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頭がいっぱいになったら、走りだそう

息を吸う、
息を吐く、
靴が鳴る、
キュッキュッ、

腕を振る、
地面蹴る、
空を飛ぶ、
キュッキュッ、

膝をつく。
汗ぬぐう、
また急ぐ、
キュッキュッ、


ランニングってこんな感じである。


景色は少しずつ変わっていくが
イヤホンでもしていない限り
情報量はとても少ない。

この情報量は
おそらく太古の人々の感じた
情報量に近いものだと思う。

ランニングは頭を整理する上でとても都合が良い。
自分が日頃、目一杯広げている
情報をキャッチする脳の一部分が
スーッと軽くなっていく気がする。

例えるとその脳の部分は、料理でいうまな板に近い。


毎朝スマホから仕入れる現代社会の多分な情報は
おおよそまな板に乗りきっていない。
シンクは昨晩の洗い物がたまり、
先月の腐った食材が床に散らばっている。

ランニングっていうのは、
そんな終末キッチンから
まな板だけすっと持ちだして
玄関から走り出すようなものだ。

えーいっ。


するとまな板の上の食材がゴロゴロ落ちる。

たまごは玄関に、
トマトは軒先に、
かぼちゃとじゃがいもは側溝に、


最後にまな板に残ったのは一丁の豆腐。
俺はいったいこれだけの食材で
何がつくれるのだろうか。

外にいては
料理のしようがないので
その豆腐を手づかみで一口。
あれ、意外と、素材の味が美味しいゾ。

なんて具合で
頭が整理されていく。

ランニングをした日は、
そのまま自分のまな板の輪郭が
いつもよりくっきり見えている。


どこまでの情報が
まな板にのり切るかよく分かっている。
迷いがなくなっていく。

ホントはこれくらいの情報量で
生きることが人間にとって自然なんだろう。


ランニング、おすすめです。