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Life's a bi*** and then you keep living.

毎年、ブログなりnoteなりで大晦日になんか書くのが恒例行事になっているので、今年もやろうかなと思う…のだけど、一切の下書きもなくこの行に着手した時点ですでに18時半を迎えてしまっているので、今年は大したことは書けないかもしれない。

まとまらないなりの雑文です。

作り手として

去年の暮れにここでも書いたけど、『パラレルワールド・シアター』の作り手である、ということに付随していた、怨念めいたものや自虐めいたものと少し距離を置いて、楽しくポジティブなものを作りたい!という気持ちは常にあったし、一応、それをモチベーションに創作をしていた1年ではあった。

コロナ禍を受けて、そんな自分のやりたいことが「イマ」に相応しいのか?ということは随分と葛藤したけど、そんな葛藤も含めて作品にしてしまえ!という勢いで動き出して、新作の撮影を無事、行うことができた。

深刻になりすぎずに今年の夏を切り取った、程よく肩の力の抜けた楽しいものが出来上がってきていると思う。本当にやってよかったし、やれてよかった。

一方で、年々心に蓄積されていく成功記憶と挫折記憶の比重の偏りからくる創作活動そのものへの慢性疲労や、自身の成長速度より速く到達したいハードルが上がっていくせいでどんどん自身のクオリティに納得できなくなっていくジレンマ、そしてもちろん、「お気楽ラブコメ」など作ってる場合じゃない世の中の状況などに常時ぶん殴られていて、撮影中は楽しいんだけど、家に帰ると完全にメンタルブレイクダウン…みたいな日も何度かあった。
そういう時だけTwitterに現れるので、結局、側から見ると「今年も相変わらず病んでるな」って感じに見えていたかもしれない。笑

年齢もあるのかわからないけど、やっぱり確実に少しずつ腰が重くなってきているのは感じる(パラ劇規模のことをもうできる気がしない)。
でも、まだ抗っていきたい!とも思えている。

去年は新作がひとつも作れず、ひたすらに「前作の客観的評価」とだけ戦う一年できつかったけど、今年は逆に、作ってはいたけどその反応を得られるところまで辿り着けなかったので、それはそれで寂しいものがあった。
もう少し短期スパンで、作って、観てもらって、とできるといいんだけどなあ。

あと今年は「人の作品」に関わる機会がとても多かった。
僕は関わっていなくても、作品を作っていた知人自体も、すごく多かった。(みんな暇だったんだな?)
そのことが、自分のやり方を改めて客観視させてもくれたし、ネット越しに誰かを盗み見るだけの不毛な嫉妬とは違うものを、たくさん持ち帰れたと思う。
お馴染みの方々や、新しい方々とご一緒してみて、僕自身は一進一退な部分もあるけど、トータルでは前に進めているのだと(その結果として「前に進めている気がしない」のだと)思いたい。

相変わらず、気楽に人を集めて撮影をしよう!などという空気は戻ってきそうもないし、僕の意気込みやらメンタルやら経済状況など関係なく、次にいつ、どんなものが作れるのかは本当にわからない。
少人数で短編やりたいな!とか、知り合いの監督集めてドラマシリーズ作りたい!とか、誰かとコラボアニメ作るか?小説でも書いてみるか?とか、頭をよぎる夢は、ちょこちょこある(どれも具体性はないけど)。

こんな状況だからこそ、「映画」であることにも固執しすぎず、何より自分がやっていて楽しい形で、来年も何かを作ってお届けできたらいいなと思う。
まあ、まずは『もうひとつのことば』の完成ですね。

受け手として

作り手としてでなく受け手としても、今年はやっぱり「楽しい作品」をこそ大事にしていきたいというか、そういうものに賛辞を送りたい気分の年だった。

年末恒例行事だったスターウォーズの映画も去年でひと段落して、今年はあまり映画館にも行けなかったけど、鬱屈した2020年の後半に配信で観た『マンダロリアン』のシーズン2は本当に文字通り毎週「このために生きてる」恍惚の時間だったし、他にも、Netflixの『クイーンズ・ギャンビット』をはじめ配信で見た作品は、すごくクレバーなのに熱く魅せてくれる作品が多かったし、逆に映画館で久しぶりに観た『TENET』とか『ワンダーウーマン1984』とかは、「大画面でヤバイ画が観れたのであとはオールオッケー!」的な気持ち良さがあったし、僕自身が身をもって「エンタメが生きる力になる」を実感した年だった。(雑な総括でごめん)

でも、自分の中で今年を象徴するベスト作品を一つ挙げるなら、上記の流れとは真逆を行くんだけど、散々Twitterでも名前を出しまくっていたNetflixの『ボージャック・ホースマン』の話を、どうしても、しておきたい。

かつてシットコムのTVスターだった落ちぶれ俳優ボージャックとその周囲の人々のままならない人生を描き、「しんどさエンタメ」として消費するにはあまりにもガチンコすぎる苦味と本物の鬱でぶん殴ってくる作品(しかしキレッキレのコメディでもあり超先進的なアニメ作品でもあり、脚本は超絶技巧)で、間違いなく観る人を選ぶのだけど、めちゃくちゃにぶっ刺さってしまった。

