【連載小説】透明な彼女 vol.16「思い出作り」
たまには筆を休めて、と、久しぶりに水族館へ行く。
受付で大人一名、と言うと、少し手間取ってお釣りが返ってきた。
ユイがクスクスと笑う。
大人一名だけというのはあまりないんだろう。
俺は記念にと、どこかしこでユイの写真を撮りまくった。
「そんなに撮ってどうするの?」
と聞かれたが、
「思い出作りだよ」
と言った。
確かに思い出作りだ。
俺のための。
写ってるのは一枚もないけど、それでも満足だ。
中央の巨大水槽では相変わらずジンベイザメがコバンザメを引き連