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セカンドチャンス by アニー ⑴

note にお住まいの皆さま、メリークリスマス !!
クリスマス ストーリーに相応しそうな🐶の物語を、今日から数回に渡りお送りします。
これは自分の中でお蔵入りしていた、ずっと以前に書いたものです。当時は note のようなプラットフォームもなく、本を出すなどは夢のまた夢でした。元々アニマルシェルター(動物保護センター?)のススメという目的で書き始めたもので、今では保護犬、猫、フォスター、などという言葉で置き換えられるでしょうか。一度捨てられた動物が次の飼い主と共に二度目の人(犬猫)生を迎える話として、動物目線からアニー🐶に語ってもらいました。


1.自己紹介
  About Me

現在名   :アニー
ブリード:たぶんゴールデンリトリバーと何かのミックス(と多くの人に言われる)
趣味    :ドライブ(特にドライブスルー)
好物    :枝豆、インゲン、オートミール

アニーという名は、みなし子ということで同名のミュージカルから名付けられました。私がこれを書くことになったのは、動物の声を人間に聞いて欲しいという、飼い主の意向によるものです。それとうちの動物達の中では、私が一番観察力に優れているせいでもあります。私はうちの中で起こることにとても敏感なたちです。そうでないコもいます。ネコ達はたいてい思い思いですし、他の犬はそれほど気にしません。でも私は子供の頃にいた家であまり良い経験がなかったため、飼い主の機嫌を必要以上に感じ取ってしまうところがあります。

人は「ペットは家族の一員」だと言います。それは愛情表現としてはありがたいことですが、私の飼い主は飼い主であって、大好きですがママではありません。だから私もここで「ママ」とは呼びません。私のママはよく覚えていないけれど、人間でなく犬でしたので。

2.コーヒー豆工場
At the Heart of Coffee Beans Factory 

私が今の飼い主に出会ったのは10年ほど前のことです。私はその時あるコーヒー豆工場の敷地内にキャンプしていました。ラッキーにもとってもいい場所を見つけたものです。住宅地から少し離れたそこは山坂が多く、緑もいっぱいあって、静かで交通量も少ないところでした。ぽつんと離れたところなので、近所で噂になったり苦情を言う人もいませんでした。私はその少し前に知り合った犬と一緒に行動していましたが、その犬はそのうちいなくなってしまいました。

私がそこを仮の住みかと決めたのは、工場で働くみんなが私をとてもかわいがってくれたためです。私は前の家で、家の玄関から中に入らないようにとても厳しく躾けられたため、建物の中へ入ることは絶対にしませんでした。またどんな時でも吠えると叱られたので、それも絶対にしませんでした。

工場の人たちは全員で私をかわいがってくれ、毎日休憩時間に散歩に連れて行ってくれる人もいました。そしておいしいドッグフードときれいなお水をいつも用意してくれました。またコーヒー豆が入っていたアロマがいっぱいの麻袋を使って、犬小屋も作ってくれました。冬は寒かったけれど私はそこでとても幸せでした。

でも彼らは私のことで悩んでいました。人間はすぐに顔に出るので注意深く見ていると状況を把握できます。その工場は食品を扱っているため、動物を飼ってはいけないらしいのでした。彼らは私の元の家を探してくれたようです。また新しい飼い主も探してくれたようですが、なかなか見つかりませんでした。私はその場所がとっても気に入っていたのですが。。。

工場の駐車場はとても広く、大型トラックが何台も停まれるほどで、駆け回るにはとても楽しい所です。この会社は小売店ではないのでそんなに頻繁にお客さんが来ることはありませんでした。
 ある日車を降りて駐車場でボケーっとしている女の人がいたので、私は遊ぼうと思って近づいて行きました。するとこの人は犬が好きなのか、結局建物の中には入らず、ずうっと私と遊んでいてくれました。やがてそれを見た工場のおじさんの一人が、建物の中から出てこの女の人に近づいて来ました。そしてだしぬけに、

「この犬、飼いませんか?」

と言ったのです。私も女の人もびっくりしました。私はただ遊んでいただけでこの人のことを何も知りません。それに正直言って他の所に行くのはいやでした。

すると彼女の表情は突如、ヒステリックな女の人のそれに変わりました。

「え???とんでもない! うちには猫が8匹もいるんです!」

そしておじさんと女の人はしばらく立ち話をしていました。私がどうしてここにいるか、そしてここでは動物を飼えないことなどを話していました。やがて建物の中から女の人の夫らしき人と何人かの従業員が出て来ました。みんなで私の顔を見ながらなんやかんやと話しています。私はとても不安になりました。でもやがてその夫婦は帰っていきました。

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それから二日ほど経つとまた同じ女の人が来ました。私は彼女の顔を覚えていたので、また遊ぼうと思って駆け寄りました。すると今度はすぐに従業員の全員が中から出て来て、なんだか妙な雰囲気になってきました。彼らは私のお皿や散歩用のリードや、私の犬小屋まで片付け始めています。そしてとても寂しそうな顔をして、従業員の一人一人が私にお別れを言います。私は「え?え?」という感じでした。どこにも行きたくありませんでした。

とうとう私は女の人の乗って来た車に無理やり乗せられ、工場を後にしました。工場のみんなは本当に私と別れたくなさそうでした。私も別れたくありませんでした。

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3.新しい家と飼い主
My New and Final Home 

そして私の新しい生活が始まりました。工場からは小一時間車で行った所で、こちらの方がずっと寒い所でした。新しい飼い主は私をデッキの下に繋ぎ、工場からもらった私のハウスを設置し、ゴハンをくれましたが、陽が落ちると家の中に入って行ってしまいました。私はこの最初の夜はとてもとても不安でした。新しい飼い主がどんな人か知らないし、この場所にも一度も来たことがありません。私は食事も殆ど喉を通らず、とにかく不安で一睡もできませんでした。そして気がつくと、私は繋がれていた鎖を引きちぎっていました。

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朝になり、私がいないことに気づいて仰天した夫婦が私を捜し始めました。私は車の横にいました。もしかすると、彼らはまたコーヒー豆工場に行くかもしれないと思ったからです。でも行きませんでした。次の日も次の日も行きませんでした。私は新しい家になかなか馴染めませんでした。工場でもらっていたのと同じフードを出してくれましたが、精神的に不安定であまり食べられなく、食べれば消化不良をおこしてしまいました。飼い主は家の玄関に入るように言いましたが、私は絶対に入りませんでした。家の中に入るとどれだけ人間に怒られるか知っていたからです。

ところがもう数日すると、この家にも少しずつ慣れてきました。ここも平和な所でした。緑がたくさんあり、走り回る所もあります。私が最初の日に鎖をちぎってしまったせいか、飼い主はそれから私を繋ぎませんでした。そして私はこの家の周辺の地理を少しずつ覚え、慣れていきました。散歩は毎日連れて行ってくれ、その時だけリードをつけられました。この家には妙にたくさんの猫がいました。私は猫が大好きです。猫の方は初め私を警戒していましたが、すぐに敵ではないことを理解してくれました。

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We All Deserve the SECOND CHANCE   ‼︎


<つづく>

次回:アニーの新しい家での生活が始まりました。家族も増えていきます。どうぞお楽しみに!



もしもサポートを戴いた際は、4匹のネコのゴハンやネコ砂などに使わせて頂きます。 心から、ありがとうございます