初心者が挑むこだわりの牡蠣スパイスカレー
スパイスカレーには手を出さない、と決めていた。
スパイスの種類の理解に始まり、それぞれの扱い方やら、テンパリングという横文字やら、ベースを何にするかやら。あれは奥が深すぎる。
だから、「スパイスカレーを作ろう!」という方向から入ったのではなく、
「牡蠣食べよう!」という方向からやって来たのだった。
3月、そろそろ牡蠣もお別れの時期。別れを惜しんで味わいたい。何作ろう。牡蠣の出汁をも愉しむ、、あ!カレー作ったことないなぁ、
と今ここに。
スパイスカレーの得意な友人が数人、脳裏をうろつくこともあり、緊張感もあったのかもしれない。「スパイスカレー」という枠から外れてはいけないような。
だから勉強してからにしよう、と思ったらいつまでも手が届かなかった。
ネットレシピを調べてみるも、使っているものが全くの十人十色。
スタータースパイス、というらしい始めのホールスパイスにしたって、それぞれ違うのだ。同じ「牡蠣」という具材でも。
目が回ってしまい、もう調べるのをやめた。
ただ、
何となく使いたいスパイス(合わせたい香り)はあって。
けれども、
「え、そこにそれ、使う?」 ってレシピになることの恥ずかしさもあって。
しかし季節は待ってはくれない。
牡蠣を味わう為に、自分の舌想像力を信じて作る、初心者のこだわりスパイスカレー!
嗅覚の想像で、合わせたい香りと、
あのお店のあんな感じの色と、
舌が求めてる風味を相談しながら。
レシピ
3皿分
▶︎ココナッツオイル大4,
カルダモン2粒, マスタードシード小1/2, クミン少々, レモングラス5本,
ガラムマサラ小1 ,牡蠣出汁300cc
檸檬1切,岩塩ひとつまみ
糠漬け玉葱150g,トマト1玉200g, 野菜麹10%大蒜小1/2,生姜小2,牡蠣150g,春菊茎15g,
春菊葉は18g
牡蠣7粒うち3粒みじんに。
▷トマトぶつ切りミキサーにかけ
野菜麹とウコン入れ待機
粒スパイスをオイルで香らせ
玉葱レモングラス中弱火
5分混ぜてくたくたにせず
トマト 大蒜 生姜 茎
水分とぶまで火力5 10分
牡蠣だし入れて10分煮込む
牡蠣は3粒みじんで潜ませ
ガラムマサラ春菊と途中に
最後の方に檸檬搾り塩ふり
ぷりぷり牡蠣は最後に添える
牡蠣出汁
▷牡蠣に塩振り10分待ち
汚れ吐き出しふり洗い
牡蠣と倍量以上の水鍋に
沸騰したら火を止め湯上げ
とっただしがほんのりピンク
▶︎米2合, ウコンすりおろし3g, バター3g 炊飯
くわしく
はじめのスパイス
ここを見せるのがすごく恥ずかしい。
種類、量、おかしくないかなぁとそわそわ。
でもいいんだ、きまりなどない、
家庭料理は自由だ。
牡蠣に合わせたい、と選んだのは
カルダモン
マスタードシード
クミン
レモングラス
なんだか多国籍な気はするが、
スッと鼻から清涼感みたいなものも欲しくって。
けれどこれは家庭料理、
3歳もスパイス苦手な夫も食べる。
おそるおそる少量で。
クミンがシューっというくらいに香らせて、
レモングラスは最後に、炒めずすぐ次へ。
カルダモンは中の粒を使うが皮が可愛いのでとっておく。
玉葱を炒める
スパイスカレーではよくタマリンドという酸味のあるマメ科の実が使われているが、初心者の家には無い。
けれどもそんな雰囲気の酸味は欲しい。
酸味、酸味、と家を見まわし
居ました、ぬか漬け玉葱。
(正直にいうと漬けていなくて
思い付いてすぐ漬け2時間)
2時間でもほどよくぬか漬けらしさは出ていて、
ほのかな酸味を加えてくれた。
そしてここでも分かれ道。
弱火でじっくり、というレシピもあれば
火は強く長くは炒めない、というのも。
答えは自分の想像の中に!ということで
甘すぎず食感も残る感じが良かったので、
強めの弱火で玉葱投入。
くたくたにならない5分で止める。
水分を飛ばし味を凝縮したいので
木べらで回し続ける。
ベースはトマト
ところでカレーの汁って何からできてるの??
と不思議でならなかった、少し前まで。
今は舌の求めるままに。
牡蠣に合わせるはトマト。
いや、舌というよりは視覚から入った。
牡蠣には赤い汁が似合いそう。
あれって何からできてるの?
