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Royal Navyは奥が深い #3 艦載機


5.艦載機

 現在(2024年6月)ネルソン級に続いてレパルスを制作中なのですが、1941年5月時に搭載していた艦載機で疑問が生じました。タミヤのキットは1941年12月のマレー沖海戦時をモデル化しているので、艦載機としてスーパーマリーン・ウォーラスのパーツが用意されています。
 ところが世界の艦船 2020年9月号増刊 第932集 傑作軍艦アーカイブ10 英巡洋戦艦「フッド」「リパルス」「リナウン」に、「リパルス(原文のまま)は1933年から第2次改装時に…(中略)…最大3機のフェアリーIII型水偵の搭載が可能となった。なお、1941年のマレー沖海戦時には、スーパーマリーン・ウォーラス(Supermarine Walrus)水偵を装備し…(以下略)」との記載があります。ウォーラスのつもりで安心していたのですがフェアリーIIIが必要!?
 しかし、同じ巻の折り込み図面には、フェアリー・ソードフィッシュが搭載されています。ん?どっちだ?
 KAGEROのSuper Drawings in 3D "HMS Repulse"では、1939年時はフェアリー・ソードフィッシュ(Mk.Iのフロート付き)、1941年時はウォーラスとなっています。ますますわからん!
 ようやくモデルアート 2004年12月号臨時増刊 No.671 艦船模型スペシャルNo.14 イギリス戦艦編に答えとなる資料を見出したのでここにまとめてみました。

5-1. キング・ジョージ五世級 

H.M.S. King George V Tamiya 1/700

 すべて搭載機はウォーラスです。ただし、ハウは1943年6月、アンソンは43年8月、キング・ジョージ五世は1944年1月、デューク・オブ・ヨークは44年3月にはカタパルトが撤去されました。プリンス・オブ・ウェールズは沈没時までウォーラスを搭載していましたから、タミヤのキットにはウォーラスのパーツがあります。このため、1941年5月時のキング・ジョージ五世とプリンス・オブ・ウェールズはこのウォーラスを使用できました。

5-2. ネルソン級


H.M.S. Rodney Tamiya 1/700

 ネルソンは1935年頃に試験的にウォーラスを搭載していましたが、その後艦載機は搭載されませんでした。ロドネイは1936年から39年12月までソードフィッシュを、それ以降42年5月まではウォーラスを搭載していました。タミヤのキットは両艦ともに艦載機のパーツはなかったので、1941年5月時のロドネイはレパルスのウォーラスを使いました。

5-3. クイーン・エリザベス級

Fairey Swordfish Mk.II Tamiya 1/48

 ピットロードのクイーン・エリザベス級5隻のキットにはすべて4機ずつウォーラスの透明パーツが用意されています。クイーン・エリザベスは1940年11月から42年9月まで、ウォースパイトは1942年5月から43年5月まで、バーラムは1940年から41年11月(沈没時)まで、マレーヤは1941年11月から42年10月まで、ヴァリアントは1942年3月から43年1月までウォーラスを搭載していました。
 しかし、ウォースパイトは1936年から43年5月まで、バーラムは1936年から40年1月まで、マレーヤは1936年から41年11月まで、それぞれの艦の搭載機はソードフィッシュでした。キットの設定時期と艦載機の種類が異なっている艦もあるので注意が必要です。また、1941年5月時とするには、ウォースパイト、マレーヤ、ヴァリアントでソードフィッシュを用意することが必要です。
 残念ながら下駄ばきソードフィッシュは1/700のキットはありません。航空母艦用のタイヤ付きのソードフィッシュにフロートを付けて制作する必要があります。

5-4. R級

FaireyIII in Orange Hobby : Royal Oak

 レゾルーション1936年から1942年5月までソードフィッシュが、40年1月から1942年5月までウォーラスが搭載されていましたが、他の艦については未調査です。ただし、Orange HobbyのRoyal Oakには、フェアリーIIIのパーツが用意されています。

5-5. 巡洋戦艦

 フッドは1931年から32年に試験的にカタパルトを砲塔上に設置しフェアリーIIIFを搭載していた時期がありますが、その後艦載機は搭載しませんでした。レナウンは1941年6月から43年2月までウォーラスを搭載していました。
 さて、問題のレパルスですが、1939年9月から1941年8月までソードフィッシュを搭載し、その後ウォーラスに変えました。このため、1941年5月時とするには、ウォースパイトなどと同様タイヤ付きのソードフィッシュの改造が必要です。ぜひ、ウォーラス、フェアリーIIIFとともに戦艦搭載用セットのキット化を望むところです。

5-6. 国籍マーク

 キットに含まれている搭載機のパーツとともに気になったのは、そのデカールです。キットによってその大きさがまちまちだったり、マークの種類が異なっているからです。
 イギリス軍の航空機に付けられている国籍マークは空軍、海軍を問わずラウンデル(roundel)と呼ばれる円形のマークが使用されていました(TOP画像参照)。第二次世界大戦の前は、主翼上下面と胴体の6か所にタイプAのラウンデルが使用されていました。また、胴体は主翼よりも小さいラウンデルとなっていました。
 開戦直前の1939年6月にいったんマークをすべてタイプBにしましたが、すぐに主翼上面以外はタイプAに戻されました。このため、開戦初期は、主翼上面がタイプB、主翼下面と胴体がタイプAの状態です。
 1940年5月には、胴体のマークがタイプA1に変更され、1941年1月には主翼下面のマークは削除されました。また、1942年5月からは胴体のマークはタイプC1に変更されました。
 このため、1941年12月時のプリンス・オブ・ウェールズとレパルスのウォーラスはタミヤのキットのデカール通りで間違いありませんが、ピットロードのキットのデカールはタイプAが多く、これまた時期に合わせて使用するラウンデルに注意が必要となります。

5-7. 機体色

 開戦直前の1939年6月頃から、ソードフィッシュとウォーラスいずれも、主翼と胴体上面(胴体横は下方まで)は、ダークストレイトグレイとエクストラダークシーグレイの迷彩、下翼上面は、ライトストレートグレイとダークシーグレイの迷彩、主翼と胴体下面は、1940年頃まではスカイグレイで以降はスカイとなっていました。

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