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【日本初!】弁護士×天体物理学者×英会話講師×税理士。”専門家”はTikTokをどう本業に活かしているのか?〈人気知識系TikTokクリエイター座談会〉

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大学で教えられるような専門知識と言えば、一分野だけで400ページを超える学術書も少なくないほどボリューミーなもの。

しかし、それだけ複雑かつ重厚な学術的知識や、弁護士や税理士などの士業の知識をたった1分で発信する”知識系TikTokクリエイター”がいます。

彼らはいかにして複雑で専門的な情報を1分間に落とし込んで発信しているのでしょうか。

今回はそんな知識系の動画を配信しているクリエイターの方々の座談会をお届けします。

参加したのは弁護士のまつざきさん(@matsuzaki.lawyer)、天体物理学者のBossBさん(@herosjourneygc)、StudyInとして英会話を配信しているみっちゃんとせいけさん(@studyin)、税理士の河南さん(@emikawaminami)。

おそらく日本初!、弁護士×天体物理学者×英会話講師×税理士の座談会です。

肩書きや専門領域が全く異なる座談会は意外にも、ある一つの方向に話がまとまっていきました。

他のプラットフォームとは別物。知識系クリエイターがTikTokで人気を得るまで

まずは、それぞれTikTokを始めた経緯を教えてください!

英会話せいけ「私たちは会社の事業の一環としてTikTok、YouTube、ポッドキャスト、Instagramの4媒体をほぼ同時にはじめました。最初は媒体ごとの違いもわからずスタートしました。が、比較してみるとTikTokはいい意味でバズリやすいという特徴があるなと感じています。再生回数ベースで見るとTikTokが一番多いんですよ」

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弁護士まつざき「実はもともとTikTokは全然知らなくて。TikTokって、ダンスグループだと思っていたんですよ(笑)。YouTubeを先に始めていたのですが、TikTokもやってみようと始めてみたところ、今はTikTokを経由してYouTubeのチャンネル登録者数も増えています。良い相乗効果が出ていますね。ただ、そこにはちょっとしたコツがあるのですが、それは後ほどお伝えします」

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税理士河南「TikTokを始めたきっかけは今後起業する人やフリーランスが多くなり、税理士の需要が増えると考えたからです。結果、まつざきさんと同じようにTikTokを通じてYouTubeも視聴してくれる人が増えました。特に、YouTubeのチャンネル登録者には割合的に少なかった10〜20代の若年層が多く流れてきてくれていることを実感しています」

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天体物理学者BossB「TikTokには子どもを惹きつける力がありますよね。私がTikTokで発信しようと思ったきっかけも自分の子どもなんです。中学生の息子がTikTokに熱中していて『なんだそれは!』と。若者、とくに女子中高生に科学技術の面白さを伝えられたら、と思い、右も左もわからずにTikTokを始めました」

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TikTokを始めた経緯を聞くと、「行ったことのない国」に飛び込んだ時のように、みなさん異文化に触れたんですね。

では、専門家としてTikTokを始めてみて、動画を撮影し編集、そして発信してどのようなことを感じられたのでしょうか?

英会話せいけ「やはり、TikTokは幅広い年代の視聴者層がいる中で若い方も多いこともが大きな特徴ですよね。そのため動画づくりでも10代、20代にも届くようなコンテンツをつくることが重要だと感じています」

弁護士まつざき「同じです。YouTubeに流れてきてくれている登録者数を見ると、10代の方も珍しくないんですよ。なので、その年代の方が見てもおもしろい配信になっているかは意識しています。どうやって彼らに法の世界への興味を持ってもらうか。それは法律の話をするのではなく、判例を話すことです。判例は具体的ですから」

まつざきさんの動画は判例がとても具体的です

BossB「私は普段大学で天体物理学を教えているのですが、TikTokの配信と大学の講義は全くの別物だという認識です。1分で好奇心を掻き立て、なぜ?と思ってくれれば私は成功したと思っています。だから、TikTokのためにすべて動画は撮影してますし、テーマも1から考えてるんです」

個性的な話し方に引き込まれます

弁護士まつざき「そうなんですよ。普段分厚い六法全書や判例集を読んでる我々が1分でその内容を伝えられるわけがない(笑)。なので、判例を紹介して法律に興味を持ってもらうという方法に行きつきました」

税理士河南「まつざきさんがおっしゃったようにTikTokというプラットフォームで興味を持っていただけるように投稿内容を考えるのはとても重要です。YouTubeで成功している教育系のアカウントの方でも、TikTokでは苦戦している人が多いんですよ。これはお二人が話すように尺の問題があると思います。TikTokの場合はYouTubeとは違ったアプローチが必要なんです。これが専門家がTikTokを始める上でのコツになります」

自営業者やフリーランスが興味を持ちやすいテーマを発信しています

では、専門家はTikTokで何を発信すべきか?

