見出し画像

日常の登山電車

そういえばこの前箱根に行ってきた。
コルクラボの定例会で発酵デザイナーの小倉ヒラクさんの話を聞いたからか、ふと「自然と一体化したい」というスピリチュアリズムが出てきて、水曜に決めて土曜には小田急ロマンスカーに乗っていた。

小田急ロマンスカーに初めて乗ったけど、座席横の窓が大きく設計されていて、周りの景色が見やすく、高層ビルやマンションが減り、軽自動車やガソリンスタンドが増えていく景色を観ながら「都市部から地方へ移動している」感じを味わうことができ、都市部で生活している身としては非日常な空間に入っていくようだった。
また「屋上の露天風呂で周りは森とか山が見れるお風呂にしよ」と思い、温泉を予約したが、それも狙い通り、日常ではなかなか味わえない「自然に一体化する」ような感覚を味わうことができた。

次の日に美術館に行くために駅に向かったのだが、中高生やら家族連れでかなり混み合っていた。「まぁ連休だし観光地なので仕方ないなぁ」と思って、車両に乗ったのだが案の定車両内も混んでいるわけで。
そうしたら車両内に流れる大音量のアナウンス。

え〜○番線に停車中の列車は○時○分発、○○行き特急○○です。
発車までしばらくお待ち下さい。

このアナウンスを聞いた瞬間に驚いてしまった。
「電車から見える車両、自然が見える温泉を通して、丁寧に紡いだ非日常空間から、こうも簡単に日常空間に戻すことができるものなのか」と。

そう。そこから聞こえたアナウンスと密な車両は、僕に「通勤ラッシュ時の山手線」を思い出させてくれたのだ。

空間や世界観は積み重ねによって立ち上がってくる。
それは信頼の積み重ねに近い。一つの綻びによってすぐに崩れ去ってしまう。
逆に観れば、日常空間が強固だったとも言える。
大量の車内アナウンスで、通勤ラッシュ時の車内という独特の虚無感を内包した空間を想起させるのだから、よっぽと僕は信頼されているらしい。

僕が信頼したいのは何だろうか。
どんな空間、世界線に身を置きたいのか?と改めて考えさせられる連休でした。

いただいたサポートは、書籍代に消え、そして雨となって次のnoteになっていきます。