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離婚届に養育費チェック欄を追加!子供に与える影響とは?


こんにちは。ゆりです。

2021年4月に、法務大臣が離婚届の様式を見直す発言をされました。
養育費支払いの取り決めを公正証書で行ったかどうかを尋ねるチェック欄を追加するとのこと。

この対策は養育費の支払い率を上げるための対策です。


日本の養育費の支払い率はとても低く、しかも昭和の時代からほとんど改善がみられません。

果たして、それをくつがえすだけの効果はあるのでしょうか?

このニュースについて気になりましたので深掘りしてみました。


ニュースの内容

上川陽子法相は16日の記者会見で、離婚届の書式を改めると明らかにした。子どもの養育費の取り決めで公正証書を使っているか尋ねるチェック欄を追加する。離婚後に養育費の不払いを防ぐ狙いがある。
引用:日本経済新聞

「養育費の不払いを防ぐ」のが目的だと明記されています。

チェック欄が追加された離婚届のサンプルが、法務省のホームページに載っていました。

該当箇所を拡大したのがこちら。

新離婚届切り抜き-min

引用:離婚届書イメージ原寸 法務省(PDF)

赤枠内をご覧いただくと、養育費の分担について取り決めをしているかチェックする欄があるのが分かります。

「チェック欄ひとつで何が変わるの?」と思いませんか?

なぜ離婚届にこのようなチェック欄を追加すると、養育費の不払いを防ぐことにつながるのでしょうか。


なぜ離婚届に養育費チェック欄を追加するのか?

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離婚届に養育費のチェック欄を追加する理由は、「子どもの福祉を実現するため」です。

「子どもの福祉」とは、とても簡単に言うと「子どものためにどうするのが一番いいのか」ということです。
(子どもの福祉ついては明確な定義づけがないなど問題がありますが、今回は割愛します)

養育費の不払いは子どものためになりませんよね。

国は子どもの福祉を実現するために省を超えて様々な検討を重ねていて、今回の措置はその一環です。


日本の法律では、離婚しても親は子どもに養育費を支払う義務がありますが、養育費の支払い率はずっと低調です。

厚生労働省の平成28年度全国ひとり親世帯調査によると、養育費の取り決めをした母子世帯のうち、一度も養育費をもらっていない世帯が56%もいます。
実に半数以上です。

養育費支払い率-min

データ参考:平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告 厚生労働省

このデータは「養育費の取り決めをした世帯」ですので、取り決めをしていない世帯を含めると受給率はもっと低くなります。
DVや児童虐待などの事情で、そもそも取り決めせずに離婚する夫婦もいます。

養育費の不払いに関してブログに書いていますので、ぜひお読みください。

養育費を支払わないとどうなる?給与差し押さえのリスクを知る


養育費不払いの影響を受けるのは他でもない、何の罪もない「子ども」です。
養育費が支払われるかどうかは、子どもの経済面を直撃します。

ひとり親世帯の収入を見てみましょう。

平成28年度ひとり親調査厚労省-min

引用:平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告:厚生労働省

児童のいる世帯全体の平均収入に比べ、ひとり親世帯(特に母子世帯)の収入が低いことが分かります。
また、ひとり親世帯は近年ずっと増加傾向です。

親が離婚してもしなくても関係なく、子どもはみんな同じように教育を受けられて、なりたい職業に就けるのが理想ですよね。

子どもが成長するには、現実問題として「お金」が必要です。


離婚届のサンプル画像を見ていただくと、取り決め方法として「公正証書」と「その他」があります。

養育費の取り決めを公正証書にしておくと、養育費が支払われなかった場合に強制的に支払ってもらう制度を利用できます。

国はこの制度を大勢の国民に知ってもらって、活用するように促していると思われます。

では、離婚届にチェック欄を追加したら、養育費の支払い率は上がるのでしょうか?

離婚届の養育費チェック欄追加で支払い率は上がるのか?

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個人的な意見になりますが、チェック項目を追加したから養育費の支払い率が急激に上がるとは思えません。

なぜなら、公正証書を作ること自体に様々なハードルがあるからです。

✓ 公正証書は有料であること(料金は養育費の金額によって変わる)
✓ 養育費を支払う側にとっては自分の首を絞めることになる
✓ 作成にはパートナーとの合意が必要
✓ そもそも養育費の金額で揉めることが多いので、合意を得にくい


正直申し上げて、養育費を支払う側にとって公正証書を作るメリットは少ないと思います。
メリットがあるとすれば「子どもへの愛情を将来的に約束し、記録として残せる」ことです。

一方、子どもと一緒に暮らす親としてはできれば公正証書を作りたいと思うでしょう。
でも現実は経済的事情やパートナーとの感情的対立のために、作りたくても作れない状況の人が多いのではないでしょうか。

養育費の金額が決まらない場合は、養育費請求調停や離婚調停という制度を利用して決めることができます。
しかし、気力と体力、そして時間も必要です。

小さなお子さんを抱えて家庭裁判所に何度も通うのは大変ですし、離婚の話し合いは精神的にも消耗します。
もう少し手間がかからず、負担の少ない方法で養育費が子どもに渡るといいなと思います。

養育費を支払う側からみた公正証書のメリットについてブログに書いています。よろしければご覧ください。

養育費の公正証書作成は男性側にどんなメリットがあるのか?


