視点提供録 vol.828:日本の「男女平等度」は120位。G7で最低ではあるけれど
昨日、スイス・ジュネーブの研究機関「世界経済フォーラム」が2021年版の男女平等度ランキングを発表いたしました。これによると、日本は156ヶ国中120位。先進7ヶ国(G7)中最下位とのことです。今回は、このランキングの「先進7ヶ国(G7)中最下位」「日本は156ヶ国中120位」について考えてみたいと思います。
まず「先進7ヶ国(G7)中最下位」を考えてみます。この言葉を目にしたとき、どのように感じられますでしょうか。いろいろあると思いますが、「最下位は大問題」と感じる方が多いかもしれません。もちろん、こう感じる方もいらっしゃると思います。ただ、個人的にはこう思いました - これだけでは何とも言えない - と。
たとえば、7ヶ国連続している可能性があります。114位~120位をG7で占めているのかもしれません。だとするならば、たしかに最下位ではありますが、どんぐりの背比べで他の6ヶ国とあまり差はないのかもしれません。また、絶対値も考える必要があるでしょう。0~1の間(0が不平等で1が平等)で1,000分の1単位で表されますが、絶対値は低くないのかもしれません。たとえば、100点満点のテストで1位から1点刻みで1人ずついるとすると、94点でも7位になります。オリンピックの陸上100m走の決勝で8位になったとしても、決勝の「最下位」になります。このように「最下位」という言葉だけでは、良い悪いの判断はできないのではないでしょうか。
次に「156ヶ国中120位」を考えてみたいと思います。この指標は「経済」「教育」「医療へのアクセス」「政治参加」の4分野からできております。日本は「経済」「政治参加」の2分野で遅れており、具体例として「女性幹部が少ない」「女性の国会議員や閣僚が少ない」が挙げられています。
ここで考えてみたいことが3つあります。1つめが「数のみならず質にも着目しているか」ということ。能力不足の人にも地位を与えれば数は平等になります。しかしながら、「幹部」「国会議員や閣僚」は能力を度外視してよいものなのでしょうか。2つめが「男性と女性で希望者が同数なのか」ということ。国会議員は立候補制です。極端な話、女性で立候補したい人が1人もいなければ、平等は埋まることはありません。平等にするために、立候補したくない人を強引に立候補させることもできるでしょう。ただ、この手段で実現させることがあるべき姿かは、考えるべきものではないでしょうか。3つめが「国会議員は当選する必要がある」ということ。男性より女性の立候補者数が多くても、男性の方が当選する割合が多ければ平等にはなりません。かと言って、男女平等にするために参政権を操作するわけにもいきません。民意に沿って選挙は行われる必要があるでしょう。
それでは、このジェンダーギャップ指数はどのように扱うべきでしょうか。少なくとも数字としては間違ってはいません。ただ、「この指標が正しいか」は別物です。上記のとおり、女性の立候補が1人もいなければ平等にならず順位が下がるでしょう。だとするならば、「世界経済フォーラムの考える指標に基づくとこのランキングになります」ぐらいがちょうどいいのではないでしょうか。