面白くない人間になっていた話

インターンシップで出会ったとある1人の男の話をします。

前提として、私は面白くない人間が嫌いです。大喜利が強かったり、何か強いエピソードトークを持ってなさいというわけではありません。みんなの前に出て喋ったり、場を盛り上げなさいというわけではありません。
何かがとても好きだったり、何かに造詣が深かったり。そういった人間は、話していて面白いなと感じます。

その逆、薄っぺらい人間はどうも苦手です。場の空気を読み、他人に興味を合わせるために自分の時間を費やしてきたような人間。自分の好きなものなど一切存在しないような、インフルエンサーのつぎはぎのような人間。
そういった人間とは、コミュニケーションをとりづらいのです。
何の話をしても、話が盛り上がらないから。

9月上旬、その男と出会いました。

その男はHIPHOPが好き、韓国が好き、YouTuberが好きでした。お笑いが好きという武器でインターンに合格した私とは、相容れない存在でした。

男はグループワーク序盤でこう言いました。
「お笑い俺たちわかんないからさ、なんかもっとみんなが楽しめそうなやつない?」

私が真空ジェシカの名前を出した時のことでした。

私の武器。面接で褒められ数多くの受験者から選抜された、これまでの人生で磨き上げられた、大好きな大好きなキラキラの刀は。

その一言で粉々にされたのです。



私はこれまでの人生で最も深く傷ついてしまいました。
自分が今まで面白いと思っていたものは、自分が属していたコミュニティだけのものだったんだ。私は、面白くないんだ。

私の人生は、無駄だったんだ。


こみ上げるものをぐっとこらえ、何とか2日間耐え忍びました。

その男の発言で心に残っていることがあります。グループでパートナーの有無について話していた時のことです。

「俺は彼女いるんだけど、明日フってくる」

99%噓でした。
仮に本当だとしても、一度愛した女性を「フってくる」ことを報告するのはどうなんだ。それをやってやったぞ!的な表情で言うのはどうなんだ。



この男は、薄い。
虚勢と流行で作られた、ペラペラの張子だ。



男はインターンシップが終わるとグループメンバーを打ち上げに誘いました。
フリー宣言を済ませて満足気な男は、2人の女子を従えて夜の街に消えて行きました。

男はHIPHOP好きとのことでしたが、鎮座DOPENESSも志人もDr.DreもノトーリアスBIGも知りませんでした。ロシアのHIPHOPとかが好きなのでしょうか。そちらの知識は私にはありませんので男のことを悪く言うことはできません。ただ、私がHIPHOPの話をしようとするとバツが悪そうに話題転換をしたのを覚えています(早口)


もちろんグループで積極的に発言をしていたわけではない私には、企業からそのあと何の連絡もありませんでした。
憧れの企業のインターンに参加できる!とウキウキしていた私に、男は、企業は、現実を見せつけてきました。





そこから数週間後、
研究室のトイレで鏡を見た時の話です。

鏡には、あの男が写っていました。
センター分けの髪。青いシャツをインした黒いスラックス。

あの男の服装をした私がいたのです。
ぞっとして、髪を直しました。急いで前髪を濡らして、分け目をなくしました。

私は、染まってしまったのか?
あんなに自分のおもしろさに自信を持っていた私は、死んだのか?
社会に迎合したのか?

あのインターンで自分の価値観を否定されて?
あんなに輝いていて、みんなに憧れてもらった、みんなに面白いと言ってもらった、あの和田ティキ太郎は、死んだのか?








そんなことなかったです。

M-1一回戦合格しました!!!これが一番言いたかった!!

ライブのお誘いお持ちしております。

P.S. 芸会で放電落ちたの納得いってない
P.S. ナルチヌ先生コンビ組んでください


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