というゼロスタートから。
フレッシュなトマトを潰せば合わない訳はない。
何ならカレーにならなくたっていいのだ。
もしくは、
カレー粉いれればカレーと名乗れるんだから。
ブレンダーにかけたトマトに、野菜糀を10%合わせておく。
※野菜糀(セロリ、人参、玉葱の塩麹)
そして、ウコンのすりおろしも、
癖が強すぎぬよう少し。
ウコン? ターメリックで結構です。
私もウコンなんて物体、この秋まで見たことが無かった。
産直に並んだ生姜のような物体を、
ウコン?!と興味本位で買ったものの
無くなるまで使えず、新聞紙に包み
そういえば、、と今出てきたもの。
ウコンの生命力にもびっくり。
具材
次に入れるのはこれら。
これらが全て、あとは牡蠣ひとすじ。
左上の缶は迷った末使わなかったスパイス。
瓶に入っているのは保存用の、大蒜すりおろしと生姜すりおろし。
こうしておくだけちょっと楽。
傷みにくいよう酒に漬けています。
玉葱のところに入れて、
弱めの中火 (IH 火力5)で
トマトの旨みが凝縮されるまで10分煮込む。
この間に牡蠣出汁をとっておく
牡蠣出汁
一緒に煮込めばいいじゃん、と
以前の私ならこの作業割愛していた。
けれども知ってしまったの。
煮ない牡蠣のぷりっとした美しさ。
だからこの作業は手早く
水から入れて沸騰したら火を止め、
身を取り出す。トッピングまで待機。
牡蠣の下処理は
多めの塩を和えて(150gに大1程)
10分ほどおき、
排出された汚れを流し、
水で優しく撫でて洗い、流すを3回。
あまりやると旨みまで流れそう。
本当は水をかけずに粗い竹ザルの上で振るふり洗いが良さそうだが、家に竹ザルがない。
身を推すか出汁を推すか、
選んだのは出汁推し。
三粒をトッピングから出汁側へ。
刻んで出汁をブースト。
この隠れ牡蠣と牡蠣出汁を入れたら10分近く弱火で煮込む。
パウダースパイスをこの時に入れることが多いようだが、香りが飛ばないほうがよいので後のほうにする。
パウダースパイス
いよいよ悩ましいパウダースパイス
INSPICEのDISH1 という無塩のミックススパイスを使おうか
(パプリカ、ペッパーキャビア、ブラックペッパー、コリアンダー、クミン、クローブ、オレガノ,フェヌグリーク、カルダモン、バジルリーフ、オールスパイス)
こちら和高スパイスのガラムマサラを使おうか
(コリアンダー、レッドペッパー、ナツメグ、シナモン、オールスパイス、クローブ、クミン、ローレル)
嗅覚とイメージを頼りに散々迷った結果、後者に。
ナツメグやシナモンが入って少し甘い香りもあるところが決め手。
仕上げ
酸味も塩味も潜ませたが(塩は野菜麹に。塩麹と同じ塩分量)
最後にキリッとした酸味、塩麹も加えたいので、
レモン果汁とインド岩塩を。
ライス
ウコンのすりおろしを入れて炊いた、いわゆるターメリックライス。
米2合に3gくらいが癖の出ない量。
バターも少しだけ入れて、炊飯器。
器
器もまた悩みどころ。
カレー皿、もってないなぁ。
黒か白か悩んだけれど、
赤い汁を引き立ててくれる白に。
いただきます
わぁ、なんて綺麗なの。
国旗にしたいカラーリング。
そしてこのカレーの色、テクスチャ、思い描いてた通り!
胸が熱くなりドキドキしてくる。
「集大成、-完-」のような興奮。
食べる場所も大切にしているところ。
光の入る席で、食材の艶を見ながら食べると一層美味しい。充足感が増す。
春菊の葉は最後に入れようと思っていたけれど、
赤の汁があまりにも美しくて
邪魔できなかった。
しかし舌としては欲しいので、食べるときに一緒に混ぜて。柔らかくほろ苦い葉が牡蠣とも汁ともバターライスとも合う。
カレーって凄い。
何次元もの調和を楽しめる。
スパイスカレーって、
完成までに幾度も分かれ道を選んで選んで辿り着く感じ。
旅。アドベンチャー。総合表現。
そして見えてしまったスパイスカレーの沼。
スパイスカレーは自由だ!
いちおうカレー、という決まった枠の中で
広い振れ幅で自由に変えられる面白さ。
やばい、はまりそう、、
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