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〜不定期連載・取材後記〜「20220906取材後記:ドウグラス・モレイラ・ファグンデス “ドッジ”」

この日も強烈な日差しの中で強度の高いトレーニング

9月3日、日立台でのトレーニングを終了後に「ドッジ」ことMFドウグラス・モレイラ・ファグンデス選手にお話を聞くことができました。

強烈な日差しが照りつけた中でのこの日のトレーニングを終えたドッジ選手はベンチでしばしチルアウトしてから我々が待つ取材エリアへ訪れてくれました。

来日前から、ブラジルサッカー識者や方々で「ドッジはいいぞ」という評判を聞いていて楽しみしていましたし、早川エジソン正吉通訳からも「ドッジはとてもテクニックに優れた攻撃的なMFだよ」との説明がありました。

レイソル加入後も素晴らしいテクニックやピッチを滑っていくかのように走り回る姿、とてもフォトジェニックな身のこなしに夢中になり、レイソルさんにも取材の「エア・オファー」を送らせてもらっておりました。

今回のインタビューでは、「ドッジ選手の素顔について迫れたら…」という趣旨の下、進めさせてもらいました。さて、野暮ったい前段はこのへんにしまして、早速ドッジ選手のインタビューをご一読ください。読み終わった時、「ドッジはいい!」となるはずです。
(2022年9月6日日立台にて収録。Special thanks:Edson Masayoshi Hayakawa -Translator-)

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◆ドッジ選手、こんにちは。今日はお話ができてうれしいです。この夏以降コンスタントに出場機会を得るに留まらず、様々なインパクトや結果を残しています。その良い感触はご自身が一番感じているのでは?

Dodi:コンニチハ!今シーズンはすごく快適に、気持ちよくプレーさせてもらっていますし、ここまでたくさんのプレー機会を得られていることに感謝しています。私は「日々、全力を尽くし、チームに貢献をする」と誓い、日々取り組んでいて、試合に向けて、ネルシーニョ監督が「ドッジを起用する」と思ってくれた時に万全な状態で試合に臨めるよう務めています。レイソルのチームメイトと勝利を追求するために最大限の力を注ぐ気持ちで毎日のトレーニングや試合へ臨んでいます。

今夏は印象的な活躍を見せ、東京戦では来日初ゴール

◆言わば、「好調」という昨今ですが、どのような変化があったのか、また、Jリーグとはどのようなリーグと感じていますか?教えてください。

Dodi:Jリーグで継続的にプレーするには高いクオリティーが求められる。このリーグはそういう特徴を持ったコンペティションだと思うんだ。そんなリーグの中で戦っていくには「フィジカルコンディション」が重要だと感じているよ。まず、そこは常に気を使っている点です。そして、実際のプレー面での感触として思っているのは、ネルシーニョ監督からの私への要求でね。「もっとペナルティー・エリア付近から攻撃的な仕事をして欲しい。ゴール前へ進入して欲しい」と求められているところで、先のFC東京戦ではJリーグ初ゴールも決められた。磐田戦でもシュートチャンスを得られたりと良い傾向にあると思っています。今後はもっと自分の持つ全ての能力を発揮していきたい、レイソルのために良い仕事をしたいね。

酷暑の下でも黙々とトレーニングに打ち込むドッジ

◆確かに屈指のクイックネスで好機に顔を出す機会も増えていますし、来日初ゴールも決めました。そのようなスペックを持つドッジ選手の力を活かす意味で、先頃復帰を果たしたドウグラス選手の存在は大きいのではないでしょうか?それこそ、ピッチ内外で。

Dodi:そうですね。ドウグラスの存在は自分たちにとって大きいです。彼は日本での豊かな経験を持ち、ピッチ内外で私たちをサポートしてくれています。培ってきた経験や知識を私たちに分け与えてくれるような存在です。先月の復帰直後から素晴らしいゴールを決めていますね。あれらのゴールはその特別な「引き出し」を持った選手にしか決められないものばかり。ドウグラスがいることで、相手もそう簡単に良い仕事はできないでしょう。Jリーグでの知名度もあって、ボールをキープができて、空中戦での優位性もあって、ゴールも決める選手ですから、私たちもドウグラスの能力をもっと引き出したい。そうすれば、レイソルにもっと大きくポジティブな相乗効果を生み出せるんじゃないかって思っているよ。

ドウグラス選手、北爪選手、エジソン早川通訳、ディオゴフィジカルコーチとドッジ。練習終了後のひとコマ

◆若くしてブラジルのトップレベルで戦ってきたドッジ選手に聞きたいことがあります。今季のレイソルには活きのいい若手たちが花盛りの状況。先日の磐田戦でも細谷真大選手や佐々木雅士選手、田中隼人選手がプレーしました。きっと、かつてはブラジルで、ドッジ選手も似たような状況下にあったと思います、「有望な若手」というような。国は違えど同じ道を通った先輩として彼らについてどう感じていますか?

