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不要なDXが9割。ZX(Zero Transformation)のススメ


「自動押印ロボット」はなぜ生まれたのか。


DXは難しい。

DXのコンサルティングに関わって1年。
少しずつ言語化できるようになった。
一体、何が難しいのか。


それは、想像していたものと違うものが
出来上がってしまうことだ。


その最たる例は、デンソーウェーブが開発した「自動押印ロボット」。


私たち日本企業の最も無駄な押印業務を、ロボット化することで、
ムダな業務から解放してくれる。


はずだった。


違う違う、そうじゃ、そうじゃない。


課題意識は正しいはずだ。
押印作業は減らすべきだ。

そのためだけにコロナ禍の中出勤する人が
いたくらいなんだから。

そうだ、解決策がおかしいんだ。

私たちが解決したかったのは、
押印作業を置き換えることじゃなくて、
押印作業を無くすことだったんじゃないか。

DXを目的にしないで。


私はこの原因がDXの目的化にあるとおもう。

DX戦略、DXプロジェクト、DX会議
この危ういところは、
どんなものでも置き換えようとしてしまうことだ。

これは環境問題を考えるとわかりやすい。

リデュース・リユース・リサイクル(3R)のなかで、
私達が最も聞き馴染みのあるのは、リサイクルだろう。

小学校の時、
牛乳パックを回収してトイレットペーパーにしたり、
リングプルを回収して、車椅子にしたり、
ワクワクしたものだ。

ただ、
ただし、
最も環境に優しいのは、
かっこいいリサイクルじゃなくて、
そもそも新しいものを買わない、
リデュースなのだ。

 環境省: Cool Choice フリマアプリで、3R(リデュース、リユース、リサイクル)を始めてみませんか? https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/kaiteki/topics/20220316.html


DXも同じ罠に陥りがちだ。
DXはセクシーに聞こえる。
みんな言葉として使いたい。
DXしてるって言いたい。

ただ、一番効果があるのは、そもそも
無駄なことをやめること。
それがZX(ゼロ・トランスフォーメーション)なのだ。


DXではなく、ZXから始めよう。


わたしはDXを目的にすると、
結局DXが行うべき
業務効率化が進まないリスクがあると考える。

そこで、まず、
不必要な業務を無くすZXから始めるのが良いとおもう。

DXの議題に上がる業務は、
普段からムダな業務や繰り返し業務として
考えられていることが多い。

これをいきなりDXしようとすると、
さっきの自動押印ロボットが誕生する。

ZXはそもそも必要性を疑う。

そもそも押印は、
押印はなぜ必要なのか(WHY)
押印はいつ必要なのか(WHEN)
押印はどこで必要なのか(WHERE)
押印はどの部署が必要とするのか(WHICH)
押印はだれが必要とするのか(WHO)
押印はだれを必要とするのか(WHOM)
押印はどんなプロセスで必要とされるのか(HOW)
押印はどれくらいの頻度で必要とされるのか(HOW MUCH)

この質問に答える中で、必ず
削ることができる
不要なタイミングがあるはずだ。

本当に必要なDXは1割。


片っ端からDXしようとするのはやめよう。
そもそも手放すべき業務をDXしてはいないだろうか。
ZX(ゼロ・トランスフォーメーション)から始めることで、
その罠にはまらなくて済むはずだ。


もしDXプランニングに
興味のある方がいれば、
相談に乗ります!

ティンバーズ長谷川