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靴×ファッション×時代性 の関連を探る シューワード玉手箱<日本人と靴>


「TIME & EFFORT」革靴特集「Shoe Shoe Culture」の注目企画、「シューワード玉手箱」では、小説・エッセイ・映画・雑誌・新聞・ニュースほか、幅広いジャンルのアーカイブから、クリエイターや著名人などのコメント、フレーズを紹介し、ご好評いただいています。

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今回は「日本人と靴」から、注目ワードをピックアップ。靴が象徴するファッションと時代性を探ります。






【 小池千枝 「服飾の表情」】


幕末維新期の人々が、

西洋の靴と出会った時、

どのようなところに戸惑いを感じたか。


それはおそらく足をすっぽり包む

革靴の窮屈さと、

靴を脱がずに建物の中に入る

風習にたいしてであっただろう。

ファッション専門学校 

文化服装学院  元学院長 小池千枝さんの著書より。


小池さんは、1916年生まれ、長野県出身。文化服装学院のデザイン科初代科長を経て、38歳の時に渡仏。


パリクチュール組合学校で学び、帰国後日本に立体裁断を広めるなど、日本のファッション業界の発展に貢献し、「ファッション界のゴッドマザー」と呼ばれました。


コシノヒロコ・ジュンコ ご姉妹、高田賢三さん、山本耀司さんら、多くのデザイナーの育成・養成でも知られます。

(文化服装学院 公式サイト より)

その後、西洋化が進行するなかでも、室内で靴を脱ぐ、という習慣が変わらないことは、日本文化およびアイデンティティに大きな影響をもたらしているのではないでしょうか。


新型コロナウィルス感染拡大に関しても、靴を脱ぐことで、室内にウイルスの侵入を防ぐ一定の効果があったのではないか、との見解もあるようです。


ファッション性はもちろんですが、靴は足を守るためにつくられたものであることを改めて痛感しますね。

【 世相風俗観察会議「現代風俗史年表」】


昭和25年、

モイラ・シアラー主演の

バレエ映画「赤い靴」、

有楽座で32万人の観客を動員。

銀座通りの靴屋には赤い靴が並んで、

足元に関心が集まるようになった。


このころから昭和末期まで、赤い靴は女性の靴の代表格であり、女性らしさの象徴といえるアイテムでした。


幅広い世代に支持を広げる、昭和歌謡のスタンダードナンバー、太田裕美さんの「木綿のハンカチ―フ」(1976年リリース/作詞:松本 隆、作曲:筒美京平、編曲:萩田光雄)の次のシングル曲、「赤いハイヒール」。




松本 隆さん、筒美京平さんのゴールデンコンビが「これ以上の良い曲は書けない」と振り返ったといわれる この名曲は、「木綿のハンカチーフ」に続く二番めのセールスを記録。時代を超えて長く愛されています。



“赤い靴”は、童謡をはじめ、さまざまな楽曲、著書で登場するなど、色とジェンダーの関連が深く日本人の意識に根差していましたが、「コーディネート」「着まわし」という概念により、大きく変化。


さらに時代が変わり、多様性が重視される時代に。顕著にみられるのが、ランドセル。


男子が黒、女子が赤がポピュラーでしたが、女子の人気カラーがパープルになったことが話題になりました。



映画「アナと雪の女王」の影響があるともいわれています。


「自分らしく生きる」「自分らしいものを選ぶ」ことを小学校入学の時点で選択できるようになったんですね。多様性の浸透を感じます。



【 世相風俗観察会議「現代風俗史年表」】


1977(昭和52)年、

健康ブーム、マラソンブームの影響で

トレーニングウエアがよく売れ、

ちょっと出の外出着として市民権を獲得し始めた。

足まわりもバスケット、

テニス、ジョギング用のスポーツシューズが

スニーカーとして街中に進出した。


令和のいま、すっかり、ファッションとして一般的になったスニーカーは、健康志向の高まりによって注目された、という見解を同書からピックアップ。

その後、1970~80年代の「DCブランドブーム」で、社会的な現象を巻き起こした人気ブランド「ピンクハウス」では、フェミニンなワンピース、スカートとシンプルなスニーカーとの組み合わせを提案。


当時、出版された書籍(下記、リンク先)では、大橋歩さんのイラストレーションで表現されたページが該当するものと思われます。




そのスタイルは、現在の「ピンクハウス」でも継承し、時代に合わせてチューニングしているようですね。



「ノームコア」ブーム後、スニーカーを取り入れた女性のコーディネートに、驚きを感じるかたがいる一方、懐かしく振り返る大人世代がいるのは、こんな時代背景があるからかもしれません。


そして、ブームを超え、ドメスティックブランド、日本製レザースニーカーも続々登場。


当サイト「BRAND」企画でもスニーカーをご紹介しています。

掲載ブランドはこちら。

広島県府中市を拠点とするスニーカーブランド

「スピングルムーヴ」。


「備後から世界へ」を掲げ、パリ・コレクションデビュー。日本を代表するシューズブランドのひとつとして、すっかりお馴染みですね。


このほか、人気ブランド「Wisteria Fujiwara」では、スニーカーのセミオーダーがスタートし、多くのジャパンレザーファンに愛されています。


かなり、脱線してしまいましたが、「TIME & EFFORT」革靴特集「Shoe Shoe Culture」の注目企画、「シューワード玉手箱」では、小説・エッセイ・映画・雑誌・新聞・ニュースほか、幅広いジャンルのアーカイブから、クリエイターや著名人などの、コメント、フレーズを紹介し、ご好評いただいています。ぜひ、ご覧ください。