甲府の弁当は、とてもまずいからパンを食べよう。
甲府の弁当は、とてもまずいからパンを食べよう。
というのが印象的な本がある。
その本の名は
これは 柳田國男先生随行記 の中にある一文である。 弟子筋にあたる今野圓輔先生が、柳田先生の旅行に同行した記録を中心に一冊にまとめたものである。
最初の文は、この本の割合最初の方。山梨への旅路の中で語られる柳田先生の言葉。自分はずっとこれまで、なんてひどいことをいう先生だと。
ただ、柳田先生はもともと農業関係の官僚であったから、当時の山梨のコメがそうおいしいものではないとわかっているからの言葉と思っていた。
駅弁掛け紙ものがたり
神保町の古本祭りで駅弁の本を買ったのです。
ところで最近、駅弁の本を読んでいた。自分は、広告とか、あまり残っていないデザインを眺めるのが好きなのです。
シンプルにぺらぺらと弁当紙に関して眺めるのは、楽しくて非常に面白い本だが、その中で戦中や戦時中の駅弁の話があったのです。
もしかしてまずいと噂の山梨の当時の駅弁のなんて残ってるかなと思ったがありませんでした。
ただ、その中で興味深い話がありました。
配給制と弁当
コメというのは配給制その中で駅弁のコメというのは配給に選ばれなかったようなコメを買って使っていたものらしい。
そして柳田國男先生随行記というのは、太平洋戦争が始まる一か月前の旅行記なのである。
配給制は太平洋戦争が始まる年にはすでに始まっていた。
そう考えると、駅弁のコメというのはすでにおいしいものではなかっと思われます。
もしかして先生は知っていた
柳田先生はもともと農政官僚なので、戦時下になればコメがどのようになるかも当然わかっていたはず。
実は食べる前にして、すでにコメの入った駅弁がおいしくないのを予想できていたのではないかと。
今野先生が駅弁を買い、それをおいしくないと気に病むのをすでに想像していたのではないかと思ったのです。
真実は?
真実はわかりません。
しかし、複数の本を見ることで想像できるものがあると考えるとおもしろいことですね。
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