Dodi:例えば、マオやマサ、ハヤトの存在について言えば、まだ若年層の選手でありながら、Jリーグという決して簡単ではないコンペティションやそれぞれの年代別日本代表のステージでも十分戦えるクオリティを示しているということ。その事実だけで十分ではないでしょうか?その事実自体が彼らの実力や持っている能力そのものを証明しているのだから。また、私はね、「経験」というものは、年齢の積み重ねだけで得られるものではないと考えていて、日常のトレーニングの積み重ねが、彼らの力を発揮することに繋がっていくことだってあるのではないかと思っているんです。あとは世代や年齢に関係なく、レイソルのチームメイトを信じて、敬意を持って、常に手を取り合ってプレーを続けていくことを覚えていけば、もっと大きな選手になっていくんじゃないかなと感じています。もちろん、他の若手選手たちにも同じことが言えるかもしれないね。

技術以外にも切り替えの精度などJ向きな名手だ

◆今、話していてもドッジ選手の思慮深さに感心しているのですが、そんなドッジ選手がやってきたレイソルやJリーグについて聞きたいです。印象的なカルチャーなどはありますか?

Dodi:それはたくさんあるよ!私が今でも忘れられない光景は、2021年に来日して初めての試合で、サポーターがいるゴール裏のスタンドに私の顔や名前、イラスト入りの「応援ゲーフラ」があったことなんです。それを見つけた時、「私をこんなに温かく迎えくれるなんて…」と幸せな気持ちになったことを覚えていますよ。そして、それは私に対してだけでなく、チームの全ての選手への熱い気持ちや愛情を表現しているところが、私から見たJリーグのサポーター文化の素晴らしいところです。私を応援してくれるまだ小さな女の子のサポーターがいたり、遠くまで応援に来てくれたり、いつも温かい声援やアクションを交えて温かい気持ちを届けてくれる方々もいます。レイソルや私に対するその気持ちや純粋な気持ち、その表現にいつも感動していますし、いつも私の心に「刺さって」いますよ。できる限り、応え続けていきたいですね。

2021年の来日直後、三ツ沢球技場にて

◆さて、ついついインタビューが長くなってしまいましたが、ドッジ選手が来日した時期は様々なプロトコルや制限が今以上に厳しく設けられていましたよね。あの頃の経験についてお話いただくことは可能ですか?我々は制限の種類や段階は知っていた。でも、当事者たちの機微までは知らない。この場で、ドッジ選手にこの経験を語っていただくことはとても意味が大きいと思うのです。いかがですか?

Dodi:もちろん構わないよ。あの当時は本当に厳しい状況でしたよね。そもそも、あの頃の私にとってはブラジルを離れて日本に来る、Jリーグの柏レイソルでプレーするということも含めて、全てが「新しい経験」だった…もっと言えば、無人のスタジアムでサッカーの公式戦をプレーすることも初めての経験でしたよね。あの時、人のいないスタンドを見つめて、改めて「サポーターの存在」を尊く感じていましたし、私個人も、最初は家族と一度離れて、1人で来日しなければならなかった。それを聞き、驚きましたけど、その決まりに逆らうつもりはなかったし、レイソルの方々は私たち選手だけではなく、ブラジルにいた家族に対しても向き合ってくれていましたし、早くそれぞれの家族が来日できるように各方面へ働きかけてくれて感謝しています。私の家族とはビデオチャットなどのアプリケーションを活用すれば、ひと時の寂しさは埋められはしましたが、しばらくして家族が来日できた時には、私の中で欠けていたパズルのピースがしっかりとはまったような気持ちで、家族への想いもさらに強くなりました。私の家に大切な家族が帰って来てくれて、レイソルの選手としては、スタジアムにも大切なサポーターたちがスタンドに帰って来てくれて、「感謝しなければ。私は幸せ者だ」と強く感じましたよね。

レイソルに馴染み、サポーターにも愛されている

◆ありがとうございます。きっと今まであれば、練習場のこのエリアにはたくさんのサポーターが詰めかけて、選手のみなさんに直接メッセージを伝えられたはずで、きっとドッジ選手も新たな文化としてたくさんの経験をしたはずです。月並みではありますが、この場でサポーターにメッセージなどいただけたら。

Dodi:まずは何よりも「感謝」を伝えなければいけません。サポーターの皆さんがサッカーを観戦する。レイソルを応援する。それだけでも難しく、声も出せない状況が続くなど、自由が制限されている状況の中でも、常にスタジアムに足を運んでくれて、リズムに乗った温かい手拍子で自分たちを支えてくれて、その姿勢を心強く感じていますし、真摯に「12番目の選手」として戦ってくれていることに感謝しています。私たちは今、Jリーグの大事な終盤戦にあって、「一戦一戦を決勝戦のつもりで戦う」ー、その姿勢を示すことで気持ちに応えていかなくてはと思っていますし、私たちはピッチでみなさんの気持ちに応えて、少しでも多くの勝利を届けることでサポーターたちに喜んでもらいたいんです。

◆…じゃあ、ドッジ選手がするべき、次のゴールセレブレーションは大好きなスニーカーに刻まれたあのロゴ、「ジャンプマン」パフォーマンスだね。

Dodi:あはは!それ、すごくいいね(笑)。チャンスがあったらやりましょう!アリガト!

「今後は全てが決勝戦。多くの勝利を」(ドッジ)

今回のドッジ・インタビューは以上です。

例えば、試合前や試合後、練習での様子や佇まいなどを見る限り、「ドッジはシャイな人なのかな」と思っていた直感は当たっていたのですが、物事への思慮深さは驚きでした。

ドッジ選手が今夜もメンバー入りしていれば、レイソルにとって久しぶりとなる「声出しOK」の試合を経験することになるわけで、そのあたりの感想なんかもいつか聞いてみたいですね。

今や「ファンサ」だってお手のもの!

うん、ドッジはいいぞ!話せてうれしかったです!

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