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脱水についてたまには真面目に考える

ある日友人からこんなことを言われた。「脱水について患者用の資料作れって言われたのにすげぇ指摘多くて泣いた。」何のこっちゃと彼女の指摘を受けた分を斜め読み。曰く、「脱水とは何かなんてみんな知ってるから書かなくていい。」だの「予防のポイントは当たり前のことなので書かなくていいかも。」だの…

おいおい、『大事な事なので二回言いました』ってフレーズを知らないのか?誰か彼に教えてやれよ。そもそも、脱水について本当に理解し、予防が本当にできているのであれば毎年熱中症だの脱水だので救急搬送されてくる高齢者は0であるはずだ。そうではないという事は「読む」「解釈」「実行」このどこかにずれが生じているという事だ。句読点を打つ場所によって意味が変わってしまう日本語は、ただでさえ難しい言語である。そして、人間というのは自分にとって都合の良い解釈をしがちであり、正しく理解しても実行できなくては意味がない。実行したいと思っても忘れてしまったり失敗することは珍しくない。この実行という事についてはまた別の機械に話したいと思う。…ほら、こうやって分かっていても誤字をしてしまう。

そして彼の指摘の極めつけは「家庭でも経口補水液が作れるっていう情報がいいんじゃないか?」…はい?たしかに厚労省の熱中対策シンポジウムに作り方は載っている。が!!お前は初見で「きゃー、脱水今すぐ水分補給!」なんてときに「塩 1.5gは…透明スプーンすりきり 1で…」って作るのか?えぇ?

というわけでいかに難しいかを検証した。

経口補水液の作り方500mLの水・砂糖20g・塩 1.5gを混ぜろというのだが、丁寧に砂糖はペットボトルキャプすりきり3杯・塩は透明スプーンすりきり 1杯と書いてある。ふむふむと空いているペットボトルに水を入れてから気が付く、これ600mlのペットボトル。気を取り直して500のものを用意…したもののふと気が付く。これはどこまで入れれば500なのだろう。結局仕方ないと計量カップを取り出して計量。ラベル上が500らしい。別日に確認したところ、販売時はキャップを外して陰圧を解除した状態でももう少し上まで入っていた。500以上入っているという事になるようだ。ということは、水を買ってきてスタートというわけにもいかない。まぁ、この辺りは商品によるのだろう。続いて砂糖…まてまて洗ったとは言え飲み口を蓋して一度唾液が付いたキャップをこの衛生的な砂糖の中に突っ込むのか!?仕方ない、計量しよう。そう思って取り出した秤は4.5年放置されていたためか電池が切れていた。仕方なく手指用のアルコール(コロナ禍で導入したもの)で消毒をして使用。…さて、ペットボトルの口からペットボトルのキャップで量った砂糖を入れられるわけがない。結局マイボトルに水を移し替える。最後、透明スプーン。そんなものあるかい。かつ、某大臣方が「スプーン有料化」とか言ってるので永久的に使用できるレシピではない。こんなもの、脱水でふらふらになっているときに作れる代物じゃないし、あらかじめ作り置くのも衛生面から言うと現実的ではない。私は文字通り匙を投げ、UberEatsを開いて食品雑貨のタグを押し、ポカリスエットを注文した。のどが渇く前に適切なものを飲む、これに勝るものはない。

そうこうしている間に助けを求めてきた友人が手土産にプリンを買って家に来る。でかした、透明スプーンという助けを得たことでやる気が起きたので再度挑戦…とはいえ、家にあるのはゴリゴリするタイプの岩塩、片方がゴリゴリと挽く中もう片方が透明スプーンで受け止める。もはや、透明スプーンの摺り切りとは何ぞやとなりながらもとりあえずそれっぽい量を投下。ガシャガシャと振ってコップに移す。危険な香りがするのでほんの一ミリにも満たないくらいの少量。口に含んだ瞬間、甘味の中にしょっぱさを感じる。端的に言えばまずい、その一言に尽きる。やはり偉大なる企業努力の恩恵に与りたいものだ。OSー1にまずいと言っていたことを反省しつつ。ここまでやったのだから何とか飲めるレベルのシロモノくらいにはしたい。レモンで風味をつけると飲みやすいだとか冷やすと飲みやすいというのでとりあえずポッカレモンを入れて冷やす。この時点でオスモルは変化しているだろうがしかたない。再度、友人に渡しつつ試飲、彼女が口をつける前にとり上げた。多少レモネード風味になることを期待していたがレモンが遠い。もう浸透圧を考えないことにして大匙3くらいの量を入れる。

やはり、企業努力は偉大だった。私はそっとシンクにその液体を捨てた。

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