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パーソナリティ心理学

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記事一覧

心理系大学院に行くまでの勉強

自分の人格を大切にする気持ちを「自尊心」という。人はこの自尊心を守るために無意識の行動をとることがある。たとえば試験の前日に遅くまでゲームをしてしまったり、いつもはやらない部屋の掃除をしてしまう、などである。こういった行為を「セルフハンディキャッピング」という。これは失敗して傷つくことを恐れ自尊心を守るために先に予防線を張っている。
こうした心理は誰もが持っている。自らにハンディキャップを課すこと

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心理系大学院に行くまでの勉強

心理学における知能の研究は、個人差の研究から始まっている。しかし知能の定義はさまざまで、また知能を測る検査方法も数多くある。
実用性のある「知能検査」をはじめて行ったのはフランスの心理学者アルフレッドビネーと弟子のシモンである。彼らは学校のカリキュラムについていけない発達停滞児の判別のための検査を作成した。
その後イギリスの心理学者チャールズEスピアマンは子供の感覚や記憶に関する検査を行い、「2因

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心理系大学院に行くまでの勉強

パーソナリティの分析など研究手法の背景には「人のパーソナリティは一貫していて、時間が経っても人を取り巻く状況が変わっても変化することはない」という前提がある。これに対してアメリカの心理学者ウォルターミッシェルは1968年にパーソナリティは状況によって変わりうるもので一貫したパーソナリティというものは存在しないと主張した。この議論は「一貫性論争」とよばれ、現在もさまざまな見方がある。ただしパーソナリ

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心理系大学院に行くまでの勉強

学校や就職試験などで適性検査をかされることがある。こうした検査はパーソナリティ検査とよばれるもので、人のパーソナリティをつかむ手法として最もよく使われている。
パーソナリティ検査で最も一般的な方法は、たくさんの質問を記した紙を相手に渡して自分に当てはまるかどうかを「はい、いいえ、わからない」の3択や5段階評価などで答えてもらう「質問紙法」である。
また、数字を繰り返し足し合わせるような単純作業をお

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心理系大学院に行くまでの勉強

パーソナリティの特性をとらえる研究はさらに進み1960年代以後は大規模な統計やコンピュータによる解析が行われるようになった。そして複数の研究者によって人のパーソナリティを表す単語は「神経症傾向」「外向性」「開放性」「協調性」「誠実性」の5種類に集約できるという結果が得られた。(それぞれの特性の名称や定義には研究者によって多少のちがいがある)
さらに同じ研究手法を英語以外の言語や文化圏で行ってみても

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特性論とは、たとえば「明るい」「神経質」などの特性をその人がどのくらいもっているかを数値化しパーソナリティを表そうとする考え方だ。特性論の提唱者はアメリカの心理学者ゴードン・オルポートである。
オルポートはパーソナリティを多くの人に共通していて他者と比較できる「共通特性」と他者と比較できない個人特有の「個人特性」で分けた。
この考え方はアメリカの心理学者レイモンド・キャッテルによってさらに発展した

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パーソナリティをとらえる方法の一つは「タイプ分け」だ。この手法は「類型論」とよばれ古代から現代までさまざまな類型論が考え出されている。
類型論でタイプ分けする方法はシンプルで分かりやすいが人が持つパーソナリティをくわしく調べようとする場合には限界がある。たとえば「外向的」「内向的」という類型を用意して当てはめるだけでは両方の中間に位置する人のパーソナリティを表すことが出来ない。そこでもう一つのやり

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個人差の中に性格や人格といった「その人らしさ」いわゆる「パーソナリティ」がある。ではパーソナリティとはいつどのようにして決まるのだろうか。
パーソナリティの要因については昔からさまざまな説がとなえられてきた。おおまかには、遺伝によって生まれながらパーソナリティが決まっているという「生得説」と、生まれた後に過ごす環境によってパーソナリティが形作られていく「経験説」に分かれる。
チャールズダーウィンが

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自己実現の欲求
例えば、初めは誰かに認められたくてピアノに取り組んでいたとしても、ある程度上達すると、ピアノを弾くこと自体が楽しくなる。すると、もっと美しい音を奏でたい、もっと創造的に表現したいと思うようになる。
それは自分の精神を成長させたいという欲求であり、他人の評価に依存するものではない。こうした欲求を自己実現の欲求という。

自己実現の欲求…やがて他人の評価よりも自己の成長を望むようになる

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欲求階層説
マズローは人間の欲求を5段階に分類した(欲求階層説)。この説によると、最も基本的な欲求は①生理的欲求(寝たい、食べたい)である。その欲求が満たされると、②安全の欲求(家があれば安心、これだけ着込めば安心)が生まれる。安全の欲求が満たされると、家族や仲間との親和関係を求めたり、何かの集団に所属したいという③愛情と所属の欲求が生まれる。それが満たされると、他者に認められたい、他者から尊敬さ

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血液型と性格に関連があるという科学的な研究結果はない。にもかかわらず、日本で血液型性格分類を信じている人が多いのは、この類型論をが当たっていると感じている人が多いからだと思われる。ここにはバーナム効果という心理現象が深く関わる。
バーナム効果とは、誰にでも当てはまる性格の記述を、自分だけに当てはまる記述だと思ってしまうことをさす。フォアはこの効果を実験で証明した。
はらに、確証バイアスという認知の

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性格検査
性格を客観的に把握するために、性格検査が実施される。検査は大きく分けて5つある。
①観察法…行動を観察して性格を知る方法。
マシュマロ実験など
②面接法…カウンセラーによる面談で性格を知る方法
③作業検査法…計算や図の書き起こしなどの作業の結果から性格を分析する方法
内田クレペリン検査など
④質問紙法…yes,no形式などの質問紙の回答から性格を測定する方法
主要5因子性格検査、矢田部ギ

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フラストレーション耐性
思い通りにならないことがあっても苛立つことなく我慢できる力をフラストレーション耐性という。フラストレーション耐性は、適度な欲求不満を体験することによって養われる。
子供の反社会的行動は、フラストレーション耐性が低い場合に生じやすいと考えられている。けれどこの耐性は、自分が大切にされていることを実感したり、自尊心が養われたりすると高くなる。
ローゼンツヴァイクは、フラストレー

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ビッグ・ファイブ理論
特性論の中で多くの心理学者に支持されているのがゴールドバーグらが提唱したビッグファイブ(5大因子)理論である。それぞれの特性因子は、外向性、協調性、誠実性、神経質性、開放性の5つ。人の性格はこれら5つの特性因子で構成されていると彼らは考えた。