ここまで、1分でわかりやすく伝える必要があるため、TikTokでは独自のテーマで発信を続ける必要があることがわかりました。

では、具体的にどんな動画をアップすればよいのでしょうか?

英会話みっちゃん「私たちは英会話の動画をメインで配信しています。伸びやすいのは画面の中で動き、変化があるものですね。私たちが映像の中で表情を変えたり大きく身体を動かしているものが再生数が伸びやすいです」

演技がおもしろいですよね

弁護士まつざき「先ほどもお話したように、僕は主に裁判の判例の紹介を配信しています。判例は工夫すればストーリーとして1分あれば語ることもできるんです。ただ、判例だけでは法律の正確な知識を身につけることは難しいので、あくまで法律に興味を持っていただくきっかけ作りという認識です」

時事的なネタもここまでコンパクトにまとめるのはさすがです

税理士河南「必要な情報を全て伝えようとするのはTikTokでは難しいですよね。私はたまたまフリーランスや自営業の方をクライアントに抱えているので、他の同業者と比べてわかりやすく伝えることになれているのかもしれません。フリーランスの方に役立つ情報発信というテーマが定まっているので個人事業主の方からご支持をいただけています」

天体物理学者BossB「私はTikTokは科学のおもしろさや宇宙展望をみんなに伝え、考えてもらうことによって、より良い社会を作っていく場だと思っています。大学は専門性の高い研究、TikTokはアウトリーチ。普段は興味のない人にも届く可能性がある点がTikTokの魅力ですね。アテンションスパンの短くなってきている若者、現代人への興味付けのきっかけができたら素晴らしいと思います。」

英会話せいけ「TikTokは目的を持って動画を探すよりも、流れてきたおすすめを見るケースが多いことも重要なポイントですよね。例えば、動画では『aとtheの違い』というような目的がはっきりしているものよりも、多くの人に興味を持つ抽象的な動画が視聴されやすいです」

たとえばこんな動画です

弁護士まつざき「配信時間や視聴ニーズを考えると、TikTokの配信で勉強してもらうことは確かに難しい。でも、ここまでみなさんがお話ししてるように、TikTokをきっかけにして興味を持つ人は増えていると実感しています。専門家の方は、自分たちの分野の学びの入口として何が発信できるかを考えればよいと思います」

「13人の中高生が天体物理学者になりたいと言ってくれました」

ここで、天体物理学者のBossBさんから嬉しい報告がありました。

天体物理学者BossB「自慢っぽくなってしまうのですが、一点いいですか。私のTikTokを見たからか、元から興味があったのかはわかりませんが、これまでに13人の中高生が天体物理学者になりたいと言ってくれました。TikTokをはじめてまだ約半年ですよ! とても嬉しかったですね!!」

税理士河南「ここまで、TikTokは興味を持ってもらうきっかけ作りというのがキーワードになっていますが、そのあと「自分でもっと詳細を調べてみたい」という気持ちを促進することができると思います。なのでまず”きっかけ作り”としてTikTokが優れているんですよね」

天体物理学者BossB「ただ、普通に発信すればいいわけでもないんです。まず動画の最初でインパクトを残す。TikTokは『わっ!』とインパクトを与えるような内容、『こんなにおもしろいんだ!』と思ってもらえる配信ができているかが重要ですね」

表情、最初の一言で一気に引き込まれます

「契約率は20パーセントくらい上がりました」

ここまで、4人から発信のコツを具体的に伺ってきましたが、TikTokを始めてどれほど反響を得られたのでしょうか。

たとえば、集客につながったり、他のSNSのフォロワーが増えたり、反響はありましたか?

