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明るい夜に出かけて

家から連れた涼しさは、 
歩いている間に消えていた

喫茶店へ入り、涼しさを実感した瞬間に
自分の身体が熱っている事に気づく

遅れて感じる熱気
耳や頭の先から熱が抜ける感覚に
初夏の訪れを思い出した

近頃から天気は快晴だったが
照りつける日差しにようやく太陽の温度が
追いついたようだった

このように考えていると
四季の変化とは、
即ち気温の移り変わりであって

均一的な空間を作り出すことに成功した現代社会に生きる自分にとって
やはり外の世界を歩くことの意味を再確認した

整えられた空間から出て初めて知る事があり
これはきっと、
四季の移ろいを肌で感じるだけでなく
もっと多くの事でそう言えるのだろう

夜、風呂から上がり熱を冷ます為に窓を開ける
ワインを少し飲むと、心拍数は上がり
身体はまた少し暑くなった

流れた空気が、湿った肌を冷やしていく
この繰り返しが心地よくて、つい飲み過ぎてしまう

外の騒音は深夜ラジオの様に
オレンジ色の電灯はまるで夕焼けのように
部屋へと入り込む

最初に感じた初夏の夜だった



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