機動戦士ガンダム THE ORIGINという名の大河ドラマ【アニメレビュー】
2019年4月からNHK地上波で始まった放映をきっかけに「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」を観ました。(正確には地上波を1,2話見た後で、話がわからないところがあったので気になってネットで調べたら、TV版はカットシーンが多いことがわかり、アマプラで見始めて、一気に見てしまったのですが)
機動戦士ガンダムは劇場版三部作は見たことがあり、平成以降の地上波TVシリーズはほぼ観て、それ以外もゲームなどで流れを押さえているほどのガンダムファンの私ですが、1st世代ではないし(V世代)、そもそも結果が分かってることもあって敬遠しておりました。しかし、非常にここ数年惜しいことをしていたことに気付かされました。
非常に楽しみに見たのですが、ガンダムを楽しむ、という感じではなくて、大河ドラマを楽しむという感じでした。単に、キャスバル・レム・ダイクンの人生を描いているという訳ではなく、大河ドラマとしての面白みがあふれた作品で、さっさと見ればよかったです。
大河ドラマ的要素その1 重要人物の登場
一つ目は様々なキャラクターの若い時代を見ることができる、という点です。信長が主人公の大河ドラマであれば、後々重要になる人物と会った瞬間や若い日のエピソード、テンション上がるわけですよ。秀吉を召し抱えたタイミングとか、浅井長政に会った時とか、光秀なんか出てくると行動が気になって見ちゃううんですよ、そんな感覚が味わえます。この作品で言えば、ランバ・ラルやガルマ、ミ・・など後に見せ場があるキャラクターが出てきて、非常に楽しめます。
大河ドラマ的要素その2 結末は知っている
大河ドラマを楽しむ部分との類似点その2は、結末は知っているのに見てしまう、という点です。大河ドラマはだいたい結果を知ってみるものです。信長だったり、真田幸村だったり、戦場で死ぬことが分かっていても最後まで見てしまうのに、その過程を楽しむことがその醍醐味ですが、THE ORIGINも同じです。サイド2が出てきたり、戦闘が始まったり、落ちが分かっていても見ているうちに引き込まれてしまう世界観・ドラマがあります。
大河ドラマ的要素その3 整合性がない
THE ORIGINは実は、原作的位置にある機動戦士ガンダムとは話が一致していない点があります。機動戦士ガンダムシリーズは同一の時代を描くことはあまりなく(Zはリメイクがありましたが)同じ時代であっても違う舞台で、設定は共有して維持するな工夫がされてきました(0083であればコロニーの落下場所とか)。しかし、同一の時代を描きなおした作品はエピソードや設定そのものが違っており、かみ合わない部分があり、それでいて大まかな結果は大きく変わらないという特徴があります。(Zガンダムのリメイクはパラレル感が強かったのですが、パラレルとも言い難い距離感です)
しかし、このような差異は大河ドラマではよくあることで、この差異を楽しむのが大河ドラマなのです。明智光秀が現れれば、今回の謀反の原因は何なんだろうな?と気にして見るように、毎回違う明智光秀の謀反の原因に突っ込むことはありません。だから、これまでと違うずれは、こう描くんだーと感心してみるポイントなんです。
という訳で、落ちわかってるしなー、とか、設定に整合性ないんだよなーとかいう先入観は全くの無意味で、大河ドラマとして楽しんでおけばよかったなぁと思う作品でした。ガンダムを知らない若者というより、ガンダムを知らない歴史物が好きな高齢者にも見てもらいたいですね。
30年くらいしたら、NHKが大河ドラマで機動戦士ガンダムとか銀英伝とかやってもいいんじゃないかなー。
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