面会交流のチェック欄も追加

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ここまで養育費についてお話してきましたが、実は面会交流の取り決めについてのチェック欄も同時に追加されます。
(離婚届サンプルの画像を見ていただくと、赤枠の上に載っています)

面会交流とは、子どもが離れて暮らす親と定期的に会ったり、手紙や電話で交流しあうことです。


面会交流のチェック欄を追加する理由も、「子どもの福祉を実現するため」です。
子どもには父親と母親、両方の愛を受けて育つ権利があります。

しかし現実には、子どもが会いたいと希望しても親に会えなかったり、離れて暮らす親が子どもに会わせてもらえなかったりすることが起こっています。

離婚するときに「面会交流」について話し合いをしておかないと、離婚後にトラブルになる可能性は高くなります。


時代は変わってきているとはいえ、今の日本では離婚が決まると子どもと会う機会が減るのは男性の場合が多いでしょう。

離婚危機が迫ると「親権」や「子どもとの面会」について、深く考えることになります。

もしあなたが離婚危機状態に置かれているとしても、まだ離婚していないなら望みはあります。
こちらの記事があなたのお役に立てると思います。

【note】
親権がとりたい男親!有利に進めるには?離婚の流れと離婚回避の可能性

【ブログ】
親権取得に別居は不利?浮気夫が離婚を取り下げてもらうには


離婚届に追加されるチェック欄は無意味?

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ここまで、離婚届に追加されるチェック欄について、どちらかというとネガティブなことを書いてきました。
しかし、追加されるチェック欄が無意味だとは思いません。

効果は2点あると考えます。

1.養育費や面会交流の仕組みの周知
2.親としての話し合いのきっかけになる

1.養育費や面会交流の仕組みの周知

離婚届にチェック欄を追加することで、周知させる効果はありますよね。

「離婚する時には面会交流について取り決めしましょう」
「養育費も取り決めしないといけませんよ」
「養育費の取り決めには公正証書を使いましょうね」

公正証書で養育費の取り決めをすれば養育費が回収しやすくなると知らせる効果もあるでしょう。
(離婚届を受け付ける市町村の住民課が、どの程度説明するかに左右されそうですね)

2.親としての話し合いのきっかけになる

夫婦が「親として」話し合うきっかけにもなります。

離婚前後の父母の多くは感情的に対立しているでしょう。
しかし親として子どもを第一に考えるなら、自分の感情を抑えてよく考えなくてはいけません。

離婚を決めた夫婦は夫婦ではなくなりますが、離婚後は「同じ子どもの親」として子どもを育てていくパートナーになります。
子どもを第一に考えれば、パートナーとはお互いに協力し合って子育てしていくのがベストです。

あなたが「子どものため」と思っていることは、もしかして自分のわがままではないのか、いま一度胸に手を当てて考えてみることが必要なのだと思います。


子どものことを一番に考える社会に

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「子どもと魂は平等」
この言葉は、俳優の窪塚洋介さんの言葉です。
私はこの意味を「子どもは親の所有物ではなく、親と同じ魂を持ったひとりの人間」と捉えました。

窪塚洋介さんの息子との関係に学ぶ【離婚した家族】の新しい形

昔の日本では子どもの人権は重視されておらず、子どもは親の言うことを聞いて当然だという考えが浸透していました。
しかし近年では、子どもであってもひとりの人間として尊重すべきという考え方にシフトしています。

ここまでお伝えしてきたことも、裁判所が下すあらゆる判断も、国の判断はすべて「子どもの福祉」が最優先です。
しかし、いくら国が制度を整備しても、子どもにとって一番身近な親に自覚がなければ「子どもの福祉」の実現はありません。

「子どものことを一番に考える」


この考え方が一般的になれば、やがて
「養育費を支払うことは当然」
「離れて暮らす親と会うのは当然」
という常識が生まれます。

即効性はありませんが、このような地道な取り組みも大切だと思います。

今の子どもたちが大人になる頃には、今よりも生きやすい日本にしたいですよね。
そうであってほしいと心から願ってやみません。


最後までお読みいただきありがとうございました。

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