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逆ギレされたい男
書き物に詰まったら、別の書き物をするといい。
と、個人的には思っています。
脳みその同じところを使い続けると疲れるからね。ちなみにピアノもいいと思います。あれは、指を動かすからだろうな。
noteなので日記じゃないもの、ひとりごとやエッセイみたいなものも書きやすいのかなと、
なんとなく殴り書きを。
昔。ある夜。
あ、具体的な年齢や場所、相手の特定ができるような書き方はしないです。
いろいろと問題があるかもしれないし、まぁ、ないかもしれないけど……。
話は戻って。
ある夜。
とある男子とバーでお酒を飲んでいました。その男子をKくんと仮定します。
宴会の流れで、なんとなく……という感じだったので、お互いに特に何も思うところのない間柄でした。
バーといっても、カウンターバーとかではなく、わりと大きくてガヤガヤしたような店で、特に雰囲気のいい店ってわけじゃありません。
覚えているのは、古い外国の船の中みたいな内装だったこと。落ち着いた木製のテーブルで、バーだけどカフェメニューも充実していたこと。
だからああいう話がしやすかったような気もする。静かなバーって意外と話にくいよね。
わたしのKくんに対する印象というのは、「人柄がよく真面目」というもの。それ以上でも以下でもなし。顔は普通で彼女もいた。
なのでなんでそんな話になったのか……。Kくんはその日調子よくて、確かわたしより酔っていて(いつもよりも彼はおしゃべりだった)、わたしは主に聞き役をしていた、からだと思う。
で。
「女の子にぶっとばされたいんだよねぇ。一番いいのは柔道部、相撲部も悪くないけど、レスリングはちょっと……。うーんやっぱり柔道部がいいな。考えただけで興奮してくるんだよね。押しつぶされるとかもいいなぁ」
Kくんはやはりそのときかなり酔っていたものと思われます。やめとけばいいのに、バーについてからもけっこう飲んでいたし。
わたしはというと、最初の一杯はお酒でしたが、二杯目にアイスコーヒーを貰っていて、お酒はだいぶ抜けていた感じ。
(そろそろ帰ろっかなぁ)
と内心思っていたところで、突然そんな面白い話になってしまい。
「すごい。めちゃくちゃ面白い。〇〇くんはぶっとばされるのがいいんだね?」
「うん。でもその前に……」
「その前に?」
「その柔道部女子に意地悪を言って、泣かせたりとかしてさ、逆ギレさせて、それでボコボコにされたい。泣いてる女の子にボコボコにされる、ぶっとばされる、痛めつけられる……のがいい……」
「なるほど……いいね。逆ギレか……。〇〇くんっていい趣味してたんだねえ……いつかその夢が叶うといいね……」
「うん……」
その日、わたしは面白い話が聞けて大変満足して帰りましたが、優しくて人柄のいい彼の夢はおそらく一生叶わないんじゃないかなぁと思いました。
だってそういうタイプじゃないんだもん……。だから夢見てしまうのかな。
が、しかし。いいと思います。それは本当にいい趣味だなと思った。SだかMだかわからないような妄想を悶々と抱え、生涯に渡り実現できない……趣味と言わずして何と呼ぶのか……。
だからいつか彼の夢を叶えるべく、こういう小説も書きたいなぁと思ったりしています。
というわけでこの話はおしまい。
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