天体物理学者BossB「TikTokの反響としてはメディアからのオファーがとても増えました。テレビからもオファーがありましたね」

英会話せいけ「我々は海外への留学支援を行なっているのですが、反響として契約率がわかりやすいです。留学は他社との差別化が難しい業種なのですが、認知されて信頼してもらっているためか、契約に結びつくケースが増えています。契約率は20パーセントくらい上がりました。これもTikTokを入口に学ぶ人が増えたと言えるかもしれません」

税理士河南「以前はオンラインで私のことを知ってくださる方は YouTubeをきっかけに知ってくださっていたことが多かったのですが、今はTikTokから私を認知してくれる人達も増えたような気がします。その証拠にYouTubeの登録者もTikTok経由の人が増えました。具体的には約1割程度の人がTikTok経由のYouTube登録者だと思います。他の仕事もTikTokからということが増えています」

英会話せいけ「今回のお話ではTikTok自体では学ぶことが難しいという話になりましたが、私たちは今後はもう少しレッスン系を増やしていきたいと思っているんですよ。英会話は配信者が多くて今はパイを取り合っている状況なんですね。1分の時間の中で『学べる』系にも挑戦していきたいです」

弁護士まつざき「そうですね。僕も興味付け以上のことをもっとできないだろうかと考えています。未来のある10代・20代のためにより良い配信を今後も続けていきたいですね」

大学で教鞭を執る研究者の方や、士業の方でもしっかり本業にシナジーを起こせることがわかりました。

「自分の分野はマニアックだから…」と思っている専門家の方、ぜひ試しにTikTokを始めてみてはいかがでしょうか。

【専門家がTikTokを始めるコツまとめ】

1:専門知識をそのまま発信するのは時間的にムリ。1分で伝えられるテーマを決めよう!

2:最初の1秒で表情やセリフでインパクトを残そう!

3:反響はメディア出演オファー、他のSNSのフォロワー増加、集客などさまざま。TikTokを興味付けの入口にしよう!

【クリエイタープロフィール】

(順不同)

まつざき(@matsuzaki.lawyer)

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現役の弁護士。誰もが気になる事件や裁判を圧倒的な速さと伝達力でTikTokにアップしている。法律を知らなくても、なぜかわかってしまうわかりやすさが好評を得てTikTokフォロワーは10万人以上に成長。

BossB(@herosjourneygc)

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天体物理学者BossB🌟💫永遠の探検家、ハイブリッド、息子二人を宇宙よりも愛する母、愛💖, 自由🕊, 皆が自分の波長で輝き続けることのできる社会を宇宙展望で創ることに挑戦中。コロンビア大学天体物理学博士号取得後、カリフォルニア大学サンタバーバラ校、ドイツマックスプランク天文研究所で研究活動、その後第2子の妊娠・出産とともに研究業から離れ10年間カリフォルニアで子育てに専念、愛💖に生きる。現在信州大学工学部常任講師として天体物理学研究・教育+グローバル教育にも従事。エチオピア貧困農村部の学校に行けない女子への支援 (Let Girls Learn project)、SNSで宇宙・科学の面白さ及び宇宙展望で意見を発信する活動 (Hero's Journey project) などの社会活動も行なっている。Peace✌️

StudyIn (@studyin);みっちゃん、せいけ

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南カリフォルニアからの帰国子女みっちゃんと、文法マスターの純ジャパせいけが、明日から使えるネイティブ英語を配信。ネイティブイメージ×英語学習者目線で、リアルで分かりやすく学べる!「あれ、英語って楽しい!」をコンセプトに、楽しくていつの間にか見続けられる英会話コンテンツを提供している

河南恵美(@emikawaminami)

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業界では珍しい自営業専門の税理士として2012年に開業。独立開業に必要となる知識を身につける、学ぶきっかけになるようSNSで”経理・税金・確定申告”の情報を発信中。TikTokは2021年の1月からスタート。現在のフォロワー数は5万人以上を獲得。YouTubeのチャンネル登録者は約2万人。
税理士をオンライ上で味方につけるをコンセプトに、オンラインサロンを運営。新しい顧問契約の形として展開中。
プライベートは、旦那と息子の3人家族。仕事と家庭の両立をしながら働く女性起業家。

禁無断転載

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