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70.「心が弱っているな」というお客様

仕事は、急にやってくる。

私たちのお仕事は、これまで出逢ったことのない人と出逢うお仕事です。

今日は、どんな人と出逢うのだろう? 楽しみでワクワクしながら逢いにいきます。どんな奇跡を与えてくれるんだろうと想像をめぐらせつつ、待ち合わせ場所まで向かうのです。期待と緊張のあいだを行ったり来たりで、頭のなかは忙しい!

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そうやって出逢ってきたお客様のなかで、顔を合わせた瞬間に“察する”ことが何度もありました。

(どうしたんだろう……) 
(このどんよりと重い空気感は?) 
(何か重いものを抱えているのかな……?)

出逢ってすぐではなく、少し話をしてからじわじわと気づいていく場合もあって、さまざまなんですが、そのなかでも抱えていることがすごく重くて苦しいお客さまも少なからずいらっしゃいました。

生きる希望を失った人。何度も死を意識し、絶望したことがあるーー私たちに逢いに来られるなかには、そんな女性もいるのです。

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お客様のプライベートなことについて、私たちから立ち入ってうかがうことはできません。

でも、「とにかく苦しいのだな」と私は受け止めます。誰しもが何かしらの悩みを抱えて生きています。重さは計れない。けれど世の中には、息をするのも苦しくなるような悩みを抱えた人もたくさんいるのです。

必死で耐えて耐えて、耐え抜いた末、限界を越え、助けを求めて逢いにきてくれるのです。最悪の事態を乗り越えながら、なんとか踏みとどまり、私たちに逢いにきてくれるのです。

何気ない日常のことから、心の奥深いところまで、すべてのことに私たちは耳を傾けます。話を聞くことが仕事でもあるし、それ以前に人間として対話したい。

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レズビアン風俗だからといって、セックスだけしていればいいなんてことは、絶対にありえないのです。普段、友だちや親にも相談できないようなことを、話し合う場所でもあるのです。

このお仕事をはじめる前は、ここまで考えていませんでした。キャストになってからも、予約をとることで精いっぱい。でもそのうち、出逢ったお客様と長い時間をかけて対話するうちに、気づいたのでした。

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