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年賀状が届いた。

今年1月、年賀状が届いた。

そんなこと、いちいちnoteに書くことじゃない、と思いますよね。

そう。でも、1月半ばを過ぎたその日、郵便受けを開けて、年賀状が1枚入っているのを見て、思わず「えっ?」と声がでた。

なぜなら、私はその1年半前に引っ越しをして、このあたらしい部屋の住所を、誰にも知らせていなかったから。

去年の7月に郵便の転送期間が切れていた私宛に、年賀状が届くはずがなかった。

年賀状の送り主は、約30年前、大学生活をともに過ごした友人だった。卒業してからばらばらの人生を歩んできたが、12,3年くらい前までは年賀状は出していたと思う。私は大学時代に入っていたサークルの先輩だった元夫と2004年に離婚をして、それを機に出す年賀状はがくんと減った。それでも出し続けていた年賀状も、2008年くらいから年々減っていった。過去を切り捨てたい気持ちが強くなっていたから。

今年の年賀状の送り主だった友人も、同じサークルだった。彼女は、私が出さなくなった後も、私がこの部屋に引っ越すまで、私宛の年賀状を出し続けてくれていた。

その彼女に引っ越したことを告げずに、1年半がたっていた。最後に繋がっていた年賀状の絆は完全に切れたと思っていた。(保管していた年賀状も、引っ越しを機に全部処分した。)

その彼女からの年賀状が、郵便受けに入っていたのだ。「間違って、うちに配達されていました」というメモが付けられて。

それは、同じマンションの1つ上の階にある、以前私が住んでいた部屋の住民からだった。その方は私の元大家さんで、大家さんがこの土地に戻ってこられることになり、この立地が気に入っていた私は、同じマンションの1つ下の階にちょうど空いていたこの部屋に移り住んだのだった。

繁忙期の郵便局のミスで、転送期間が終わり返送されるべきその年賀状が、誤って元大家さんの部屋に配達されていた。私が下の階に移ったことを知っていた元大家さんが、親切にもメモをつけて、私の部屋の郵便受けに入れてくれたのだ。もしそれが元大家さんでなかったなら、「宛先人不明」でポストに投函されるか、そのまま放置されたことだろう。

その友人も数年前に離婚していた。彼女の元旦那さんも、同じサークルの先輩だった。当時よく一緒に食事をした。

ある年、彼女の年賀状に「年末に離婚しました」と書いてあった。メールアドレスも書いてあった。でもメールできなかった。私は精神的にバランスを崩していて、どうしても連絡できなかった。かわりに、あるチョコレートメーカーのクリスマス仕様のチョコレートを、その年のクリスマスに贈った。それは、その直前に、彼女の元夫から再婚の挨拶状を受け取ったからだった。その時、今回だけはどうしても連絡をしなければと思ったのだ。その時送り状に書いた電話番号に「ありがとう。うれしかった。」とメッセージが届いた。簡単な返事を出してやりとりは終わった。そのことを思い出した。電話番号はわかる!

そして今年4月1日。私は彼女にメッセージを送った。「今年も年賀状ありがとう。今まで連絡できなくてごめん。」

こうして、その友達と、今は時々連絡をとりあっている。

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