ポケモンから学ぶ「データ中心アプローチ」
継続的な変化に対応するためのDX求められる中、そのための「システムアーキテクチャの見直し」が必要なのですが、発注者にとっては理解が難しいです。
私も発注者の一人として‥大変難しい題材ではありますが、「理解のきっかけ」になる情報を提供できればと思います。
さて、「ポケットモンスター」はご存じと思います。
先日、26年にわたって同作の主役を務めた「サトシ」が引退し、新シリーズがスタートしました。
この交代劇を使って、データ中心アプローチの重要性を説明します。
最初はよく解らないと思いますが、画像4枚目くらいまでご覧いただきたいです。
さて、ポケモンアニメは「サトシ中心アプローチ」でした。
サトシを物語の主軸に添えて、さまざまな地方でさまざまなポケモンと出会います。
数年ごとに地方を転々とします。
他の地方に移動しても世界観はつながっているため、A地方とB地方の地理関係やそこに住む人々、そしてポケモンの生息域について整合が必要です。
たとえば、A地方の固有種と表現されたものがB地方に居ると違和感が生じます。
問題はここからです。
それぞれの情報は「サトシ」の存在を参照し、考慮しなくてはなりません。
サトシがA地方で出会った人とB地方で出会うなら、当時の関係性を前提にしなくてはなりません。
同じく、A地方で出会ったポケモンとB地方で出会うなら、既知のポケモンとしてふるまう必要があります。
それは、地方C‥D‥と物語が進むほどに複雑化します。
サトシ中心アプローチは、我々視聴者が外から見る分には安定した作品に見える一方、作り手や管理する側からすれば、情報がどんどん複雑化するのです。
サトシの強さについてもコントロールが必要です。一度でもチャンピオンになってしまえば、次のシリーズでもそれが前提になります。
仲間のポケモンの強さも同様で、強力な仲間ほど(特別なピカチュウを除いて)そっと居なくならざるを得ないのです。
おっとサトシの話はこれくらいにして‥
では、現在はどういう構造になっているでしょうか。
まだ1シリーズしか制作されていませんが、おそらく以下のようになります。
ポケモン中心アプローチです。
人気の「ピカチュウ」なども含まれますが、「サトシのピカチュウ」という個体ではありません。
サトシ中心アプローチと何が違うのか。
それは、ポケモンという「変化しにくい情報」を中心に添えている点です。
次の地方で主人公が変わったとしても、ポケモンを通じて因果関係を引き継ぐ必要がありません。
時代の変化に合わせて、好きなように変更できます。
これは、シリーズ物のゲームと同じ方式です。
当然、ゲームとしてのポケモンシリーズも同様の方式となっていますが、アニメに関しては「サトシ中心」となっていました。
さて、本題に戻ります。
「変化に強い」システムを作るためには、「変化しにくい」情報を中心に考える必要があります。
たとえば窓口→電話→SMS‥と、顧客とのコミュニケーション方法は変わります。そのための技術も変わります。
しかし、顧客そのものの存在は変わりません。
機能ごとに載せる顧客情報を思案するのではなく、共通的に管理することを目的とした顧客情報を機能に提供する。そういった発想が必要です。
そうなれば、機能が刷新されてもデータへの影響はありません。
ポケモンさえしっかり管理してれば、過去との整合を考えずに時代に合わせた「ポケットモンスター」のお話を作れるよね。という感じです。
さて、蛇足となりますが、扱う情報がシンプルで市場に合う場合、必ずしもアーキテクチャを見直す必要はありません。
たとえば国民的作品「ドラゴンボール」の場合、「孫悟空」という強力なコンテンツを中心に添えることで人気を維持しています。
何故維持できるのかといえば、この市場で求められる価値がシンプルだからです。
強くて格好良ければ因果関係や整合は問われないんです。
また、全体を俯瞰しコントロールできる場合も、見直す必要はありません。
たとえば「ワンピース」の場合、著者の驚異的な構想力で全体の整合を取りながら人気を維持しています。
最後にこの二つの話を用意したのは、「〇〇すればよい」という安易な結論は誤りにつながりやすいからです。健康食品とかと同じで万能は無いのです‥。
市場に合わせて変化し続けたい場合、自分たちの商品の中心となるデータを見極めて管理方法を見直します。
そうでないなら、あえて現状を維持するのもまた戦略となり得ます。いずれにせよ、自ら分析して答えを出すしかないのです。
データ中心以外にも、さまざまな考え方がありますので、現状を変える必要がある場合、動く前に情報収集してみるのもよいと思います。
以上、長文にお付き合いいただきありがとうございました。
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