ミイラ職人のビラーム(古代エジプトに生きた人びとの物語)

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ミイラ職人のビラーム


私は今でこそアルベの神殿で職人の神アロアス
として祭られていますが生前はミイラ職人で
ビラームと呼ばれていました。

当時ミイラ職人は神官同様の高い地位を与えられて
中でも王のミイラを作るラムーラと呼ばれる
高位の職人はエジプト全土でも20人たらずしか
おらず私はその中の一人でした。

私が貧しい家の生まれにもかかわらずこの地位
につけたのはラムセス2世様の好意を受けたからです。

ラムセス様はとても孤独な方で親しくお話できる
友人は一人もいず無口で人の好い私だけがラムセス様
の話し相手でした。

ですから私は誰も知らぬエジプト
王室の秘密をたくさん知ることになりました。

中でも大切だったのは王となられる
方は毎夜のようにご先祖様のおら
るオリオンの星々の光を浴びその
霊力によって通常の人間とはまるで
ちがう知力体力をさずかりその英知
でエジプトを治めていたのでした。

私はラムセス様といっしょに
よくお忍びで夜の砂漠に出かけともにオリオン
の光を受けました。

その時に唱える秘密の言葉がありましてこれは
言うわけにはまいりません。

王が低い声でオリオンの星々に向かいこの言葉
を唱えるとオリオンの三ツ星からそれは厳かな
エメラルドの光が降りてきて王の王冠の中心の
宝石にその光が届くと王の王冠もエメラルドに
輝き砂漠一面がエメラルド色に染まります。

それはそれは
美しい光景でした。

私もその光の幾筋かを受けたせい
でしょうかいつしか私自身にも貧
しい生まれとは思えぬある種の
威厳と力が生れ私の作るミイラ
は不思議な光に包まれると大変
な評判を取りました。

それで私は立派な屋敷で何不自由
なく暮らしていましたがあのリメ
ニアの大地震でラムセス様が民
の身代わりになって亡くなられると
ミイラ職人も総入れ替えになって
私は妻も子もいなかったので砂漠
で瞑想する隠者になりました。

そこで30年ほど瞑想して自然に枯れるように
亡くなりました。

私は伝説の職人として私の遺体は王に準ずる位の
立派なミイラになることになりました。

私は死んだあとにもはっきりと意識があって
自分がミイラにされるありさまを注意深く見守って
いました。

私には次に生まれ変わったさい
最高のミイラを創りたいという願いがあって
そのためにもミイラにされるものの気持ちを
つぶさに覚えておきたかったのです。

私はその時の体験でたとえ死んだあとでも乱暴に
扱われるのはいやなこと大切に扱われると
とても嬉しいことをつぶさに感じました


人というものは生きていようが死んでいようが
愛情深く生きることが大切だとしみじみと感じました。

また肉体というものは魂の入れ物であり肉体の
ある時に養った技術やこころがまえはいつまでも
続くものであることを改めて感じました。

ですから今職人の神アロアスとして
私の神殿にまいりにくる職人たちが
少しでも愛情深くなるように
また彼らの技能が少しでも進歩
するように懸命に私の気持ちを
送っているのです。

私は神としてのつとめをあと300年ほど送ったあとに
再び人間として生まれます。

そして再びラムセス様の生まれかわり
の王につかえいまだかって誰もなしえなかった
まったく腐敗することのないミイラ作りをする
ことに挑戦することになっているようです。

それは私自身の願いでもあると同時にオリオン
の御先祖さまの願いでもあるようです。

やがて腐敗することのないミイラが
完成したあかつきにはオリオンから
たくさんの最高位の神々がそのミイラ
の中に入り

エジプト全土をエメラルドの
光で満たすことになるとイシス女神さまより
おうかがいしました。

その素晴らしい光に満ちた
エジプトを創るためこれからも一生懸命に
精進したいと強く願っています。

年歴 8739865

月歴 4729043

日歴 4397543

これがアルベ神殿の神アロアス
生前はビラームと呼ばれた者の物語です。

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