

それと「わたしもすきです」とか「読んでみます」とか言ってくださる方がたまにいらっしゃって、それが本当に飛び跳ねたくなるくらい嬉しくて。

やっぱり本についてお話ができるようにもっともっとたくさんの出会いがほしいなと改めて思いました。

読書がすきっておおっぴらに言ってこなかった人生なので、すきな本についてお話できることだけが本当に嬉しい。

もちろん8月も続けるつもりだし、もっとひとつひとつ「よしゃ」って思いながら公開ボタンを押せるようになりたいです。

考えることはたくさん。

読むことはだいすきだけど、書くこともやっぱりすきみたい。

もっともっと新しい世界を知るために本を買いたいなあと思ってます。