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僕たちは目撃者〜天皇杯3回戦 川崎フロンターレVS東京ヴェルディ

大事なのは下調べ

武蔵小杉までは、渋谷から横浜行きの東急東横線の急行に乗り、所要時間は約15分ほど。
距離だけでいうなら、乗り換えもないし味スタがある飛田給より遥かに行きやすい…でも問題はそこからなんだよなあ…。

あ、どうもtigerです。
すぎること水曜の事。そんなことを考えながら私は武蔵小杉に向かっていました。一応早上がりの権利を勝ち取ったとは言っても、時は平日の夕刻。一応こんなポンコツでも普通に働いてる社会人なんで、近場とは言ってもアウェイ遠征なんてなかなか勇気がいること…。でも私には、早上がりしてでも絶対に行かなければいけない理由があったのです。

天皇杯2回戦で同じJ2のブリウブリッツ秋田に勝利したことで、J2所属ながらJ1の V2チャンピオン、現在リーグ3位「王者」川崎フロンターレとの対戦の権利を得たからに他なりません。

ホーム味スタでの開催を望んでいましたが、それ以外の組み合わせは下位カテゴリのホーム開催な中、なぜか川崎のホーム等々力陸上競技場での開催。

しかしながら、何度か等々力に足を運んでいたこともありあのスタジアムの素晴らしい雰囲気を感じていた自分としては、今回第三者ではなくヴェルディサポーターとして乗り込めることにワクワクして仕方ありませんでした。

ただ、問題がスタジアムへの行き方…帰り道だけじゃなく武蔵小杉駅はかなり駅の構造がややこしくなかなか目的の場所まで着けない。

武蔵小杉にそうこうしてる間に降り立って、まず目指すは北口…。いやどこだよ北口。看板に改札口としか書いてない。

あれだ。北口とか南口とかわかりやすい書き方はされてなくて、改札口の近くまで行ってようやくわかるパターンだ。それってめちゃくちゃ不安…

そう、前の等々力参戦、別の出口から出てしまいバス乗り場を見つけるまで一時間近くかかるという大失態をやらかしているのである!

だから同じ轍を踏むわけにはいかない。正しい出口から出なくては!はっきりしているのは北口には目の前にバスターミナルがあるということ。バス乗り場がある出口につけばいい。ひたすらそこを探すと…あった!

下へ降りたところ、ちょうど目の前には「等々力グランド前入口」のバスが!グッドタイミング!ということでほとんどロスなくスタジアムへ向かえました。下調べって大事だよな…

かつてのホームスタジアム

バス乗り場からスタジアムまではほぼ一本道なんで、少しだけ歩いてまもなく到着。
天皇杯にも関わらず、リーグ戦さながらの屋台村が。これでもリーグ戦よりはだいぶ少ないはず。この日は再入場ができないので先に飯を確保せねばと屋台を物色。シュラスコ串とピザ(牛カルビ)のハーフサイズを購入。



(食べかけで申し訳ない。シュラスコに至っては写真すらなし)
ひとまずやることも特になかったので、先に入場。もう少し待ってればバス待ちに立ち会えたらしく、もったいないことをしました。

さて、等々力陸上競技場といえば、ご存知J草創期から2000年までヴェルディが「ヴェルディ川崎」の名前でホームスタジアムとして使用していました。

しかし、自分は東京移転2年目からファンを経てサポになっているため、川崎での試合を見たことがなく、自分の中ではヴェルディの本拠地は味スタであり、等々力はフロンターレのホームスタジアム。

ここがかつてのホームと言われても、あまりピンとは来ない。例えるならピッコロさんがナメック星に降り立ったときみたいな感覚だと思う。(伝わるかな…)

ただ、まだ川崎市民からするとヴェルディに対しては複雑な感情を抱いている方も多い。まあ当時のチーム方針や喧嘩別れした経緯を考えたら無理もないんですが…

しかし、スタジアム周辺はお互いのサポが気軽に談笑するなど全くギスギスした雰囲気はなく、終始和やかでした。やっぱり日本のスタジアムはこうあるべきだよ。

これが王者、感じたカテゴリの差

この日は天皇杯にも関わらず、ヴェルディのマスコットリヴェルンが来場。フロンターレのマスコット、ふろん太、カブレラと微笑ましいやり取りを繰り広げていました。

そんな中、選手がアップ開始。挨拶に来る選手を迎え、健闘を讃え手拍子する、いつものルーティン。

しかし、自分の中では不思議な感情が芽生えていました。というのは、ヴェルディが普段戦うJ2リーグと、時にマリノスや、他チームの試合で観戦するJ1リーグは別世界のような感覚であり、普段であれば雲の上の存在であるはずの川崎フロンターレが同じフィールドに立っていることが信じられなかったのです。

