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商標のお話

商標のお話を、日本一わかりやすく説明することに、チャレンジしてみます。

商標って、ロゴの話ですよね?
ある会社のブランドのことを商標と言いますね?
例えば、このロゴはトヨタ自動車につけている商標みたいな。

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TOYOTAの商標。
ただし、
これだけだったら、商標の半分しか答えなかった、ことになります。

商標と言うのは、実は、ロゴ✕範囲です。

商標は、ロゴだけでは成り立たなくて、
そのロゴを、どこに付けたか、まで言わないと成り立ちません。

そのどこ?に該当するのが、
商標の区分、指定商品、指定役務になります。

指定商品と指定役務の区別は、
指定商品の場合、モノのことを言います。
例えば、自動車とか、服装とかがこれに当たります。

指定役務の場合、サービスのことを言います。
例えば、コンビニエンスストアの経営、和食レストランの経営、インタネットを介した物の販売などがこれに当たります。
例えば、オンラインショッピングモールのアマゾン社。

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アマゾンの商標。

商標の区分としては、
世の中の物事を、大きく45個の区分に分けました。
その一覧表は、下記の通り。
1:化学品
2:塗料、着色料
3:洗浄剤、化粧品
4:工業用油、工業用油脂、燃料、光剤
5:薬剤
6:卑金属、その製品
7:加工機械
8:手動工具
9:科学用、電気制御用などの機械器具
10:医療用機械器具、医療用品
11:照明用、加熱用などの装置
12:乗物その他移動用の装置
13:火器、火工品
14:貴金属、宝飾品、時計
15:楽器
16:紙、紙製品、事務用品
17:電気絶縁用などの材料
18:革、旅行用品、馬具
19:金属製でない建築材料
20:家具
21:家庭用品、化粧用具、ガラス製品
22:ロープ製品、織物用の原料繊維
23:織物用の糸
24:織物、家庭用の織物製カバー
25:被服、履物
26:裁縫用品
27:床敷物、織物製でない壁掛け
28:がん具、遊戯用具、運動用具
29:動物性の食品、加工食品
30:植物性の加工食品、調味料
31:生きている動植物
32:アルコールを含有しない飲料、ビール
33:ビールを除くアルコール飲料
34:たばこ、喫煙用具、マッチ
35:広告、事業の管理、小売・卸売
36:金融、保険、不動産の取引
37:建設、設置工事、修理
38:電気通信
39:輸送、旅行の手配
40:物品の加工その他の処理
41:教育、娯楽、スポーツ、文化活動
42:コンピューター、ソフトウェアの開発
43:飲食物の提供、宿泊施設の提供
44:医療、美容、農業のサービス
45:冠婚葬祭、警備、法律のサービス

ご覧の通り、
45区分のうち、1~34は、物の区分。
35~45はサービスの区分です。

上記の例に戻ると、トヨタのロゴの場合、

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1988年に出願されたこの商標は、当時、2つの区分で出されています。
詳しくは、第7類(金属加工機械器具)、第12類(乗り物)です。
言ってみれば、
車を作るための機械と、
それにより作られた車、と言う2つの区分で出しています。


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アマゾンの場合、
第35類(オンラインを介しての小売業)、第42類(ウェブサイトの作成)です。
言ってみれば、
インタネットを介したサービス提供と言う類で出しています。

このように、
ロゴ✕範囲と言う2つの軸で1つの商標が成り立つので、
同じネーミングでも、異なる2社が持っていることがよくあります。

例えば、
AQUA洗濯機は、アクア株式会社が作っているモノで、
AQUA自動車は、トヨタ自動車株式会社が作っているモノです。

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アクア株式会社所有のAQUA商標。
1984年に出したもので、7類とかで取っている。

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トヨタ自動車株式会社所有のAQUA商標。
2010年に出したもので、12類で取っている。

自動車と洗濯機は、12類と7類でかなり距離感ありますが、
同じ区分内で異なる2社が同じ商標を持つ場合もあります。

例えば、
スーパーカップの場合、
株式会社明治が30類のお菓子で、
エースコック株式会社が、同じく30類の穀物加工品で持っています。

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↑ 株式会社明治の商標

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↑ エースコック株式会社の商標

日本では、商標の範囲をみる時に、類似群コードで見ています。
類似群コードと言うのは、日本独自に指定商品に付けたコードで、
お菓子の場合、類似群コードが30A01で、
穀物の加工品は、32F03になります。
これらは被らないと言うことで、異なる2社がそれぞれの範囲で、同じネーミングを使ってもOKなんです。

このように、
商標と言うのは、LOGOだけではなく、LOGO+範囲で考えるべきなので、
一回出して終わりではなく、出した後でも、引き続きケアが必要です。

また、世の中には、常に新しいモノやサービスが出てきますので、それに合わせ、この指定商品も毎年の年初に必ずバージョンアップします。
1,2年の間では大きな変化はないんですが、
5年とか10年単位で見ると、自社サービスの幅も変わるし、そもそも、この指定商品も変わるので、それに合わせ、新しく商標を出し続ける必要があります。

最後に、
ソニ-株式会社により日本で出されたSONY商標は、今現在、172件存在します。

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一番最初に出されたのは、1955年で、直近ですと、2018年にも1件出されました。
以上、商標の基礎講座でした。

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