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決戦前夜。

 最初チケットを確保した時、あの広大な日産スタジアムがほぼ一日で完売するなんて夢にも思っていなかった。
 
 今ネットやツイッター上には、チケットを求める人たちが溢れている。中には10数年前からずっと応援していて、なかなか試合には行けずようやく行けるチャンスなのに、という人もいるかもしれない。

 結果的にそんな人たちを差し置いて、マリノスの試合にわずか3試合しか参戦していない自分がこのプレミアムチケットを手にすることになってしまった。

 当日は過去最多となる6万5000人の観衆が訪れる見込みだ。自分の席はもはやサポーターとしては慣れ親しんだ席となっているゴール裏。

 これが一体、何を意味するのか。

 マリノスの平均観客数は約2万。アウェイFC東京サポーターの動員が今回1万ぐらいだとして、それ以外の3万人はおそらく久しぶりに見る人やどちらのファンでもないけれど、優勝がかかるこの大一番に立ち会いたいと物見遊山しにくる人たちだろう。

 大げさな言い方になるが、その中でゴール裏のサポーターは全国にいるマリノスサポーターの代表、いわばマリノスがこの試合に勝利し、優勝するために、その初めて、もしくは久々に来れる人たちをリードして雰囲気を作りリードしていかなきゃいけない。

 ゴール裏で見る、いや「応援する」ということは、そのゴール裏を構成する一部になるということだ。その場に来ることが出来なかった人の想いも背負って、戦う決意をするということだ。
 
 その決意が、覚悟が俺にあるのか。

 ましてや、俺の本文はヴェルディサポーターであり、マリノスに出会ったのはわずかに半年前の出来事だ。

 そんな俺がマリノスを優勝へ導くために必要な「声」のひとつになることが出来るのか。

 前日のこの夜まで、日常を過ごす中で考えてきた。

 マリノスの試合にいったのはたったの3試合だが、この3年間ゴール裏に脚を運ぶ中で、チームがノリに乗っている時も、逆にどんなに劣勢の時でも声を枯らしてきた。

 その結果、数々の「奇跡」が起きて、サポーターの声がチームに必要なことを理解し、学んできた。

 こうなったら、やってやろう。

 マリノスの「声」のひとつになろう。
 
 マリノスの試合参戦はたったの3試合だが、サポーターとしてのキャリアは3年、60試合以上だ。

 そのサポーター人生の中で、培った自分の「声」がマリノスに捧げ、ヴェルディにとって永遠の敵であるあのクラブの優勝を阻止し、シャーレを横浜の手に絶対に掴み取る。

 おこがましいですが、必ずマリノスを優勝に導く強い決意を持ち、参戦出来ない方の魂を背負うつもりで日産スタジアムに俺は明日、参戦致します。

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