J1昇格を目標としているチームを応援していながら、いつのまにか弱気なメンタルになっていたことに初めて気付かされました。

しかし、今日は対等の立場であり、勝たせにきたのだと気持ちを奮い立たせ、キックオフを迎えました。

しかし、ピッチ上で選手たちが動き出すと、そのカテゴリの差は如実に現れました。

普段ならボールを絶対に取られないところでボールを失う。

普段なら通るパスが、ことごとくカットされる。

そしてあっという間に、一対一にされる。

何せ、フロンターレのトップに鎮座するのは前年度J1 MVPかつ得点王、レアンドロダミアン。彼にボールが入るだけで恐怖。

でも、だからこそパスをカットしたり、決定機を止めたり、普段の何気ないプレーに胸が熱くなり、拍手を送りたくなりました。

必死に戦っている。果てしない実力差があるはずなのにそれを全く感じさせず守り、走り、たびたびチャンスを作っている。

最初感じた「恐怖」は時間が経つにつれ徐々に薄れ、次第に「これ、あるかも…」という感情が芽生えてきました。

そして、前半39分。ついに、その時がやってきます。

まさかの先制、そして長い長い後半

川崎のCKを跳ね返し、カウンターを試みるもパスをカットされる。思わずゴール裏から漏れるため息。

しかし、後ろに戻した川崎MF瀬古のパスが逸れる。

そしてそのボールを見逃さなかったリョウガが足元に収め、サイドから仲間が追走するも、勇気を持って足を振り抜いた。

放たれたシュートが、Jリーグ最高クラスの守護神チョンソンリョンの手をかすめ、ゴールネットに突き刺さるー!!!

歓喜が爆発するヴェルディゴール裏。そしてまさかの失点に愕然とし静まり返る水色のゴール裏。

その後のピンチも体を張って防ぎ、まさかの1-0リードでハーフタイムに突入します。

まさかの失点を喫したフロンターレは、本来であれば休ませる、もしくは終盤顔見せ程度に登場するはずだったであろう主力クラスを次々と投入してきます。

脇坂、遠野、そして家長、小林悠。そのうち中村憲剛や三笘薫が出てきたらどうしようと錯乱しかけるほど、あまりにも強力なメンバーたち。わずか一点のリードでは心許ないと思えてしまう。

勝っているのは俺たちのはずなのに、全く安心をさせてくれない。普段のリーグ戦とは比べものにならないプレッシャーが襲いかかってきました。

今まで、勝利を掴みかけたアンダーカテゴリのチームはいくつかあった。しかし、勝利を掴めなかった。

水戸ホーリーホックも。

明治大学も。

AC長野パルセイロも。

そして「ズッ友」ジェフ千葉さんも。

追い詰めても追い詰めても、僅かな隙からゴールを奪い、勝利を奪ってくる勝負強さ、力強さがある。だから奴らは、V2チャンピオンなのだ。

後半、果てしなく長く感じました。
何回もシュートを浴び、CKを取られ。
力ずくで作ったチャンスも跳ね返され。

しかし、終わりが近くなるにつれ、失点の可能性が下がるにつれ、ついに芽生えた感情。

「勝てる…勝てるぞ…!!!」

そしてついに90分が終わり、試合はATへ。
表示されたATは4分。
いつもなら短い方と安堵できるが、彼らが点を取るには十分だ。

頼む、耐えてくれ…!!!
あと4分、3分、2分、1分、数十秒…!

そして、待ちに待った長い笛が、ついにピッチ上に響き渡りました。

倒れ込む選手たち。
喜びが爆発するゴール裏。
ガッツポーズの城福監督。
そして項垂れる家長、ダミアン…

目の前のことが信じられませんでした。
俺たちのヴェルディが、J1のV2チャンピオン川崎フロンターレを倒した…!!!

歓喜のラインダンス!


激戦を終え、勝者となった選手たちがゴール裏へ。
絶え間なくかけられる拍手と労いの言葉。
そして、始まるおりしも2試合前から復活したヴェルディの勝利の儀式「勝利のラインダンス」!

思わずサポーターとハイタッチするキーパーマテウス。ガッツポーズの若手たち。そしてインタビューを終え、サポーターに向かって胸を叩く城福監督。

最後はゴール裏をバックに記念撮影。
本当に最高の時間であり、この場で共に戦えて本当に良かった。

かつての本拠地で、川崎時代を知らない選手たちが掴み取った勝利。

それはただの勝利以上に、全員が「新しいヴェルディ」を見せ、戦ってくれたからこそ得た勲章に違いありません。

帰りの迷宮もなんとか人の流れとGoogleマップで無事帰還できました。

思ったよりも早く体感できたJ1との真剣勝負と、何にも変えられない勝利という名の最高の結果。

この「奇跡」の瞬間を目の前で見届けられたことは、一生忘れられない記憶です。

等々力陸上競技場での勝利 22年ぶり
川崎フロンターレ相手の勝利 22年ぶり

J1チーム相手の勝利 14年ぶり
J1チーム相手のゴール 11年ぶり
川崎フロンターレからのゴール 14年ぶり

上位カテゴリへの公式戦勝利 史上初

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