個人的に特にエンディングが思い出し泣きをするレベルで秀逸で、今でも最終話のED曲を聴き返しては、彼らの人生に、視聴者として共有できたひとときに、思いを馳せてしまう。
変われなくても、救いも許しもなくとも、自己嫌悪と手を繋いで死ぬまで生きてみようぜ、という諦念と希望、みたいなものを垣間見せてくれた物語。
エンタメやりたいー!と思うことの多かった1年において、やっぱり僕は最終的には「人生」を描き続けて歳を重ねていきたいのだと、改めて思い至らされた作品だった。これ、主人公が馬のアニメの話やで。

そして何より、「それでも人生は続く(続かない者もいるが)」という重くも解放的(誤字じゃないつもり)な余韻は、その一点において僕の中ですごく、「2020年」という名の大きな憂鬱とシンクロして昇華されていったところがあった。

というような話から。

「2020年」の終わりに

こんなところには収まらん、というのは大前提なんだけど。

いやー今年は、しんどくなかった人なんていないんじゃないかな!

個人的にも34歳という年齢やちょっとしたライフステージの変化、そしてもちろんこのコロナ禍を受けて、「ずっと続くものはない」ということと、そして「それでも日々は続く」という、一見矛盾するようなふたつのことを強く意識させられた年だった。

当たり前だった日常がこんなにも簡単に形を変えてしまって、色んなものがなくなって、色んな人がいなくなって、もう去年までの暮らしには戻れないのだという暗澹とした気持ちがある一方で、別にマスクをするのもそこまで苦じゃないし、お店に入るときは消毒するし、その程度の変化なら受け入れてしまっている自分もいる。
本当にありがたいことに今の時点で仕事がなくなったりもしていないし、生活に困窮することもなく、「俺の映画、面白いのか…?」なんて、どうでもいいことで悩んでいられている。

世界は終わらなかったし、僕の人生も「詰み」はしなかった。(2020.12.31現在)

もちろん、そうじゃなかった人もたくさんいるのも知っている。
でも、僕は詰まなかった。多分、これを読んでる人もそうなんじゃないか。
生き残った。生き残れてしまった。(2020.12.31現在)

でもそれって、だからお前はしんどいなんていう資格ない、世の中にはもっと大変な人がいくらでもいる!みたいな、単純な話でもないんじゃないかな、と。
「詰まない」辛さというのも、決して無視していいものではないはずというか。

たとえ「詰み」には程遠くても、それでも確かに何かが失われてしまった人生の憂鬱の中を、僕らは来年も、生き続けていかないといけない。それはそれでエネルギーのいることだ。
だんだん世界が彩りを失ってきていても、詰んではいないからこそ、しんどいなりに諦めきれずもがき続けてしまうし、期待してしまうから、失望もする。そういう類の辛さしんどさも世の中にはたぶん、いっぱいある。

そういうものと付き合って生きていくことに、これから僕らはもっと慣れていかないといけないのかもしれない。

そのためにも、多くの人が大変なこんな時だからこそ、僕らは、たとえ自分よりはるかに大変な人が世の中に山ほどいたとしても、自分の中の「ちょっとしんどい」を、ちゃんと認めてあげるべきなんじゃないかなと思う。こんな中でよくやってるよ、と。
そして、日々の中に確かにある、楽しい時間や嬉しい出来事や、愛おしい瞬間を、もっと噛み締めていけたらいいなと思う。僕自身悪い方にフォーカスしてしまう性格だからこそ。

世の中が荒んで、色んな歪みがどんどん浮き彫りになってきている中で、大変な誰かのために、世の中のために、優しさと想像力を持って自分にできることをやっていくことはもちろん大切だけど、全てのことに関心を持って意思表示していくのも無理だし、特に、何も言わないこと自体が悪だという圧を感じることが相変わらず色々と多いSNS空間なんかにおいては、自分にはどうしようもないことまで引き受けようとして、ダメージを受けに行く必要はないんだと思いたい。

善をなすためにも、まずは自分の人生を大切にできたらいいねと、そういう感じ。

その上でというか、僕は作り手としても、クリティカルな社会の問題を描くより、そういう「詰まない人生の憂鬱」みたいなものに寄り添う方が性に合っているタイプなので、来年以降の世界にも、僕みたいな奴の作るものが、何らかのエンタテインメントとして誰かの気休めになる程度の余裕が、せめて残っていてほしいと切に願うし、生き残ってしまった作り手の端くれとして、少しでも世界に楽しさや慰めや、生きる力を、還元できる方法を模索していたいと思う。


とりあえず、そんなところかな…。
主題ぼやっぼやの文章だけど、日記なので勘弁してください。
自分勝手なことを書いているので、気を悪くした方がいたら、ごめんなさい。

…ほんとね、来年はもっと楽しいことやりたいね!

ひとまず、今夜が皆様にとって、良い夜でありますように。
良いお年を。




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