教育デザインにおける基本要件
教育デザインシリーズその2です。(初めての方はその1をお先にどうぞ!)
今回は教育デザインにおける基本要件のお話です。
基本要件とは?
デザインの中でもかなりメタの概念です。多分。
この図が正しいかは分かりませんが(今適当に作ったので...)、何となくイメージはできるのではないでしょうか!
教育デザインにおいて「学習者の数だけ最適な学習プロセスがある」と書きましたが、その中での共通的な考え方となります。
教育デザインにおける6つの基本要件
これはR.M. ガニエ(米国の学習心理学者であり、この分野の第一人者)の提唱した基本要件を、あえて一言で表したものです。
(書籍によってはまとめられていることもあります)
1.学習者ごとの学習プロセスを支援する
「先生の教え方が良い、悪い」の議論をたまに見かけますが、教育デザインの枠組みでは学習プロセスの支援方法(教え方等)だけで判断することはしません。学習プロセスの良し悪しは学習者が学習プロセスを通じて目標に到達したかどうかで判断します。逆に言うと、特定の教育デザインがすべての学習者にとって最適なデザインであることはあり得ないと言う意味です。
2.学習プロセスは多くの外的影響を受ける複雑なプロセスである
一般に、学習は少なくとも以下の5つの影響を受けると言われています。
1.学習者の辛抱強さ
2.許された学習時間
3.インストラクションの質
4.適性
5.学習者の学習能力
(John B.Carroll, 時間モデルより)
さらに、これらは互いに関係しあっているため、教育デザインの効果は上記を複合して考える必要があります。例えば、一般的に良くない学習プロセス(難解な教科書の独習など)であったとしても、学習者に意欲と時間があれば十分に習得することもあるでしょう。しかし、この学習プロセスが誰でにも効果が出る学習プロセスでないことは明らかです。
時間モデル:学習の個人差を「学習に必要な時間と学習に使った時間の差」として分割して考える、米国の学校カリキュラム設計に多大な影響を与えた考え方。
3.学習プロセスに違いがあっても、基礎となる教育デザイン原理は共通する
上記2つの項目で何となく感じると思いますが、IDのモデルは学習全般に応用できると考えられています。学習モデルの詳細が異なっている場合でも、基礎にあるIDの原理は共通的なものです。(家庭教師でも学校教育でも使えるってことです。)
例えば、ADDIEモデルはほとんど多くの学習プロセスのデザインの元になっていると思います。
4.教育デザインの過程に学習者を巻き込む必要がある
教育デザインが効果的であったかどうかは、学習者の成果でしか計ることができません。最初に計画した内容を実施する場合であれ、都度変更を加えながら実施する場合であれ、どこかで改善するフェーズが発生します。その時、テストのような数値で分かる成果だけでなく、学習者の内面も考慮した方がより良い改善ができます。
同時に、学習者から率直な感想を聞けるような人間関係の構築も重要になると思います。
5.教育デザインは学習プロセスの集合体と考えられる
IDは”必要な成果”と”学習プロセス”と”評価方法”のマッチング技術、と単純に捉えることもできます。学習プロセスの効果がなかった場合は、すべてが悪かった訳ではなく、上記要素間にアンマッチがなかったか考えることも大事な改善方法です。
6.すべてのことを教えられる「ベストな学習プロセス」は存在しない
異なるタイプの学習成果には異なるタイプの学習プロセスが求められます。これは、学習プロセスは学習者とセットで判断するものであり、そのセットで効果があったかどうかを考えているためです。学習者の数だけそれぞれにベストな学習プロセスがあると考えて良いでしょう。先ほどの「難解な参考書の独習」の学習プロセスに万全性がないことが良い例だと思います。
まとめ
抽象的過ぎてよく分からんですね!頑張って噛み砕いて書きましたが、変な記述には突っ込んで頂けると嬉しいです!
参考文献
分厚いし(500ページ弱)、高いので(約4,000円)、読む時は覚悟が必要になります!でも、面白いです!
※この本以外にも10冊近くは読んでいるので、これだけ読んでも全部は載ってないかもしれません...(記憶力不足)
読んでくれるだけでありがたいです!できれば左下にある「スキ」を押してもらえるともっと嬉しいです!