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睡眠誘導術

眠れない夜のために、とっておきの睡眠誘導術を伝授するとしよう。西部劇の映画に出てくるようなウエスタンな砂漠をイメージしていただきたい。君は今、夜の砂漠の上に立っている。周りを見渡してももちろん誰1人いない。ただ肌をかすめるような強い風が吹いているだけだ。砂漠の夜はやはり寒い。そこからは深い溝が見えている。その溝のように見える場所まで歩いていくと、そこには木が何本かあり、良い隠れ家として使えそうな物陰もいくつかある。物音1つなく、何か生暖かい空気さえ感じる。そこにはまっすぐな一本道があり砂漠を通っていく兵士が度々現れる。おっと、噂をすればその兵士がもう少しで近づいてくるようだ。この兵士たちはこの道を通って砂漠を越えて行くのだろう。まずは素早く物陰に隠れる。その物陰は隠れ家のような空間だからその道からは多少離れている。だから自分の好きな音楽をかけても差し支えない。マリリン・マンソンのThe Beautiful Peopleなんかをかけるなら最高だ。さて、その一本道は兵士が1人ずつしか通れない。物陰に隠れながら、そこに置いてある弓と矢を準備する。矢を1本弓の弦に引っ掛けて構える。その兵士が射程に入ったら矢を射る。必要なのは集中力だ。どんどん兵士は現れるが、1人1人をこの方法で仕留めていく。なんなら嫌いな顔が現れたときだけ先の尖った直径9ミリの円柱を射精させてもいい。大体この睡眠誘導術による効果は4人目ぐらいから現れる。多くても20人を超えることは絶対にない。4人5人6人と打っていくうちにある種の睡眠効果が出てきて、眠気に襲われるだろう。翌日の目覚めは快適だ。なぜウエスタンの砂漠の夜にこの地味な作業をしなければいけないのかはわからない。昔見た映画での西岸のウェスタンカウボーイのシーンからの影響があるのだろう。もっともこの睡眠誘導で夢を見たことがある人は1人として聞いたことがない。眠れなくなった時はこの睡眠誘導術でぐっすり眠るとしよう。必要なのは想像力と集中力だ。意識と無意識の境目で反復横跳びをするような妙な感覚に襲われることがあるかもしれないが、あしからず。

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